【ITニュース解説】Implementing PostgreSQL Replication and Automated Cloud Backups Using Docker and Rclone

2025年09月09日に「Dev.to」が公開したITニュース「Implementing PostgreSQL Replication and Automated Cloud Backups Using Docker and Rclone」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

Dockerでデータベース(PostgreSQL)の複製(レプリケーション)環境を構築し、可用性を高める方法を解説。シェルスクリプトとCronで定期的な自動バックアップを作成し、Rcloneでクラウドへ安全に保存する手順を紹介。障害時の復旧方法も含む。(116字)

ITニュース解説

現代の多くのWebサービスやアプリケーションにおいて、データベースは心臓部ともいえる重要な役割を担っている。そのため、データベースの停止やデータの損失は、サービス全体の停止やビジネス上の大きな損害に直結する。このような事態を避けるために、データベースの「高可用性」「耐障害性」「災害復旧」の仕組みを整えることが不可欠である。高可用性とはシステムが停止することなく稼働し続ける能力、耐障害性とは一部に障害が発生してもシステム全体が機能し続ける能力、そして災害復旧とは万が一システムが停止しても迅速に復旧させるための計画や手順を指す。これらの要件を満たすため、データベースシステムであるPostgreSQLを使い、データの複製を行うレプリケーションと、自動化されたクラウドバックアップを実装する具体的な手法が存在する。

ここで紹介するシステムは、コンテナ仮想化技術である「Docker」と、クラウドストレージへのデータ転送ツール「Rclone」を組み合わせて構築される。まずDockerを用いて、書き込み処理を担当する1台の親(プライマリ)データベースと、そのデータをリアルタイムで複製する複数台の子(スタンバイ)データベースを起動する。これにより、親データベースに障害が発生しても、子データベースが処理を引き継ぐ準備ができている状態を作り出し、サービスの継続性を高める。次に、シェルスクリプトと「cron」という定時実行の仕組みを利用して、データベース全体のバックアップを毎日自動で取得する。さらに、取得したバックアップファイルはサーバー内だけでなく、より安全な保管場所として「Rclone」を使ってOneDriveやGoogle Driveといったクラウドストレージへ自動的にアップロードする。この一連の流れにより、人為的なミスを排除しつつ、物理的な障害にも備えた多重のデータ保護を実現する。

システムの基盤となるDockerは、アプリケーションとその実行環境を「コンテナ」という独立した単位にまとめる技術である。Dockerを使うことで、開発環境と本番環境の違いによる問題をなくし、誰でも同じ環境を簡単に再現できる利点がある。「docker-compose.yml」という設定ファイルに、親データベース用と子データベース用のコンテナ設定を記述することで、複数のデータベースサーバーを一度のコマンドで起動・管理できるため、複雑な構成のシステムも効率的に運用可能となる。PostgreSQLのレプリケーションは、親データベースで行われた全てのデータ変更(書き込み、更新、削除)を、ネットワークを通じて子データベースに送り、同じ状態を維持する仕組みである。この構成により、参照系のクエリ(データの読み取り)を子データベースに振り分けることで親データベースの負荷を軽減したり、親データベースが故障した際に子データベースを新しい親として昇格させ、サービスの停止時間を最小限に抑える「フェイルオーバー」を実現したりすることが可能になる。

データの保全において、レプリケーションだけでは不十分な場合がある。例えば、操作ミスで重要なデータを削除してしまった場合、その削除操作も子データベースに複製されてしまうため、データを元に戻すことはできない。このような事態に備えるのがバックアップである。「pg_dump」というPostgreSQLの標準コマンドを使えば、特定の時点のデータベースの状態をまるごとファイルに書き出すことができる。この処理を記述したシェルスクリプトを、LinuxなどのOSに標準で備わっている「cron」機能に登録することで、毎日深夜2時といった指定した時刻に自動でバックアップを実行させることが可能だ。しかし、バックアップファイルをサーバー内にのみ保管していると、サーバー自体がハードウェア障害や自然災害で失われた場合に、バックアップも一緒に失われてしまうリスクがある。そこで登場するのがRcloneである。Rcloneはコマンドラインで操作できるツールで、ローカルのファイルを様々なクラウドストレージサービスと同期・コピーする機能を持つ。バックアップ処理の最後にRcloneによるクラウドへのアップロード処理を追加することで、物理的に離れた場所にバックアップを保管する「オフサイトバックアップ」が実現でき、より高いレベルでのデータ保護が可能となる。

万が一、Dockerコンテナの不具合やサーバーの障害によってデータベースが停止してしまった場合でも、この仕組みがあれば落ち着いて対処できる。復旧の手順は、まず稼働中のコンテナを停止し、ローカルまたはクラウドから最新のバックアップファイルをダウンロードする。そして、そのバックアップファイルを使ってデータベースを障害発生前の状態に復元し、再度「docker-compose」コマンドでコンテナ群を起動する。復旧後、PostgreSQLの管理コマンドでレプリケーションが正常に機能しているかを確認すれば、作業は完了である。このように、Dockerによる環境構築の容易さ、PostgreSQLの堅牢なレプリケーション機能、そしてcronとRcloneによるバックアップの完全自動化を組み合わせることで、システムの安定稼働とデータの安全性を両立した、信頼性の高いデータベース基盤を構築することができる。これは、サービスの規模に関わらず、現代のアプリケーション開発において非常に有効なアプローチであり、システムの信頼性を担保する上で重要な技術の組み合わせといえる。

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