Windows Azure(ウィンドウズ アズール)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
Windows Azure(ウィンドウズ アズール)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ウィンドウズ アジュール (ウィンドウズアジュール)
英語表記
Windows Azure (ウィンドウズアジュール)
用語解説
「Windows Azure」は、マイクロソフト社が提供していたクラウドコンピューティングプラットフォームの名称である。2008年に発表され、2010年に正式サービスを開始した後、2014年には「Microsoft Azure」へと名称を変更し、現在に至る。この名称変更は、Windows以外の多様な技術やオープンソースソフトウェアにも対応する、より広範なプラットフォームであることを示す意図があった。
システムエンジニアを目指す初心者にとって、クラウドコンピューティングとは、インターネット経由でサーバー、ストレージ、データベース、ネットワーク、ソフトウェア、分析、インテリジェンスなどのコンピューティングサービスを利用することと理解すると良い。従来、システムを構築するには、企業が自社で物理的なサーバー機器を購入し、設置し、運用・管理する必要があった。これには多大な初期投資、専門知識を持つ人材、そして維持管理のコストと手間がかかる。Windows Azureは、これらの物理的な制約から解放され、必要な時に必要な分だけITリソースを借りて利用できる環境を提供するものだった。
その概要として、Windows Azureが提供するサービスは大きく分けて、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)の3つのモデルに分類される。IaaSは、インフラ基盤そのものをサービスとして提供するモデルで、仮想マシン、仮想ネットワーク、ストレージなどが含まれる。利用者はOSやミドルウェア、アプリケーションを自由に構成できるため、自社でサーバーを所有する場合に近い自由度を持つ。PaaSは、アプリケーションの開発・実行環境をサービスとして提供するモデルで、Webアプリケーションやモバイルバックエンド、データベースなどが該当する。開発者はインフラの管理から解放され、アプリケーションの開発に集中できるため、開発効率の向上が期待できる。SaaSは、完成されたソフトウェアをサービスとして提供するモデルで、利用者はウェブブラウザなどを通じてすぐに利用を開始できる。Windows Azureは、SaaSの基盤となるPaaSやIaaSを提供することで、幅広いニーズに対応していた。
詳細な機能とサービスについて見ていくと、Windows Azureは、その名称が示す通り、当初はマイクロソフトのWindows Server技術や.NET Frameworkを基盤としたサービス展開に強みを持っていた。特にPaaSとしての提供が重視され、開発者がWebサイトやクラウドサービスを簡単にデプロイし、運用できる環境が提供された。
具体的なサービスとしては、まず「Azure Virtual Machines」がある。これはIaaSに分類され、Windows ServerだけでなくLinuxなどの多様なオペレーティングシステムを選択し、仮想サーバーを構築・運用できるサービスだ。これにより、既存のオンプレミス環境で稼働していたシステムをクラウドへ移行したり、新しい環境を柔軟に構築したりすることが可能になった。
次に、「Azure App Service」の前身となる「Webサイト(Web Sites)」や「クラウドサービス(Cloud Services)」がある。これらはPaaSに分類され、開発者がASP.NET、PHP、Node.jsなどの言語で開発したWebアプリケーションを簡単にホストし、スケーラブルに運用できる環境を提供した。Webアプリケーションのトラフィックが増加しても、サーバーインスタンスを自動的に追加するなどの機能により、安定したサービス提供を支援した。
データベースとしては、「Azure SQL Database」が提供された。これはマイクロソフトのSQL Serverをベースにしたリレーショナルデータベースサービスで、データベースのインストールやメンテナンス、バックアップといった管理業務をマイクロソフトが担うため、利用者はデータ構造の設計やクエリの最適化など、アプリケーション開発に注力できる利点があった。高い可用性とスケーラビリティを持ち、ビジネスアプリケーションのバックエンドとして広く利用された。
ストレージサービスもWindows Azureの重要な要素であった。「Azure Storage」は、大量のデータを安全かつ耐久性高く保存するための多様なオプションを提供した。具体的には、非構造化データを保存する「Blob Storage」(画像や動画ファイルなど)、アプリケーションのファイルシステムとして利用できる「File Storage」、メッセージキューイングを行う「Queue Storage」、NoSQLデータベースとして機能する「Table Storage」などがあり、システムの要件に応じて最適なストレージを選択できた。
ネットワーク機能も充実しており、仮想ネットワークを通じてクラウド上のリソースをセキュアに接続したり、オンプレミス環境とクラウドをVPNで接続したりすることが可能だった。これにより、ハイブリッドクラウド環境の構築も容易になった。
Windows Azureの最大のメリットは、初期投資が不要で、利用した分だけ料金を支払う従量課金モデルであった点だ。これにより、企業はシステム構築の固定費を削減し、必要な時に必要なリソースを柔軟に調達・解放できるようになった。また、複数のデータセンターにリソースを分散配置することで、高い可用性と耐障害性を実現し、システムのダウンタイムを最小限に抑えることが可能だった。災害対策の観点からも、地理的に離れたデータセンターへのデータレプリケーション機能は非常に有効な手段となった。
セキュリティ面でも、マイクロソフトはデータセンターの物理的セキュリティからネットワークセキュリティ、データ暗号化、アクセス管理に至るまで、多層的なセキュリティ対策を講じていた。これにより、利用者企業は自社で高度なセキュリティ専門家を抱えることなく、安心してシステムを運用できる環境が提供された。
このように、Windows Azureは、システム開発と運用のあり方を大きく変革し、現在の「Microsoft Azure」へと発展する基盤を築いた、画期的なクラウドプラットフォームであった。