モデム(モデム)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
モデム(モデム)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
モデム (モデム)
英語表記
modem (モデム)
用語解説
モデムは、コンピュータやネットワーク機器が扱うデジタル信号と、電話回線やケーブルテレビ回線などのアナログ信号を相互に変換する装置である。その名称は「MOdulator(変調器)」と「DEModulator(復調器)」を組み合わせた造語であり、この二つの機能を持つことを示している。具体的には、コンピュータから送られる「0」と「1」で構成されるデジタルデータを、アナログ回線で伝送可能な波の形(アナログ信号)に変換(変調)し、逆にアナログ回線から受け取った波の形を「0」と「1」のデジタルデータに戻す(復調)役割を担っている。これにより、デジタル機器とアナログ通信回線との間でスムーズなデータ通信を実現する。かつてのインターネット接続において、電話回線を通じてコンピュータをインターネットに接続する際には、このモデムが不可欠な装置であった。
詳細を述べると、コンピュータが生成するデータは「オン」か「オフ」を示す「0」と「1」のデジタル情報であり、これは電圧の高低などの離散的な値で表現される。一方、電話回線や初期の長距離通信回線は、人間の音声のように連続的に変化する波形(アナログ信号)を伝送することを目的に設計されている。デジタル信号をそのままアナログ回線に流し込もうとすると、ノイズの影響を受けやすくなり、正確なデータを送受信することが困難になる。この問題を解決するためにモデムが必要となる。
モデムが行う「変調」とは、デジタルデータをアナログ信号の特性、例えば波の高さ(振幅)、波の数(周波数)、波の開始位置(位相)などの変化に対応させる処理である。たとえば、デジタルデータの「0」には特定の周波数の波を、「1」には別の周波数の波を割り当てる「周波数変調」や、振幅を変える「振幅変調」、位相を変える「位相変調」といった様々な方式がある。これらの方式を組み合わせることで、より多くの情報を効率的に伝送することが可能になる。反対に「復調」とは、通信回線を通じて送られてきたアナログ信号のこれらの特性変化を検出し、元のデジタルデータである「0」と「1」に正確に変換し直す処理を指す。この変調と復調のプロセスを高速かつ正確に行うことで、離れた場所にあるコンピュータ間で信頼性の高いデータ通信が確立される。
モデムは利用される通信回線の種類に応じて様々な進化を遂げてきた。最も初期に普及したのは、一般的な電話回線を利用する「アナログモデム」である。これは、ダイヤルアップ接続方式を採用し、電話回線を占有して通信を行うため、通信中は通話ができないという制約があった。通信速度も最大で56kbpsと比較的低速であった。その後、デジタル回線であるISDN(サービス総合デジタル網)の時代には「ターミナルアダプタ(TA)」という装置が用いられたが、これはデジタル回線上でデジタルデータを扱うため、厳密にはアナログ信号への変換を行うモデムとは異なる。しかし、利用者から見ればコンピュータと回線を接続する装置として、モデムと類似の役割を果たした。
さらに高速なインターネット接続を求める声が高まると、既存の電話回線を利用しつつ、音声通話に利用する周波数帯域とは異なる高周波数帯域を使ってデジタルデータを伝送する「ADSL(非対称デジタル加入者線)モデム」が登場した。ADSLでは、音声通話とインターネット接続を同時に利用できる利点があり、最大で数十Mbps程度の速度を実現した。また、ケーブルテレビの同軸ケーブル網を利用してインターネット接続を提供する「ケーブルモデム」も普及した。これは、テレビ放送の周波数帯域とは異なる帯域を使ってデータ通信を行い、地域によってはADSLよりも高速なサービスを提供した。
現代において主流となっている光ファイバー回線を利用したインターネット接続では、「ONU(光回線終端装置)」がその役割を担っている。ONUは、光ファイバーを流れる光信号を電気信号に変換し、逆に電気信号を光信号に変換する装置であり、機能としてはデジタル信号と回線固有の信号を相互変換する点でモデムと非常に似ている。しかし、伝送媒体が電気信号ではなく光信号であるため、通常は「光モデム」という呼称はあまり使われず、「ONU」または単に「終端装置」と呼ばれることが多い。光回線は、Giga-bpsを超える非常に高速な通信速度を提供し、現代のインターネット環境の基盤となっている。
これらのモデムや終端装置は、通常、イーサネットケーブル(LANケーブル)を用いてコンピュータやWi-Fiルーターなどのネットワーク機器と接続される。そして、装置本体はそれぞれの通信事業者から提供される専用の回線(電話線、同軸ケーブル、光ファイバーなど)に接続されることで、外部のネットワーク、すなわちインターネットへのゲートウェイとなる。現代のネットワーク環境において、アナログモデムやADSLモデムの利用は大幅に減少しているが、ケーブルモデムやONUは、デジタル機器がインターネットに接続するための重要な役割を担い続けている。それぞれの通信方式に応じて最適な変換装置を用いることで、私たちは高速で安定したインターネット接続を享受できるのである。