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【ITニュース解説】Building OpenAI API Compatibility with AWS Bedrock

2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「Building OpenAI API Compatibility with AWS Bedrock」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

OpenAI API利用者が、AWS Bedrockなど他社サービスへ移行したいが、API仕様が異なる問題がある。そこで、OpenAI APIのリクエストを各プロバイダー向けに自動変換し、応答もOpenAI形式に戻す「変換レイヤー」を構築した。これにより開発者はコード修正なしで別サービスを利用でき、ベンダーロックインを回避できる。

ITニュース解説

今日のデジタル世界では、多くの開発者がOpenAIの提供するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を利用し、AI機能を自身のアプリケーションに組み込んでいる。このOpenAI APIは非常に便利であるため広く普及しているが、企業が特定のベンダーに依存してしまう「ベンダーロックイン」のリスクや、利用コストの最適化といった課題も抱えている。そのため、OpenAI以外のAIサービス、例えばAmazon Web Services(AWS)が提供する「Bedrock」やGoogle Cloud Platform(GCP)の「Vertex AI」といった選択肢を検討する場面が出てくる。

しかし、既存のシステムがOpenAI APIの形式に合わせて構築されている場合、これらの異なるAIサービスに切り替えるためには、大量のコード修正が必要になるという大きな問題が発生する。開発者にとって、コードを大幅に変更することは、時間とコストがかかる上に、新たなバグを生むリスクも伴うため、極力避けたいことである。

この課題を解決するため、既存のコードを変更することなく、AWS Bedrockのような別のAIサービスを利用できる仕組みを構築する試みがなされた。具体的には、開発者がOpenAI APIに送るのと同じ形式のリクエストを受け取り、それをAWS Bedrockで処理できる形式に変換し、さらにBedrockからの応答をOpenAI APIの応答形式に戻して開発者に返す「翻訳層」を設けるというアプローチである。

このアプローチの実現にはいくつかの具体的な技術的課題があった。まず、OpenAIとAWS Bedrockでは、AIモデルへの指示の与え方(プロンプトの形式)が異なる。例えば、OpenAIではシステムからの指示(システムプロンプト)とユーザーからの対話(会話メッセージ)が柔軟に混在できるが、AWS Bedrock上のClaudeモデルではシステムプロンプトを個別に扱う必要がある。また、Llamaモデルは継続的な会話形式のプロンプトを期待し、Titanモデルはシンプルなテキスト入力を求める。さらに、AIモデルが処理したテキストの量(トークン使用量)の報告形式や、エラーが発生した際のメッセージも各サービスで異なるため、これらをOpenAIの形式に統一する必要があった。

これらの課題に対し、「翻訳層」をシステムの中心に置くことで対処した。この翻訳層は、OpenAI APIの形式で送られてきたリクエストを受け取ると、利用したいAWS BedrockのAIモデルの種類(例:Anthropic社のClaude、Meta社のLlama、AmazonのTitanなど)を識別し、それぞれのモデルが理解できる独自の形式にリクエストを変換する。例えば、OpenAI形式で送られた複数のメッセージの中からシステムプロンプトを抽出し、Claudeが求める形式に整形するといった具体的な処理が行われる。そして、BedrockのAIモデルが処理を終えて返してきた応答データも、同様に翻訳層が受け取り、OpenAI APIの形式に再変換して開発者に戻す。これにより、開発者は既存のOpenAIクライアントソフトウェアを使い続けることができ、新しいAIサービスを裏側で利用できるようになった。

この仕組みを構築するにあたっては、いくつかのトレードオフがあった。最も重視したのは「互換性」、つまり既存のOpenAI APIを利用している開発者がコードを変更せずに移行できることだった。そのため、リクエストやレスポンスの翻訳処理によるわずかな性能低下や、システムが少し複雑になることは許容した。しかし、AIの推論処理自体が時間を要するため、翻訳処理によるオーバーヘッドは全体から見れば小さな影響に留まるという判断であった。また、システム基盤にはAWS LambdaやAPI Gatewayといった「サーバーレス」な技術を採用した。これにより、必要な時に必要なだけコンピューティングリソースが確保され、コスト効率が高く、大量のリクエストにも柔軟に対応できるスケーラブルなシステムが実現できた。サーバーレス特有の、プログラムが起動するまでのわずかな時間(コールドスタート)も、懸念されたほど大きな問題にはならなかった。

具体的な実装では、API Gatewayが外部からのリクエストを受け付け、AWS Lambdaで動作するPythonプログラムが翻訳処理を担う。APIキーの管理にはDynamoDB、AIモデルの呼び出しにはAmazon Bedrockを利用し、AWSの認証・認可サービスであるIAM(Identity and Access Management)を使って厳格なセキュリティを確保している。Lambdaのメモリサイズは、安定性とコストのバランスを考慮し、512MBが最適な設定であることが判明した。

この開発を通じて得られた重要な知見は、開発者にとってのエラーメッセージの統一がいかに重要か、という点である。ユーザーがOpenAI APIを使い慣れている場合、予期せぬエラーに遭遇した際に、OpenAI APIと同じような形式でエラー情報が提示されることで、混乱なく問題解決に取り組める。最終的に、開発者がコードを一切変更することなく、既存のOpenAIクライアントを新しいエンドポイント(URL)に向けるだけで、AWS BedrockのAIモデルを利用できるようになったことが、このプロジェクトの最大の成果である。

このような「翻訳層」を介したアプローチは、OpenAI APIとの互換性を保ちつつ、AWSやGCPといった他のAIサービスを利用したい場合、あるいは将来的に複数のクラウドサービスを組み合わせて利用するマルチクラウドAIインフラを構築したい場合に非常に有効である。特に、新しいAIサービスを導入する際に、開発者の導入障壁を低くし、迅速な移行を促したい企業にとっては、このパターンが強力な選択肢となる。システムエンジニアを目指す初心者にとっても、既存の技術と新しい技術を橋渡しする「互換性レイヤー」という考え方は、システム設計において重要な視点の一つであると言えるだろう。

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