【ITニュース解説】OCI-MCP Integration: Connecting Oracle Cloud with AI

2025年09月03日に「Dev.to」が公開したITニュース「OCI-MCP Integration: Connecting Oracle Cloud with AI」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

Oracle Cloud (OCI) とAIを連携するOCI-MCP統合により、自然言語を使ってクラウド資源を操作できるようになった。複雑なコマンド不要で、AIアシスタントがOCIの管理を代行。運用効率が向上し、クラウド管理がより手軽になる。

ITニュース解説

Oracle Cloud Infrastructure (OCI) と Model Context Protocol (MCP) の連携は、AIアシスタントを使ってOracle Cloudのリソースを自然な言葉で操作できるようにする技術である。これは、複雑なコマンドを覚えることなく、まるで人と話すようにクラウド環境を管理できるようになることを意味する。システムエンジニアを目指す上で、クラウドサービスの効率的な管理は非常に重要であり、このような新しい操作方法は業務の進め方を大きく変える可能性がある。

この連携の核心は、AIアシスタントが私たちの話す自然言語の指示を理解し、それをOracle Cloudで実行できる具体的な操作に変換することにある。その橋渡し役となるのがMCPサーバーだ。MCPサーバーは、Oracle Cloudのサービスを操作するためのプログラム部品群であるOCI SDK(Software Development Kit)のコマンドを「ラップ」している。この「ラップする」とは、MCPサーバーがAIからの指示を受け取ると、それに対応するOCI SDKのコマンドを呼び出して、Oracle Cloudに処理を依頼するという意味である。これにより、「停止しているインスタンスをすべて表示して」といった指示をAIアシスタントに伝えれば、MCPサーバーを通じてOracle CloudのComputeサービスがその情報を返してくれる。

この連携の仕組みは、私たちがAIアシスタントに指示を出すと、その指示がMCPサーバーに送られ、MCPサーバーがOCI SDKを使ってOracle Cloudと通信し、必要な情報を取得したり操作を実行したりするというシンプルな流れで構成されている。この際、AIアシスタントはMCPサーバーを、クラウドを操作するための「ツール」として認識して利用する。

実際にこの連携を始めるにはいくつかの準備が必要だ。まず、Oracle Cloud Infrastructureのアカウントがあり、Pythonというプログラミング言語の実行環境(バージョン3.8以上)がパソコンにインストールされている必要がある。また、OCIのCLI(コマンドラインインターフェース)とSDKも導入しておく必要がある。これらは、パソコンからOracle Cloudを操作するための基本的なツール群だ。

次に、MCPサーバーをPythonで作成する。これは、Oracle Cloudの様々なサービスと会話するためのプログラムの土台となる部分だ。例えば、OCIのComputeサービス(仮想サーバーなどを提供するサービス)を操作するためのクライアントを初期化するなど、具体的なサービスと連携するための準備を行う。

そして、Oracle Cloudへの認証設定を行う必要がある。これは、MCPサーバーがOracle Cloudに「私は誰であり、どの権限で操作してよいか」を伝えるための大切なステップだ。具体的には、パソコンの特定の場所に設定ファイルを作成し、自分のユーザーID(OCID)、テナンシーID、APIキーの指紋、APIキーファイルのパス、利用するリージョン(地域)といった情報を記述する。これにより、MCPサーバーがOracle Cloudに対して正当なアクセス者であることを証明できる。

次に、具体的な操作を定義する「ツール」を作成する。これは、AIアシスタントが理解する自然言語の指示を、OCI SDKを使った実際のクラウド操作に変換するための「レシピ」のようなものだ。例えば、「list_compute_instances」という名前のツールを作成し、このツールが指定されたコンパートメント(Oracle Cloud内のリソースを整理する区画)にあるすべてのインスタンスをリスト表示する、という処理をPythonの関数として記述する。この関数の中で、OCI SDKを使ってインスタンスの名前や状態を取得し、AIアシスタントが分かりやすい形で結果を返すようにする。

最後に、作成したMCPサーバーをAIアシスタントに登録する。これによってAIアシスタントは、MCPサーバーが提供する「ツール」を利用してOracle Cloudを操作できるようになる。例えば、Claude DesktopのようなMCPクライアントに、MCPサーバーを起動するためのコマンドを記述した設定ファイルを登録することで、AIアシスタントがそのサーバーを見つけて利用できるようになる。

このOCI-MCP連携は様々な場面で活用できる。例えば、Compute管理では、「停止しているすべてのインスタンスを表示して」と指示するだけで、停止中の仮想サーバーのリストを取得できる。データベース操作では、「本番データベースをCPU 4コアにスケールして」と指示すれば、データベースのリソースを増強できる。ストレージ管理では、特定のバケットに保存されているファイルをリスト表示したり、ファイルをアップロード・ダウンロードしたりすることも可能だ。さらに、ネットワーク設定、監視、ユーザー管理、コスト管理といったOracle Cloudの幅広いサービスに適用できる。

この連携の大きなメリットは、自然言語でクラウドを制御できるため、複雑なCLIコマンドや設定画面を覚える必要がなく、クラウド管理の敷居が大きく下がることだ。これにより、作業の実行が速くなり、クラウド管理の学習曲線も短縮され、運用効率が向上する。また、他のシステムとの連携も容易になり、既存のワークフローに組み込むことで、より高度な自動化を実現できる。Oracle Cloudのネイティブな認証機構を利用するため、セキュリティも確保されている。

セキュリティ面では、最小権限の原則を守り、MCPサーバーがOracle Cloudに対して必要最低限の権限のみを持つように設定することが重要だ。APIキーは定期的に更新し、開発環境と本番環境で異なる認証情報を使用すべきである。また、Oracle Cloudの監査ログを有効にして、誰がいつどのような操作を行ったかを記録し、不審な活動を早期に発見できるようにする。Oracle Cloudのリソースプリンシパルを利用すれば、APIキーファイルを直接管理することなく、クラウド内のリソース自身に権限を与える安全な認証方法も採用できる。

もし利用中に問題が発生した場合は、主に認証と権限の設定を確認することになる。APIキーの設定が正しいか、キーファイルのアクセス権限は適切か、そしてMCPサーバーが実行しようとしている操作に必要なIAM(Identity and Access Management)ポリシーが割り当てられているかを徹底的に確認する必要がある。コンパートメントへのアクセス権限や、対象リソースが正しく参照できているかも重要だ。

実際の活用例としては、「ウェブ層のスケーリングが必要か確認して」といった指示で、MCPサーバーが複数のインスタンスの状態やメトリクスをチェックし、CPU使用率が高い場合に自動的にインスタンスを増やすといった、より複雑な自動化ワークフローを構築することも可能だ。

この技術を使い始めるには、まずOracle Cloudの環境を整え、必要な依存関係(PythonやOCI CLI/SDKなど)をインストールする。そして、簡単なMCPツールを作成し、自然言語のプロンプトでテストしてみることから始めるのが良いだろう。慣れてきたら、より複雑な機能を追加したり、監視機能を組み込んだりして、クラウド管理の自動化と効率化をさらに進めることができる。

結論として、OCI-MCP連携はOracle Cloudの操作方法を根本的に変え、自然言語での対話を通じてクラウドインフラストラクチャを管理できるようにする。これにより、クラウド管理の複雑さが軽減され、より多くの人々にとってクラウドサービスが身近なものとなる。基本的な操作から始め、徐々に複雑なワークフローへと展開していくことで、チーム全体のクラウド管理能力を大きく向上させることが期待される。