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Port 9100(ポートキュウイチゼロゼロ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

Port 9100(ポートキュウイチゼロゼロ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ポートきゅうせんひゃくきゅうじゅう (ポートキュウセンキュウジユウ)

英語表記

Port 9100 (ポートキューイチゼロゼロ)

用語解説

Port 9100は、TCP/IPネットワーク上で主にプリンターへの直接印刷に利用される特定のポート番号である。まずポートとは何かという基本的な概念から説明しよう。TCP/IPネットワークでは、データはIPアドレスによって特定のコンピューターへ届けられるが、そのコンピューター上で動く数多くのアプリケーションの中から、どのアプリケーションがそのデータを受け取るべきかを識別するために、ポート番号という仮想的な通信の入り口が使われる。ポート番号は0から65535までの整数が割り当てられており、ウェブサーバーがポート80を使うように、特定のサービスやアプリケーションには慣習的に決まったポート番号が使われることが多い。Port 9100もその一つで、ネットワーク対応プリンターへの直接印刷プロトコルである「Raw TCP/IP Printing」で利用される標準的なポートである。

このRaw TCP/IP Printingは、特にプリンターメーカーのHPが開発した「JetDirect」技術にルーツを持つため、JetDirectポートとも呼ばれることがある。その名の通り「Raw(生の、加工されていない)」データをTCP/IPパケットに直接乗せてプリンターに送信する非常にシンプルな仕組みが特徴だ。

詳細に移ろう。Port 9100を使ったRaw TCP/IP Printingは、そのシンプルさゆえに広く普及した。従来の印刷プロトコルには、UNIX系OSで主に使われてきたLPR/LPD(Line Printer Remote/Line Printer Daemon)があり、これはポート515を使用する。また、最近ではインターネット上での印刷を想定したIPP(Internet Printing Protocol)があり、これはポート631を使用する。これらLPRやIPPといったプロトコルは、印刷ジョブの管理やメタデータの送信、認証といった機能を提供するため、ある程度複雑なプロトコルスタックの上に構築されている。

一方、Port 9100で使われるRaw TCP/IP Printingは、そういった複雑なプロトコル層を持たず、クライアント側から送られてくる印刷データをそのままTCPストリームとしてプリンターへ流し込むだけである。プリンター側では、受信したデータがプリンター記述言語(例えばPCLやPostScript)で書かれたものであると想定し、それを解釈して印刷を実行する。このシンプルさが、Port 9100方式の最大のメリットだ。OSに依存しない汎用性があり、特別なドライバーを必要とせず(もちろん、プリンター記述言語を生成するためのドライバーはクライアントPCに必要だが、通信プロトコルとしてのドライバーはシンプルで済む)、設定もプリンターのIPアドレスとポート9100を指定するだけで非常に簡単である。Windows環境で新しいプリンターを追加する際に「標準TCP/IPポート」を選択し、「Raw」プロトコルを指定するケースがこれに該当する。

しかし、このシンプルさは同時にいくつかのデメリットとセキュリティ上の課題をもたらす。Port 9100のRaw TCP/IP Printingは、認証や暗号化の機能を一切持たない。つまり、ネットワークに接続されているプリンターのIPアドレスとPort 9100が分かれば、ネットワーク上のどのコンピューターからでも印刷ジョブを送信できてしまう可能性があるのだ。これは、企業の機密文書が意図しない人物によって印刷されたり、大量の無関係なデータが送りつけられてプリンターが使い物にならなくなるサービス拒否攻撃(DoS攻撃)の標的となったりするリスクを意味する。場合によっては、プリンターのファームウェアに対する不正な操作を試みる攻撃に使われる可能性もゼロではない。

そのため、Port 9100を使用する際には厳重なセキュリティ対策が不可欠である。まず、ファイアウォールを用いて、プリンターへのアクセスを許可された特定のIPアドレスやネットワークセグメントのみに制限することが非常に重要だ。例えば、社内ネットワークからのみアクセスを許可し、インターネット側からは完全に遮断する設定を行う。また、プリンターをDMZ(DeMilitarized Zone: 非武装地帯)のような、外部からのアクセスがある領域に配置することは極力避けるべきである。さらに、プリンター自体が持つ管理インターフェース(Webインターフェースなど)へのアクセスパスワードは初期設定から変更し、強固なものを設定することも忘れてはならない。定期的なプリンターのファームウェアアップデートも、既知の脆弱性から保護するために重要である。

万が一、Port 9100経由での印刷がうまくいかない場合は、いくつかの基本的なトラブルシューティングを試すと良い。まず、プリンターがネットワークに正しく接続されており、IPアドレスが正しく設定されているかを確認する。次に、プリンターの電源が入っており、エラー状態になっていないかをチェックする。クライアントPCとプリンター間のネットワーク経路に問題がないか、pingコマンドなどで疎通を確認することも有効だ。そして最も重要なのが、ファイアウォールの設定である。クライアントPCのファイアウォールや、途中のルーターやネットワーク機器のファイアウォールがPort 9100への通信をブロックしていないかを確認し、必要に応じて許可設定を追加する必要がある。

Port 9100は、ネットワークプリンターの導入と運用において広く利用される便利なポートだが、そのシンプルな特性を理解し、適切なセキュリティ対策を講じることが、安全なネットワーク環境を維持する上で不可欠である。システムエンジニアを目指す者としては、こうした個々のポートが持つ特性やセキュリティリスクを正確に把握し、それに対する適切な対策を提案・実施できるようになることが求められる。

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