CentOS(セントス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
CentOS(セントス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
セントオーエス (セントオーエス)
英語表記
CentOS (セントス)
用語解説
CentOSとは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)と互換性を持つオープンソースのLinuxディストリビューションの一つである。主にサーバーOSとして世界中の企業や個人に広く利用されてきた。その最大の特徴は、RHELのソースコードを基に開発され、RHELとほぼ同じ機能と安定性を無償で提供していた点にある。
Linuxディストリビューションには様々な種類があるが、企業が本番環境で利用するサーバーOSには、高い安定性、セキュリティ、長期的なサポートが求められる。RHELはそのような要件を満たす商用ディストリビューションの代表格であり、多くの大企業や公的機関で導入されてきた。しかし、RHELはサブスクリプション制であり、利用には費用が発生する。ここでCentOSが重要な役割を担ってきた。RHELのソースコードはオープンソースライセンスの下で公開されており、誰でもそのコードを利用して改変、再配布が可能である。CentOSプロジェクトは、この公開されたRHELのソースコードから、RHELの商標やロゴなどのプロプライエタリな部分を取り除き、再構築することで、RHELとバイナリレベルでの互換性を持つディストリビューションを無償で提供してきた。これにより、企業はRHELで動作するソフトウェアやシステムをCentOS上でもほぼそのまま動作させることができ、開発環境や本番環境の一部でコストを抑えながら、RHELと同等の信頼性やセキュリティパッチの恩恵を受けることができた。特に、Webサーバー、データベースサーバー、アプリケーションサーバー、仮想化基盤など、幅広い用途で利用され、インターネットインフラを支える重要な存在であった。
CentOSはコミュニティ主導で開発・メンテナンスが行われていたが、2014年にはRed Hatの支援を受け、プロジェクト全体がRed Hatに統合された。これにより、開発体制が強化され、より安定したリリースが期待されるようになった。しかし、2020年12月、CentOSプロジェクトの方向性が大きく転換されることが発表された。従来のCentOS Linuxは、RHELのリリース版のソースコードを基に後追いで構築される「ダウンストリーム」ディストリビューションであったが、この形式の開発は終了し、CentOS Streamへと移行するとされた。
CentOS Streamは、従来のCentOS Linuxとは異なり、RHELの開発プロセスにおいて「上流(アップストリーム)」に位置付けられる。具体的には、CentOS StreamはRHELのメジャーリリースとマイナーリリースの間に存在し、RHELの次のマイナーリリースに組み込まれる予定の機能やバグ修正が継続的に適用される。これにより、CentOS StreamはRHELの未来の姿を常に見ることができる開発版という位置付けになった。開発者やコミュニティはRHELの開発プロセスに早期から関与し、フィードバックを提供できるようになるというメリットがある一方で、従来のCentOS Linuxのように長期にわたって安定した動作が保証される「本番環境向け」のディストリビューションではなくなった。従来のCentOS Linux 8は2021年12月末でサポートが終了し、多くのユーザーが利用していたCentOS Linux 7も2024年6月30日をもってサポートを終了することになった。
このCentOSプロジェクトの方向転換は、多くのユーザーに衝撃を与え、従来のCentOS Linuxが担っていた「無償で安定したRHEL互換OS」の代替を探す動きが活発化した。その結果、従来のCentOS Linuxの精神を受け継ぎ、RHELとバイナリ互換を維持する新たなオープンソースディストリビューションが複数登場した。代表的なものとしては、AlmaLinuxやRocky Linuxなどがある。これらは、再びコミュニティ主導でRHELのソースコードを基に構築され、長期的なサポートと安定性を提供することで、CentOS Linuxユーザーの受け皿となっている。
CentOSは、ITインフラのコスト削減と安定運用に大きく貢献し、特にWebサービスやスタートアップ企業、学術機関などにおいて、手軽に高性能なサーバー環境を構築するための基盤として広く利用されてきた歴史を持つ。その役割はCentOS Streamや後継プロジェクトに引き継がれつつも、従来のCentOS Linuxが築き上げた遺産と、オープンソースコミュニティの力は、今後もIT業界において重要な影響を与え続けるだろう。