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【ITニュース解説】Kiwi Pi Pro 5: Just another SBC?

2025年09月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「Kiwi Pi Pro 5: Just another SBC?」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Kiwi Pi 5 Proは、AI処理や8K映像に対応した高性能なシングルボードコンピュータだ。最大32GBメモリや高速ネットワークなど豊富な機能を持ち、エッジAIやメディアサーバー用途で強みを発揮する。しかし、消費電力や価格、シンプルな作業には過剰性能である点も考慮し選ぶべきだ。

出典: Kiwi Pi Pro 5: Just another SBC? | Dev.to公開日:

ITニュース解説

Kiwi Pi 5 Proは、Rockchip RK3588という強力なチップを搭載した高性能なシングルボードコンピュータ(SBC)だ。SBCとは、コンピューターに必要な主要な部品が1枚の基板にまとめられた小型のコンピューターのことで、有名なRaspberry Piもこの一種だ。Kiwi Pi 5 Proは、特にマルチメディア処理、AI(人工知能)、エッジコンピューティングなど、高い性能を必要とする用途や、多様な入出力(I/O)および接続機能を求めるユーザーをターゲットにしている。

その主要なハードウェア仕様を見ていこう。CPUは8つのコア(処理の中心)を持っており、高性能なCortex-A76が4つ、省電力なCortex-A55が4つ組み合わされている。この構成は「Big.LITTLE」と呼ばれ、必要に応じて高い処理能力を発揮したり、電力消費を抑えたりできるため、スマートフォンのプロセッサなどでも広く使われている。このCPUは8ナノメートル(nm)という非常に微細な製造プロセスで作られており、効率の良い動作を可能にする。GPUはARM Mali-G610 MC4というグラフィックス処理を担当する部品で、画面表示や3Dグラフィックスの計算などをこなす。

特に注目すべきはNPU(Neural Processing Unit)の搭載だ。これはAIの計算、特にニューラルネットワークの処理を高速で行うための専用回路である。Kiwi Pi 5 ProのNPUは3つのコアを持ち、約6 TOPS(Trillions of Operations Per Second、1秒間に数兆回の演算が可能という意味)という高い性能を誇る。さらに、int4、int8、int16、FP16、BF16、TF32といった様々な精度の計算に対応しており、AIモデルの種類に応じて最も効率的な処理が可能だ。これにより、画像認識や音声認識といったAIを使った処理を、SBC単体で高速に実行する「エッジコンピューティング」に適している。

メモリ(RAM)はデータを一時的に保存する場所で、4GBから最大32GBまでのLPDDR4Xという高速なタイプが選べる。SBCとしては非常に大容量であり、複数のアプリケーションを同時に動かしたり、大規模なデータを扱ったりする際に有利となる。ストレージ(データを永続的に保存する場所)としては、eMMC 5.1という高速フラッシュメモリが64GBから512GBまで選択できる。さらに、M.2 PCIe 3.0 ×4という高速なSSDを接続できるスロットや、TFカード(microSDカード)スロットも備わっているため、用途に応じてストレージ容量を柔軟に拡張できる。

ビデオやメディア処理能力も非常に高い。8K@60fps(1秒間に60フレーム)での動画デコード(再生)や、8K@30fpsでのエンコード(記録)が可能だ。これは、非常に高精細な動画コンテンツを扱えることを意味し、デジタルサイネージ(電子看板)やメディアサーバー、高度なビデオ処理システムなどに応用できる。

入出力(I/O)や接続性も豊富だ。ネットワーク接続には、デュアル2.5Gイーサネットポートを搭載しており、通常のギガビットイーサネットよりも2.5倍高速な通信が可能だ。また、最新のWiFi-6とBluetooth 5.4に対応しており、無線通信も高速かつ安定している。USB 3.0ポートが複数あり、外部デバイスとの高速データ転送が行える。さらに、DisplayPort Altモードに対応したType-Cポートも備わっており、映像出力やOTG(USBホスト機能)として利用できる。

OS(オペレーティングシステム)のサポートも充実しており、Linuxカーネル(5.10や6.10)、Android 15、Ubuntu、Debianといった主要なOSが利用できる。システムエンジニアを目指す初心者にとって、これらの多様なOS環境で開発を試せるのは大きな利点だ。

多くのSBCが存在する中で、「単なるもう一つのSBCなのか?」という疑問が生まれるかもしれない。しかし、Kiwi Pi 5 Proはいくつかの点で他のSBCと一線を画している。 まず、その強力なAI/NPUサポートは大きな特徴である。多くのSBCがAI処理をCPUやGPUに頼っているのに対し、Kiwi Pi 5 Proは専用のNPUを持つことで、外部のAIアクセラレータなしで高度な画像認識、推論、さらには小規模な大規模言語モデル(LLM)の処理といったエッジコンピューティングタスクを効率的に実行できる。 次に、ハイエンドなビデオ/マルチメディア機能も際立っている。8K解像度でのデコードや出力能力は、高精細な映像を扱うシステム、例えば複数ディスプレイを使ったデジタルサイネージや、高性能なメディアサーバーなどに最適だ。 豊富な接続性と拡張性もこのボードの強みだ。デュアル2.5Gイーサネットは、高速ネットワークが必要なルーターやネットワークアプライアンスに応用できる。M.2スロットとSIMカードスロットの組み合わせは、4G/5Gセルラー通信を必要とするモバイルルーターや産業用途の組み込みシステムに使える。複数のUSB 3.0ポートやディスプレイ・カメラインターフェースピンは、多様な周辺機器やセンサーとの接続を可能にし、プロジェクトの自由度を高める。 そして、最大32GBという柔軟なメモリ選択肢と、大容量eMMCおよびPCIeストレージオプションは、より要求の厳しいワークロード、例えば仮想化環境の構築や大規模なデータ処理、コンパイル作業などにも対応できることを意味する。

しかし、Kiwi Pi 5 Proにはいくつかの注意点もある。高性能であることは、通常、より高い電力消費と発熱を伴う。そのため、エッジデバイスや組み込みシステムとして使う場合、適切な冷却設計や電力供給の考慮が重要になる。もし、アイドル状態での運用がほとんどであれば、これほど強力なボードは必要ないかもしれない。 価格も高性能SBCは高くなる傾向がある。趣味用途や少量のプロジェクトであれば、その追加コストが見合うかどうかを検討する必要があるだろう。 ソフトウェアの成熟度とサポートも重要な要素だ。搭載されているRK3588チップ自体は広く使われているが、Kiwi Pi 5 Pro固有のドライバーやファームウェア、カメラやディスプレイなどのアクセサリーのサポート状況は確認が必要だ。ファームウェアの更新頻度や、コミュニティでの情報共有、公式ドキュメントの充実度などは、スムーズな開発において非常に重要となる。時には「期待通りに動作する」こと自体が難しい場合もあるからだ。 また、もしあなたがメディアセンターや小規模なホームサーバー、IoTセンサーハブのような単純なタスクを考えているのであれば、Kiwi Pi 5 Proはオーバースペックかもしれない。その場合、より安価で消費電力の少ないSBCが適している。

では、Kiwi Pi 5 Proはどのような用途に最適なのか。 まず、オンボードNPUを必要とするエッジコンピューティングやAI推論の展開、例えば画像認識システム、ロボティクス、小規模な機械学習サーバーなどに適している。 次に、8Kビデオストリーミング、トランスコーディング(動画形式変換)、デジタルサイネージ、デジタルキオスクなどのマルチメディアアプリケーションにも良い。 さらに、2.5Gイーサネットや4G/5G接続を必要とするルーター、VPNゲートウェイ、組み込みネットワークデバイスなどのネットワークアプライアンスにも向いている。 拡張I/O(カメラ、ディスプレイ、SIMなど)が重要な産業用または組み込みシステムでも真価を発揮するだろう。 そして、コンパイル、仮想化、ノイズ除去といった重いタスクを試したいホビイストや実験者にとっても、非常に強力なハードウェアとなる。

結論として、Kiwi Pi 5 Proは「単なるもう一つのSBC」ではない。その高性能なCPU、専用のNPU、豊富な接続性、そして柔軟なメモリ・ストレージオプションは、基本的な実験を超えて、要求の厳しいタスクのための本格的なプラットフォームとして機能する。 あなたがKiwi Pi 5 Proを選ぶべきかどうかは、何よりもあなたのプロジェクトの優先順位に強く依存するだろう。もし高性能、AI処理能力、高精細なビデオ処理、そして多様な接続機能が必須であれば、これは強力な候補となる。しかし、もしあなたのニーズが控えめであれば、より安価でエネルギー効率の高いボードの方が、より良い価値を提供してくれるかもしれない。最終的な決定にあたっては、消費電力、冷却、初期コスト、そしてドライバーやOS、コミュニティといったソフトウェアサポートも総合的に考慮することが重要だ。

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