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FAXモデム(ファクシミリモデム)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

FAXモデム(ファクシミリモデム)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ファクシミリモデム (ファクシミリモデム)

英語表記

fax modem (ファックスモデム)

用語解説

FAXモデムは、コンピュータを一般のアナログ電話回線に接続し、ファクシミリ(FAX)の送受信機能を実現するための装置である。コンピュータで作成した文書や画像データをFAXとして送信したり、電話回線を通じて受信したFAXをコンピュータ上で画像データとして扱ったりすることを可能にする。これは、コンピュータがデジタルデータを処理するのに対し、FAX通信がアナログ電話回線を通じて行われるため、両者間の信号変換を担う役割を果たす。かつてビジネスや個人の情報伝達手段として広く利用されたが、現在はインターネットFAXや多機能複合機の普及により、その利用頻度は減少している。

FAXモデムが登場した背景には、紙媒体による情報伝達が中心であった従来のFAX通信と、デジタルデータによる情報処理が進展するコンピュータ環境との間に、効率的な連携手段が必要であったという事情がある。従来のFAX機は、紙の文書をスキャンしてアナログ信号に変換し、電話回線を通じて別のFAX機に送信するという仕組みであった。しかし、コンピュータの普及が進み、文書作成の多くがコンピュータ上で行われるようになると、作成したデジタルデータを直接FAXとして送りたい、あるいは受信したFAXをデジタルデータとして管理したいというニーズが高まった。FAXモデムは、このようなニーズに応える形で開発された、コンピュータとFAX通信を結びつけるための重要なデバイスであった。

その基本的な動作原理は、モデム(MODEM: MOdulator-DEModulator、変調・復調装置)という名称が示す通り、デジタル信号をアナログ信号に変調して電話回線に送り出し、また電話回線から受け取ったアナログ信号をデジタル信号に復調するというプロセスに基づいている。FAXモデムの場合、この変調・復調の対象となるのは、コンピュータ上の画像データ(ビットマップデータなど)をFAX信号として扱うための特殊な信号である。国際電気通信連合(ITU-T)が定めたG3 FAXなどのプロトコルに従い、画像データをモノクロの点データに変換し、それをアナログの音声信号に似た電気信号として電話回線に乗せる。送信時には、コンピュータのFAXソフトウェアが画像データをFAX信号に変換し、FAXモデムがそのデジタル信号をアナログ信号に変調して電話回線に送出する。受信時には、FAXモデムが電話回線から送られてくるアナログ信号をデジタル信号に復調し、コンピュータのFAXソフトウェアがそれを画像データとして表示・保存する。

FAXモデムは、その接続形態によっていくつかの種類があった。内蔵型はコンピュータのマザーボードのスロット(ISA、PCI、PCI Expressなど)に直接差し込むタイプの拡張カードで、外部の配線が少なくすっきりと設置できる利点があった。外付け型は、コンピュータのシリアルポートやUSBポートにケーブルで接続するタイプで、持ち運びや別のコンピュータへの付け替えが容易である。また、ノートパソコン向けにはPCカード(PCMCIA)やExpressCardといった小型のカード型も存在し、携帯性を高める役割も果たした。

FAXモデムの主な機能は、コンピュータからのFAX送信とFAX受信である。FAX送信機能では、ワープロソフトや表計算ソフトで作成した文書ファイルを、あたかもプリンターで印刷するかのようにFAXモデムを選択し、宛先の電話番号を指定するだけで、その内容をFAXとして送信することが可能であった。この際、文書は通常、モノクロの画像データに変換される。受信機能では、電話回線に着信があった際に自動的にFAXとして受信し、その内容をコンピュータのストレージに画像ファイル(TIFFやPDFなど)として保存する。これにより、受信したFAXを画面上で確認し、不要なものを印刷せずに削除したり、必要なものだけを印刷したりすることが可能になり、紙やインクの節約にも貢献した。さらに、受信したFAXデータを他のデジタルデータと統合して管理できる点も大きなメリットであった。多くのFAXソフトウェアは、複数の宛先への一斉送信や、指定した時間に自動でFAXを送信するスケジュール送信機能も提供していた。

FAXモデムを利用する利点は多岐にわたる。最も顕著なのはペーパーレス化の推進である。紙のFAX機のように受信したFAXをすべて印刷する必要がなく、確認後すぐに削除したり、デジタルデータとして保存・管理したりできるため、紙の消費や保管スペースを削減できた。また、コンピュータ上で作成した文書を直接FAXとして送信できるため、一度印刷してからFAX機でスキャンするという手間が省け、作業効率が向上した。デジタルデータとして保存されているため、検索や共有が容易になり、情報管理の面でも優位性があった。

一方で、いくつかの欠点も存在した。FAXモデムはアナログ電話回線を使用するため、インターネット接続(ADSLや光ファイバー)が普及する以前の、一般的な電話回線が唯一の通信手段であった時代には問題なかったが、ブロードバンド環境が普及すると、アナログ回線を使用することが通信速度のボトルネックとなり、電話回線を占有するという点が不便とされた。FAXの送受信中は、その回線で通常の通話やインターネット接続ができない。また、専用のFAXソフトウェアのインストールや設定が必要であり、コンピュータのOSやハードウェアとの相性問題が発生することもあった。FAXの品質も、元の文書の解像度や電話回線の状態に依存し、常に安定しているとは限らなかった。

現代において、FAXモデムの利用は限定的である。インターネットの普及により、Eメールやチャットツール、ファイル共有サービスなどがビジネスコミュニケーションの主流となり、FAX自体の利用頻度が減少している。また、FAXが必要な場合でも、光電話などのIP電話サービスに対応したルーターにFAX機能が搭載されたり、クラウドベースのインターネットFAXサービスが利用されたりすることが多い。これらのサービスは、コンピュータから直接インターネット経由でFAXを送受信でき、電話回線を占有せず、どこからでもアクセスできるという利点がある。また、プリンター、コピー機、スキャナー、FAXの機能を一台にまとめた複合機(MFP: Multi-Function Printer)がオフィス環境で広く普及したことも、単機能のFAXモデムの需要を低下させた一因である。しかしながら、特定の業界や企業では、依然としてFAXが主要な連絡手段として残っている場合があり、レガシーシステムとの互換性や、電話回線が安定していることを重視する環境では、現在でもFAXモデムが利用されることがある。システムエンジニアを目指す上では、過去の技術が現在のシステムの基盤となっていることや、特定のニーズに応じて今も活用されているケースがあることを理解しておくことが重要である。

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