【ITニュース解説】Dynamics 365 & Power Platform: What Developers Should Watch in 2025 Release Wave 2
2025年09月28日に「Dev.to」が公開したITニュース「Dynamics 365 & Power Platform: What Developers Should Watch in 2025 Release Wave 2」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Dynamics 365とPower Platformの2025年最新アップデートでは、CopilotやAIが開発の中心となる。開発者はソリューション管理、機能拡張、システム連携のパターンを見直す必要があり、既存のカスタマイズが影響を受ける可能性もある。フォーム開発より、ガバナンスや堅牢な統合が重要となる。
ITニュース解説
マイクロソフトのビジネスアプリケーションプラットフォームであるDynamics 365とPower Platformは、2025年のリリースウェーブ2で多くの新機能と変更を予定している。このリリースは、特にシステムエンジニアとして開発に携わる人々にとって、その仕事の進め方や注目すべき点が大きく変わる可能性があるため、内容を深く理解しておくことが重要だ。全体的に、AI技術、特に「Copilot(コパイロット)」と総称される機能群が開発の中心となり、ソリューションの管理、システム間の連携方法、そしてシステムの拡張性といった側面で、これまでとは異なる視点や対応が求められるようになる。
まず、このリリースがなぜ重要なのかを理解しよう。近年、AI技術は急速に進歩しており、それがビジネスアプリケーション開発にも大きな影響を与えている。このリリースでは、Copilotや「エージェント」と呼ばれるAI機能が、システムの設計や運用に深く組み込まれる。これは、開発者がアプリケーションを構築する際に、単にコードを書くだけでなく、AIを活用した新しいコンポーネントをどのように組み込み、管理していくかを考える必要があることを意味する。 また、ALM(Application Lifecycle Management:アプリケーションライフサイクル管理)のパイプライン、つまりシステム開発からテスト、リリース、運用までの一連の流れにも調整が必要となるだろう。新しいAI関連のコンポーネントが登場するため、これらをいかに効率的に管理し、バージョン管理やデプロイ(展開)を行っていくかが課題となる。さらに、古いやり方、例えば、システムのユーザーインターフェース(画面)の表示内容に直接手を加える「DOM(Document Object Model)ベースのカスタマイズ」といった手法は、UI(ユーザーインターフェース)の更新によって機能しなくなるリスクがある。そのため、より標準的でサポートされている方法への移行が推奨される。このリリースは、ビジネスユーザーだけでなく、開発者にとっても非常に大きな意味を持つと言える。
次に、具体的な注目機能をいくつか見ていこう。
一つ目は「Sales CopilotにおけるModel Context Protocol (MCP) の統合」だ。MCPは、GitHub Copilotエージェントでも使われているプロトコルで、これを使うことで、開発者はSales Copilotの機能を拡張できるようになる。具体的には、MCP「スキル」と呼ばれる拡張機能をパッケージ化して、Copilotの処理の流れに組み込むことが可能になる。しかし、このような拡張はセキュリティテストと適切なアクセス権限の管理が不可欠となる。AIが機密データにアクセスする可能性もあるため、十分な注意が必要だ。
二つ目は「Copilot Studioとマルチエージェントサポート」だ。Power Platformの「メーカー」(通常はプログラミングの専門知識があまりないビジネスユーザーを指す)が、複数のCopilotエージェントを自分で構築できるようになる。これらのエージェントは、Dynamics 365の基盤となるデータベースであるDataverse(データバース)、Microsoft Graph(Microsoft 365のデータ連携API)、そしてAzure AIといった様々なサービスと連携できる。これらのエージェントは、新しい「ソリューションコンポーネント」として扱われるため、ALMパイプラインにおいては、エージェントのエクスポート、インポート、そしてバージョン管理といった作業が必須となる。
三つ目は「非同期Dual-Write(デュアルライト)」だ。これは、Dynamics 365の財務・運用アプリケーション(FinOps:ファイノップス)とDataverse間でデータを同期する機能「Dual-Write」において、非同期処理がサポートされるようになるというものだ。これまではリアルタイムでの同期が主だったが、非同期になることで、データの更新が即座に反映されず、少し遅れて最終的に一致する「結果整合性」という状態を考慮する必要が出てくる。開発者は、データが一時的に不整合になる可能性を理解し、エラーが発生した場合の処理、再試行のメカニズム、そしてデータの最終的な整合性をどのように確認し調整するかをテストする必要がある。
四つ目は「自然言語によるERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)クエリ」だ。エンドユーザーは、Dynamics 365から直接、自然な言葉を使ってERPデータに問い合わせができるようになる。例えば、「先月の売上が高かった製品は何?」といった質問だ。これは非常に便利な機能だが、開発者は、ユーザーの「セキュリティロール」(アクセス権限)が適切に適用されていることを確実にしなければならない。自然言語クエリを通じて、権限のないユーザーが機密性の高い情報にアクセスできないよう、細心の注意を払う必要がある。
五つ目は「UX(User Experience:ユーザー体験)とナビゲーションの刷新」だ。ユーザーインターフェース(UX)がより洗練され、ヘッダー部分やコマンドバーのデザインが変更される。これにより、一部のボタンが「オーバーフローメニュー」(普段は隠れていて必要に応じて表示されるメニュー)に移動する可能性がある。この変更は、これまで行ってきた「リボンカスタマイズ」(コマンドバー上のボタン配置変更など)や、サポートされていない「DOMセレクター」(ウェブページの要素を直接指定する方法)に依存するJavaScriptコードが正しく動作しなくなる可能性があることを意味する。開発者は、既存のカスタムボタンやスクリプトを検証し、サポートされているAPI(Application Programming Interface:アプリケーションプログラミングインターフェース)を使ってカスタマイズを再構築することが強く推奨される。
六つ目は「Copilot Form Fill AssistとSmart Paste」だ。Copilotが、ファイル、画像、またはクリップボード(コピーした内容が一時的に保存される場所)のデータから、Dataverseの入力フィールドへ自動的にデータをマッピングし、入力補助を行ってくれる機能だ。開発者は、この自動マッピングのルールをカスタマイズしたり、データの検証ロジックを追加したり、さらにデータを保存する前に補足情報を付加するためのプラグインを作成したりする必要が出てくるかもしれない。これにより、自動化された入力の精度を高め、ビジネス要件に合わせたデータ処理を実現できる。
これらの変更に備えて、開発者はいくつかの準備を進める必要がある。新しいCopilotエージェントのようなソリューションコンポーネントが、現在のALMパイプラインで問題なく扱えるか、テスト環境で検証することが重要だ。具体的には、Copilot Studioで簡単なエージェントを構築し、それを開発運用(DevOps:デブオプス)プロセスを通じてエクスポート・インポートを試してみると良いだろう。また、FinOpsとDataverse間での非同期統合における遅延をシミュレートし、データの整合性やエラー処理が期待通りに機能するかを確認することも大切だ。既存のJavaScriptカスタマイズについては、サポートされていないDOMへの依存を特定し、これらを標準的なAPIベースの処理に置き換える作業を進めるべきだ。そして何より、Copilot Studioで多くの機能を作る「メーカー」と呼ばれるビジネスユーザーと密接に連携し、開発者側で彼らの活動が適切に管理され、統制(ガバナンス)が取れるような仕組みを提供することが求められる。
結論として、2025年リリースウェーブ2は、システムエンジニアの役割と責任を大きく変えるきっかけとなるだろう。これまでのようにフォームのカスタマイズに重点を置く機会は減り、代わりに、システムの統制(ガバナンス)、拡張性の確保、そして様々なシステムが安定して連携するための「堅牢な統合」の構築に、より多くの時間と専門知識を注ぐことになる。これは、AIが開発プロセスと最終製品に深く浸透し、新たな価値を生み出す時代において、開発者が進化し続けることの重要性を示している。