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【ITニュース解説】Is React Native Dying? A Deep Dive Into 2024's Cross-Platform App Landscape

2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「Is React Native Dying? A Deep Dive Into 2024's Cross-Platform App Landscape」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

React Nativeは進化を続け、2024年も現役のモバイル開発ツールだ。新アーキテクチャで性能改善し、TypeScript連携も強化。しかし、Flutterなどの競合も台頭し、アニメーションや大規模アプリでは検討が必要だ。React知識あるチームや迅速な開発には依然として強力な選択肢となる。

ITニュース解説

「React Nativeは死んでいるのか?」という問いは、モバイルアプリ開発の世界で多くの技術者が関心を寄せるテーマだ。この技術はかつて、「一度学べばどこでも書ける」という革新的なコンセプトを掲げ、多くの開発者にモバイル開発の扉を開いた。しかし、2024年現在、Flutter、Kotlin Multiplatform、さらにはSwiftUIといった新しい技術が登場し、React Nativeの立ち位置が問われている。結論から言えば、React Nativeは決して「死んでいる」わけではない。しかし、かつてのように「これさえあれば大丈夫」という自動的な最善の選択肢ではなくなっているのが現状だ。

React NativeはMeta(旧Facebook)によって開発され、その開発元が強力なバックアップをしている。2024年までに、Metaはアーキテクチャの大幅な見直しを進め、パフォーマンスの向上に努めてきた。特に「New Architecture」(新しいアーキテクチャ)と呼ばれる取り組みは注目に値する。これにはTurboModulesやFabricといったコンポーネントが含まれ、従来の課題を克服しようとしている。また、TypeScriptとの連携もよりスムーズになり、大規模なプロジェクトでのコード品質や保守性も向上している。

現在のReact Nativeには、多くの長所がある。まず、巨大なコミュニティと豊富なライブラリエコシステムだ。ウェブ開発で広く使われるReactの知識を活かせるため、多くの開発者が既存のスキルを転用できる。これにより、問題解決のための情報源や再利用可能なコードが豊富に存在する。また、ビジネスロジックを複数のプラットフォーム(iOSとAndroid)で再利用できるため、開発コストと時間を削減できる。開発効率を高める「ホットリロード」機能も魅力で、コード変更がすぐにアプリに反映されるため、素早いイテレーション(繰り返し開発)が可能だ。さらに、ネイティブのAPIにアクセスするための機能も提供されている。

しかし、短所も存在する。現実の複雑な機能を実現するには、依然としてネイティブコード(iOSならSwift/Objective-C、AndroidならKotlin/Java)を書く必要がある場面が多い。特にアニメーションや、グラフィック処理などリソースを多く消費するアプリでは、パフォーマンスがネイティブに比べて劣る場合がある。また、開発ツール周りがまだ断片化しており、「Bare React Native」と呼ばれる標準的な開発環境と「Expo」というより抽象化された環境のどちらを選ぶか、という選択に迫られることがある。ネイティブ開発の知識がないチームにとっては、これらが初期学習のハードルとなることもあるだろう。

では、パフォーマンスは具体的にどうなのか。3種類のアプリ(画像が多いギャラリーアプリ、シンプルなフォームベースのCRUDアプリ、リアルタイムチャットアプリ)で、React Native、Flutter、Kotlin Multiplatformのベンチマークテストが行われた。その結果、React Native(Hermesエンジン使用)はギャラリーアプリで52fps、起動時間1.2秒、メモリ使用量78MBという数値を示し、開発速度は「速い」と評価された。対してFlutterはギャラリーアプリで60fps、起動時間0.9秒、メモリ使用量90MBで、開発速度は「中程度」。Kotlin Multiplatformは50fps、1.4秒、72MBで開発速度は「遅い」と評価された。この結果から、Flutterはパフォーマンスとレンダリングで優位性を見せる一方、React Nativeは高速な開発サイクルにおいて依然として強力な選択肢であることがわかる。

React Nativeのアーキテクチャは、その進化の核心だ。以前のアーキテクチャ(2022年以前)では、JavaScriptコードとネイティブコードの間でデータ通信を行う際に、シリアライズされたJSONデータがブリッジを介してやり取りされていた。このブリッジはボトルネックとなり、特に頻繁なデータ交換が必要な場面でパフォーマンスの低下を招いていた。これを解決したのが「New Architecture」だ。この新しいアーキテクチャには、主に以下の3つの要素がある。

  1. TurboModules(ターボモジュールズ): ネイティブモジュールを非同期で、必要に応じて遅延読み込みできるようにする。これにより、アプリの起動時間が短縮され、メモリ使用量も効率化される。
  2. Fabric Renderer(ファブリックレンダラー): UIレンダリングを改善し、React 18の新しい機能(例えば並行レンダリング)と統合される。これにより、よりスムーズで反応性の高いUI体験が可能となる。
  3. Codegen(コードジェン): TypeScriptやJavaScriptで記述されたインターフェースから、ネイティブコード(Swift/Kotlinなど)との間の結合コードを自動的に生成する。これにより、手作業での結合コード記述が減り、型安全性が高まり、開発者の負担が軽減される。 これらの改善により、全体的なパフォーマンスが向上し、コードの保守性も高まった。例えば、JavaScript側で定義したコンポーネントのプロパティが、ネイティブ側で自動的に型安全に扱えるようになるため、バグの発生を抑えつつ、より効率的にネイティブ機能を利用できるようになる。

具体的なコードレベルでの比較として、アニメーション付きのシンプルなカウンターアプリがReact NativeとFlutterで実装された場合を見てみよう。React Nativeでは、JavaScriptのAnimated APIを使ってアニメーションを記述し、状態管理にはuseStateフックを用いる。一方、FlutterではStatefulWidgetを使い、AnimationControllerScaleTransitionといったウィジェットを組み合わせてアニメーションを表現する。この比較では、Flutterがアニメーションの設計においてよりシームレスであると評価された。React Nativeで同等の滑らかなアニメーションを実現するには、より深いネイティブの理解や細かい調整が必要になる傾向がある。

近年、React Nativeの開発体験を大きく向上させている要因の一つに「Expo」の進化がある。ExpoはReact Nativeアプリ開発をより簡単にするためのツールセットであり、特にSDK 49/50以降で目覚ましい改善を遂げた。かつては、ネイティブコードが必要な機能を使おうとすると、「eject」(Expoの環境から抜け出して、よりネイティブに近い開発環境に移行すること)が必要だったが、これは学習コストや開発の複雑さを増大させる要因だった。しかし、最新のExpoでは、Hermesエンジンのデフォルトサポート、環境変数の簡単な管理、カスタム開発クライアントの作成、そして「Prebuild」という機能を通じてネイティブコードをファーストクラスでサポートするようになった。これにより、「ネイティブの機能を使うにはExpoから抜け出さなければならない」という大きな障壁が徐々に解消され、より多くのプロジェクトでExpoが利用可能になっている。

では、改めて「React Nativeは死んでいるのか?」という問いに戻ると、答えは「否」だ。むしろ、React Nativeは成熟し、エンタープライズレベルのツールとして安定してきている。AI技術とReact Nativeのツールとの連携も活発化しており、開発体験がさらに向上する可能性を秘めている。また、ExpoとSupabaseやStripeのようなバックエンドサービスとの統合も進み、フルスタック開発がより効率的に行えるようになっている。一方で、特にUIアニメーションの滑らかさや、極めて高いパフォーマンスが要求される大規模アプリの開発においては、FlutterやKotlin Multiplatform Mobile (KMM)、あるいは各プラットフォームのネイティブ技術(iOSならSwiftUI、AndroidならCompose Multiplatform)が検討される傾向にある。若い開発者の中には、よりモダンなUIフレームワークであるFlutterや、Web技術だけでモバイルアプリに近い体験を実現するPWA(Progressive Web App)を選択する人も増えている。

では、2024年においてReact Nativeを選ぶべきプロジェクトはどのようなものだろうか。まず、チームが既にReactやJavaScript/TypeScriptの知識を持っている場合、そのスキルセットを活かして効率的に開発を進めることができる。Expoの恩恵を受け、高速なイテレーションでMVP(Minimum Viable Product、最小限の機能を持つ製品)を素早く市場に出したい場合にも適している。また、SEO(検索エンジン最適化)が考慮事項とならない、つまりウェブサイトとしての側面を持たないモバイルアプリであれば問題ない。ビジネスロジックが複雑で、頻繁なデータ処理や状態管理が中心となるようなアプリにも強みを発揮する。 対して、FlutterやKMM、SwiftUIなどを検討すべきは、目を引くような美しいアニメーションや、ゲームのようなグラフィック処理、または非常に大規模なユーザーベースに対応するための最高水準のパフォーマンスが求められる場合だ。また、社内にモバイル開発の専門家がいる場合も、これらのフレームワークがより力を発揮する可能性が高い。

最終的に、React Nativeは進化の途上にあり、「死んでいない」という認識が重要だ。新しいアーキテクチャ、より良い開発ツール、そして向上したパフォーマンスによって、JavaScript/TypeScriptのエコシステムに投資しているチームにとっては、依然として非常に価値のある選択肢であり続ける。Shopify、Discord、Metaといった大企業がReact Nativeへの投資を続けていることは、その証拠と言えるだろう。しかし、すべての技術と同様に、React Nativeも万能ではない。それぞれのプロジェクトの要件、チームのスキルセット、目標に応じて、最適な技術を選択することが肝要だ。安易な流行に流されたり、逆に古い技術だと決めつけたりすることなく、冷静にその特性を見極めることが、システムエンジニアを目指す上で非常に重要となる。

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