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【ITニュース解説】Making Your Fetch Requests Production-Ready with ffetch

2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「Making Your Fetch Requests Production-Ready with ffetch」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Webアプリ開発で使うFetch APIは、本番環境で通信エラーや遅延が起きやすい。標準のFetchでは複雑なエラー処理やリトライ、タイムアウト対策が必要だが、`ffetch`ライブラリを使えば、これらを簡単に実装し、安定したシステムを構築できる。

ITニュース解説

アプリケーションを開発する際、データをやり取りするために「Fetch API」という仕組みがよく使われる。これはウェブブラウザが提供する機能で、バックエンド(サーバー側)からデータを取得したり、送ったりするのに便利だ。開発中はスムーズに動くFetch APIだが、実際に多くのユーザーが使う「本番環境」にリリースすると、予期せぬ問題が頻繁に発生し、システムエンジニアを悩ませることが多い。

なぜなら、本番環境のネットワークは常に安定しているわけではないからだ。例えば、ユーザーのインターネット接続が遅い、途切れる、バックエンドサーバーが一時的に応答しない、エラーを返す、あるいは外部APIの利用制限(レートリミット)に達してブロックされるといった状況が日常的に起こりうる。これらの状況を適切に処理しないと、ユーザーインターフェース(UI)が壊れたり、データが表示されなかったりして、ユーザー体験が著しく低下してしまう。

このような不安定なネットワーク環境に備えるため、アプリケーションにはただ単にFetch APIでリクエストを送るだけでなく、様々な工夫が必要になる。具体的には、リクエストが失敗したときに何度か「再試行」(リトライ)する機能、一定時間内に応答がない場合に「タイムアウト」として処理する機能、以前の成功したデータを一時的に「キャッシュ」して表示する機能、そして進行中の不要なリクエストを「キャンセル」する機能などだ。しかし、これらの機能をFetch APIだけで実装しようとすると、非常に多くのコードを自力で書かなければならず、複雑で管理しにくい「ボイラープレートコード」が大量に発生してしまう。

この記事では、この問題を解決するための具体例として、シンプルなマルチユーザーのタスクリストアプリケーションが紹介されている。Node.jsとExpressを使ってバックエンドを構築し、RESTfulなAPIエンドポイント(URL)を通じてユーザーやタスクの作成、読み込み、更新、削除を行う。フロントエンドはVanilla JavaScript(フレームワークを使わない純粋なJavaScript)で作成され、これらのAPIをFetch APIで呼び出し、3秒ごとに最新のデータを取得してUIを更新する「ポーリング」という手法で動作する。

開発初期段階では問題なく動くこのアプリに、本番環境の不安定さを再現するため、バックエンドに特別なミドルウェアを追加する。このミドルウェアは、リクエストの20%をランダムに失敗させ、さらに最大2秒の遅延をランダムに追加する。これにより、ネットワークエラーやサーバーの応答遅延をシミュレートし、フロントエンドがどのように動作するかを検証するのだ。実際にこの不安定なバックエンドでアプリを動かすと、UIが途中で壊れたり、データが正しく表示されなかったり、コンソールにエラーが大量に表示されたりする。

このような状況で発生しうる具体的なエラーシナリオとしては、以下のようなものがある。

  • 一時的なネットワーク障害: リクエストがランダムに失敗する場合、何度か再試行することで成功する可能性がある。
  • ポーリング中のリクエスト競合: 複数のリクエストが非同期に送信される中で、古いリクエストの応答が新しいリクエストの応答より遅れて届くと、UIの状態が矛盾する可能性がある。これを防ぐためには、新しいポーリングサイクルが始まったときに、以前のリクエストをキャンセルし、常に最新のデータだけを使用する必要がある。
  • 画面遷移中のリクエスト競合: ユーザーが別の画面に移動したにもかかわらず、前の画面で開始されたリクエストがまだ処理中であると、その応答が現在のUIの状態を壊してしまう可能性がある。この場合も、画面遷移時に以前のリクエストをキャンセルすべきだ。
  • キャッシュの利用: 一度成功したリクエストの結果をキャッシュしておけば、その後のリクエストが一時的に失敗しても、すぐにエラー画面を表示するのではなく、キャッシュされたデータを表示し続けることで、ユーザー体験の悪化を防げる。
  • 特定のエラーコードの処理: 例えば、ユーザーが既に削除されているのにそのユーザーの詳細を表示しようとして404エラー(見つからない)が返された場合、ユーザーをリスト画面に戻すなどの適切な処理が必要になる。
  • バックエンド全体の停止: サーバーが完全にダウンした場合、ユーザーにグローバルなエラーメッセージを表示し、しばらくしてから再試行するなどの対応が求められる。

これらのエラーハンドリングをFetch APIだけで実装する場合、開発者は「poller.ts」のようなファイルに、リトライロジック、タイムアウト処理、AbortControllerを使ったリクエストキャンセル、そしてキャッシュ管理といった非常に多くのコードを自力で記述することになる。これによりコードは長くなり、可読性が低く、特定の問題に密接に結びついてしまうため、他のプロジェクトで再利用するのが難しい。また、指数バックオフ(再試行の間隔を徐々に長くする)やサーキットブレーカー(連続失敗時に一時的にリクエストを停止する)のような高度なパターンを実装するには、さらに多くの労力が必要だ。

そこで登場するのが「ffetch」というライブラリだ。これはFetch APIをより強力にするための軽量なラッパーで、前述のような複雑なエラー処理、リトライ、タイムアウト、キャンセルといった機能をシンプルに実装できる。ffetchを使うと、createClient関数でリトライ回数やタイムアウト時間などの基本的な設定を一度行うだけで、あとは通常のFetch APIを使うようにリクエストを送信できる。これにより、poller.tsのようなファイルは大幅に簡潔になり、開発者はエラー処理の複雑さから解放され、アプリケーション本来のロジックに集中できるようになる。

ffetchは、他にも以下のような本番環境に役立つ機能を提供する。

  • サーキットブレーカー: 連続して失敗するエンドポイントに対して、一定期間リクエストを自動的に停止させ、サーバーへの負荷を軽減し、回復を待つ。
  • 自動指数バックオフ: リクエストが失敗した場合の再試行間隔を指数関数的に長くすることで、サーバーへの不要な負荷を減らし、回復を待つ。
  • グローバルエラーハンドリング: リクエストやレスポンスの前後で処理を挟み込むフックを提供し、ログの記録、エラーメッセージの一元管理、認証トークンの自動追加など、横断的な処理を実装できる。
  • 詳細なリトライ制御: ネットワークエラーやサーバーエラー(5xx系)など、特定のエラーコードの場合にのみリトライを行い、クライアントエラー(4xx系)など、リトライしても無意味なエラーでは行わないといった柔軟な設定が可能だ。

結論として、Fetch APIはウェブからデータを取得する基本的なツールとしては非常に優れているが、本番環境で安定したアプリケーションを運用するためには、ネットワークの不安定さに対応する高度なエラーハンドリングが不可欠だ。ffetchのようなライブラリは、開発者がこれらの「本番環境対応」のパターンをゼロから実装する手間を省き、より堅牢でユーザーフレンドリーなアプリケーションを構築するのを支援する。単に成功する「ハッピーパス」だけでなく、何らかの障害が発生した際の「異常系」の処理も考慮することが、システムエンジニアにとって非常に重要であることをこの記事は示している。

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