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【ITニュース解説】Pinecone founder Edo Liberty discusses why the next big AI breakthrough starts with search, at TechCrunch Disrupt 2025

2025年09月09日に「TechCrunch」が公開したITニュース「Pinecone founder Edo Liberty discusses why the next big AI breakthrough starts with search, at TechCrunch Disrupt 2025」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

ベクトルデータベースPinecone創業者は、次世代AIアプリのブレークスルーは大規模モデルではなく「より賢い検索」がもたらすと指摘。関連性の高い情報をAIに提供する検索技術の進化が不可欠であると語った。(116文字)

ITニュース解説

近年、人工知能(AI)技術は大規模言語モデル(LLM)を中心に目覚ましい進化を遂げている。しかし、その進化の方向性は、より多くのデータを使い、より巨大なモデルを構築することに集中する傾向があった。この潮流に対し、ベクトルデータベースを提供するPinecone社の創業者兼CEOであるエド・リバティ氏は、AIの次なる大きな飛躍はモデルの巨大化ではなく、「より賢い検索」技術によってもたらされると主張している。

現在のAI、特に生成AIが直面する大きな課題の一つに、情報の正確性と信頼性の問題がある。AIモデルは、学習したデータに基づいて文章を生成するが、その知識は学習が完了した時点のものであり、最新の出来事には対応できない。また、学習データに存在しない情報や曖ăpadăな情報について質問されると、事実に基づかないもっともらしい回答を生成してしまう「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる現象を引き起こすことがある。これらの課題を解決するために、モデル自体を巨大化させ、再学習を繰り返すアプローチには、膨大な計算コストと時間がかかるという限界が存在する。

リバティ氏が提唱する「賢い検索」は、こうした課題を克服するための鍵となる技術である。これは、従来のキーワード検索とは根本的に異なる。キーワード検索が単語の一致に基づいて情報を探すのに対し、「賢い検索」は言葉や文章が持つ「意味」や「文脈」を理解して、関連性の高い情報を探し出す。この技術の中核を担うのが「ベクトル検索」である。ベクトル検索では、テキスト、画像、音声といった様々なデータを「ベクトル」と呼ばれる数値の配列に変換する。このベクトルは、データの意味的な特徴を捉えたものであり、意味が近いデータ同士はベクトル空間上で近い位置に配置される。この仕組みを利用することで、単語が完全に一致していなくても、意味的に類似した情報を高速かつ正確に見つけ出すことが可能になる。

この「賢い検索」をAIモデルと組み合わせることで、AIの能力は飛躍的に向上する。その代表的な手法が「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」、日本語では「検索拡張生成」と呼ばれる技術である。これは、ユーザーからの質問に対し、AIが即座に回答を生成するのではなく、まず関連する情報を信頼できるデータベースから「検索」し、その検索結果を根拠として回答を生成する仕組みである。これにより、AIは常に最新で正確な情報源に基づいて応答できるようになり、ハルシネーションを大幅に抑制することができる。例えば、企業の顧客対応チャットボットにこの技術を応用すれば、自社の最新の製品情報やFAQデータベースから正確な情報を引き出し、顧客に的確な回答を提供することが可能になる。

さらに、このアプローチは企業が持つ独自の専門知識をAIに活用させる上でも極めて有効である。一般的なLLMはインターネット上の広範な知識を持っているが、特定の企業内の技術文書、社内規定、過去のプロジェクトデータといった専門的で非公開の情報は知らない。しかし、これらの社内文書をベクトル化してデータベースに格納しておけば、AIは必要に応じてその中から関連情報を検索し、専門的な質問にも答えられるようになる。これにより、汎用的なAIを、各企業の業務に特化した高精度なアシスタントへとカスタマイズすることができるのである。

モデルの巨大化だけに頼るのではなく、外部の知識を動的に検索して組み合わせるというアプローチは、コストと効率の面でも大きな利点を持つ。巨大なモデルを一度再学習させるには莫大な費用と時間がかかるが、検索対象のデータベースを更新するだけなら、はるかに低コストかつ迅速にAIの知識を最新の状態に保つことができる。

リバティ氏の主張は、今後のAI開発の焦点が、モデルそのものの性能向上から、モデルがいかに外部の知識と連携し、それを賢く活用できるかという点にシフトしていくことを示唆している。AIアプリケーションの性能は、内蔵された知識の量だけでなく、必要な情報をいかに速く、正確に検索し、活用できるかという能力によって決定されるようになる。Pinecone社が提供するベクトルデータベースのような技術は、この「賢い検索」を実現するための基盤として、これからのAIネイティブなアプリケーション開発において中心的な役割を担っていくと考えられる。システムエンジニアを目指す者にとって、AIモデルの仕組みだけでなく、こうしたデータ連携や検索技術の重要性を理解することは、将来のAIシステムを構築する上で不可欠な知識となるだろう。

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