OPC(オーピーシー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
OPC(オーピーシー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
オプシー (オプシー)
英語表記
OPC (オーピーシー)
用語解説
OPCとは、主に産業オートメーション分野において、異なるメーカーの機器やソフトウェア間でデータをやり取りするための標準的なインターフェース規格である。その名称は「OLE for Process Control」に由来し、もともとはMicrosoftのOLE(Object Linking and Embedding)技術を基盤としていたが、現在はより広範な技術へと進化している。OPCは、工場内のセンサー、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、DCS(分散制御システム)といった現場の制御機器から、SCADA(監視制御およびデータ収集)、MES(製造実行システム)、ERP(企業資源計画)などの上位システムまで、様々なレベルのシステム間でデータを効率的かつ安全に交換することを目的としている。これにより、特定のベンダーに縛られることなく、多様な機器やソフトウェアを組み合わせてシステムを構築できるという大きなメリットが生まれる。
OPCが登場する以前は、工場内の各機器やシステムがそれぞれ独自の通信プロトコルやデータ形式を持っていたため、異なるメーカーの製品を連携させるには、個別の専用ドライバーやゲートウェイを開発する必要があった。これはシステム構築のコストと時間を増大させ、柔軟なシステム変更を困難にしていた。OPCはこの課題を解決するために考案された。OPCサーバーと呼ばれるソフトウェアが各機器のデータを標準的なOPC形式に変換して提供し、OPCクライアントと呼ばれるソフトウェアがそのサーバーからデータを読み取るという、クライアント・サーバーモデルを採用することで、異種ベンダー間のデータ連携を容易にした。
OPCには大きく分けて、「OPC Classic」と「OPC Unified Architecture(OPC UA)」の二つの世代が存在する。
まず、初期のOPC Classicは、主に以下の三つの主要な仕様から構成されていた。一つは「OPC Data Access(OPC DA)」であり、これはリアルタイムのプロセスデータ、例えば温度、圧力、モーターの回転数といった現在の値を読み書きするための標準である。二つ目は「OPC Alarms & Events(OPC AE)」で、機器で発生したアラームやイベント、例えば異常停止や警告メッセージなどを通知するための標準である。そして三つ目は「OPC Historical Data Access(OPC HDA)」であり、これは過去のプロセスデータ、つまり履歴データを取得するための標準を定義している。OPC ClassicはWindows OSに依存し、DCOM(Distributed Component Object Model)と呼ばれるMicrosoftの技術を利用していた。これにより、同一ネットワーク内のWindows PC間でのデータ連携は容易になったものの、DCOMの設定が複雑であること、ファイアウォールを越えるのが困難であること、そしてWindows以外のOSやプラットフォームで利用できないといった課題を抱えていた。特に、DCOMはセキュリティ上の脆弱性も指摘されることがあり、エンタープライズシステムやインターネットを介した連携には限界があった。
これらのOPC Classicの課題を抜本的に解決するために開発されたのが「OPC UA」である。OPC UAは、その名の通り「統一されたアーキテクチャ」を意味し、OPC Classicの複数の仕様を一つに統合するとともに、現代のIT環境に適合するように全面的に再設計された。OPC UAの最大の特徴は、そのプラットフォーム非依存性にある。Windowsだけでなく、Linux、macOS、組み込みシステムなど、様々なOS上で動作可能であり、C++、Java、Python、.NETなど、多様なプログラミング言語で実装できる。これは、DCOMのような特定の技術に依存せず、Webサービス技術やTCP/IPプロトコルを基盤としているためである。
OPC UAはセキュリティ面も大幅に強化されている。ユーザー認証、データ暗号化、デジタル署名といった強固なセキュリティ機能が標準で組み込まれており、安全なデータ通信を保証する。また、ファイアウォールを越えてインターネット経由でのデータ連携も容易に行えるため、遠隔地にある工場やクラウドサービスとの接続も可能になった。さらに、OPC UAは「情報モデル」という概念を導入し、単なるデータ値だけでなく、そのデータの意味や構造、他のデータとの関係性までを表現できるようになった。これにより、異なるシステム間でデータの解釈の違いによる誤解を防ぎ、より高度な情報連携を実現する。例えば、あるデータが「モーターAの温度」であることを明確に定義し、その温度が危険域に達した際のアラーム情報や、過去の温度履歴データまでを統合的に扱うことができる。
このようなOPC UAの特性は、昨今のIoT(Internet of Things)やIndustry 4.0といった製造業のデジタルトランスフォーメーションを推進する上で不可欠な技術となっている。工場内の膨大なデータをリアルタイムに収集し、それをクラウド上で分析して生産性の向上や予知保全に役立てるといった取り組みにおいて、OPC UAは機器とITシステム、さらにはクラウドサービスを結びつける「標準のデータ基盤」としての役割を担っている。システムエンジニアにとって、OPC、特にOPC UAの理解は、スマートファクトリーや産業IoTソリューションを設計・構築する上で非常に重要な知識となる。現場の制御システムから経営情報システムまで、あらゆるレイヤーでのデータ統合と活用を実現するための鍵となる技術が、このOPCなのである。