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PPPoA(ピーピーピーオーエー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

PPPoA(ピーピーピーオーエー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

PPPoA (ピーピーポア)

英語表記

PPPoA (ピーピーポア)

用語解説

PPPoAは、Point-to-Point Protocol over AAL5の略称であり、主にADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)サービスにおいて、ユーザー宅からインターネットサービスプロバイダ(ISP)までの通信を確立するために利用されたプロトコルである。これは、ユーザーのコンピュータとISPのサーバー間でPPP(Point-to-Point Protocol)を利用して通信を行うための方式の一つで、特にATM(Asynchronous Transfer Mode)ネットワーク上でPPPを動作させるための技術として開発された。

詳細として、PPPoAの理解には、まずPPP、AAL5、そしてATMネットワークの概念を知ることが重要である。PPP(Point-to-Point Protocol)は、2点間(ポイント・ツー・ポイント)の接続において、データリンク層で動作するプロトコルである。これは、ダイヤルアップ接続など、昔からコンピューターとインターネットプロバイダーを接続するためによく使われてきた。PPPの主な機能には、接続の確立と終了、ユーザー認証(例えばユーザー名とパスワードによるログイン)、IPアドレスの割り当て、そして通信エラーの検出と回復などがある。これにより、ユーザーは安全かつ効率的にネットワークに接続し、IP(Internet Protocol)通信を行うことが可能となる。

次にAAL5(ATM Adaptation Layer 5)は、ATMネットワークにおけるデータ適応層の一つである。ATMは、音響や映像といったリアルタイム性の高いデータ通信を効率的に行うために設計されたネットワーク技術で、すべてのデータを固定長の「セル」と呼ばれる小さなパケットに分割して転送する。AAL5は、イーサネットフレームやIPパケットといった可変長のデータを、ATMの固定長セルに収まるように分割したり、逆に復元したりする役割を担う。具体的には、PPPoAではPPPフレームがAAL5によってATMセルにカプセル化され、ATMネットワーク上を転送される。これにより、PPPの機能がATMネットワークを介して利用できるようになる。

PPPoAの具体的な仕組みは、まずユーザーのコンピュータがPPPoAクライアントとして動作し、DSLモデムを介してISPに接続を要求する。この際、PPPの接続確立フェーズが開始され、ユーザー認証情報(ユーザー名とパスワード)がPPPフレームに格納されて送信される。このPPPフレームはDSLモデムによってAAL5の処理を受け、さらにATMセルに分割されて、電話回線を通じてISP側のDSLアクセス多重化装置(DSLAM)に送られる。DSLAMは、複数のADSL回線を収容し、ATMネットワークに接続する装置である。ISP側でこれらのATMセルが再構築され、PPPフレームとしてISPのルーターに渡される。ISPのルーターはPPP認証を行い、成功すればユーザーに一時的なIPアドレスを割り当て、インターネットへの接続を許可する。このようにして、PPPoAはDSL回線を介したインターネット接続において、ユーザー認証とIPアドレスの取得を可能にしていた。

PPPoAとよく比較されるプロトコルにPPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)がある。PPPoEは、その名の通りイーサネット(Ethernet)上でPPPを利用するためのプロトコルである。ADSLが登場した初期の頃、DSLモデムの多くはEthernetインターフェースを備えていたため、コンピューターとモデム間はEthernetで接続され、モデムとISP間はATMで接続されることが多かった。PPPoAは主にモデムとISP間のATM網で利用されたが、PPPoEはユーザーのコンピュータから直接イーサネット接続でISPとPPPセッションを確立する際に使われる。PPPoAの利点の一つは、ATMネットワークの特性を直接利用するため、PPPoEに比べてプロトコルのオーバーヘッドがわずかに小さい点であった。しかし、PPPoEは、LANで広く普及しているEthernetを前提としているため、ネットワーク機器の互換性や設定の容易さといった点で優れていた。

現在のインターネット接続では、光ファイバー回線が主流となり、ネットワークのほとんどがEthernetベースで構成されている。そのため、ATMネットワークの利用は大幅に減少し、それに伴いPPPoAの利用もほとんど見られなくなった。光回線においては、PPPoEが依然として広く利用されているが、最近ではさらにIPoE(IP over Ethernet)と呼ばれる、PPPによる認証を必要としない新しい接続方式も普及してきている。PPPoAは、ADSL時代のインターネット接続を支えた重要な技術の一つであり、インターネットの歴史の一コマとして理解しておく価値のあるプロトコルである。今日、システムエンジニアを目指す上では直接扱う機会は少ないかもしれないが、異なるネットワーク技術の上にいかにして既存のプロトコルを適応させるか、という設計思想を学ぶ上で参考となるだろう。

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