WWID(ダブルウィッド)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
WWID(ダブルウィッド)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ワイワイアイディ (ワイワイアイディ)
英語表記
WWID (ダブリューダブリューアイディー)
用語解説
WWIDとは「World Wide Identifier(世界共通識別子)」の略称であり、ストレージネットワーク、特にファイバーチャネル(Fibre Channel, FC)環境において、ストレージデバイスやホストバスアダプター(Host Bus Adapter, HBA)などのコンポーネントをグローバルかつ永続的に識別するための一意の識別子である。これは、IPネットワークにおけるMACアドレスがネットワークインターフェースカード(NIC)を一意に識別するのと似ているが、WWIDは主にストレージ層のデバイス、つまりストレージシステム全体、またはその特定のポートを識別するために用いられる。WWIDの最も重要な特性は、その「グローバルな一意性」と「永続性」にある。一度割り当てられたWWIDは、物理的なポートが変更されたり、ホストシステムが再起動されたりしても変わることはなく、世界中のどのデバイスとも重複しないように設計されている。この特性により、ストレージ環境におけるデバイスの安定した認識と管理が実現される。
WWIDは、単なるデバイスのアドレスではなく、ストレージリソースへのアクセスを制御し、システム全体の信頼性を高める上で極めて重要な役割を果たす。
まず、WWIDはストレージリソースの特定と管理に不可欠である。サーバーがストレージに接続する際、どのサーバーがどのストレージボリュームにアクセスするのかを正確に識別する必要がある。WWIDはこの識別プロセスの中核をなし、サーバーのHBAポートとストレージアレイのポートをそれぞれ一意に識別することで、特定のストレージボリュームへのアクセス制御を可能にする。
ストレージエリアネットワーク(SAN)環境では、WWIDは特に「ゾーニング」と「LUNマスキング」という2つの主要なセキュリティおよびアクセス制御機能に利用される。ゾーニングとは、SAN内で特定のWWIDを持つデバイス間でのみ通信を許可する設定のことである。これにより、不必要な通信を制限し、セキュリティを強化するとともに、ストレージネットワークの安定性を向上させる。例えば、あるサーバーグループと特定のストレージアレイの間だけで通信を許可し、他のサーバーからは見えないようにするといった制御が可能になる。LUNマスキングは、特定のWWIDを持つホスト(サーバー)に対してのみ、特定のLUN(Logical Unit Number、ストレージアレイ上の論理的なディスクボリューム)へのアクセスを許可する設定である。これにより、データが意図しないサーバーからアクセスされるのを防ぎ、データ保護とアクセス制御を確実にする。例えば、本番環境のサーバーには本番用データが格納されたLUNのみを割り当て、開発環境のサーバーには開発用データが格納されたLUNのみを割り当てるといった厳密な制御が可能となる。
また、WWIDの永続性は、デバイス障害からの復旧やマルチパス構成において大きな利点をもたらす。物理的なポートが故障したり、ケーブルが抜き差しされたりして、接続パスが変わったとしても、WWID自体は変化しないため、OS側は同じデバイスとして認識し続けることができる。これにより、サービスの中断を最小限に抑え、復旧プロセスを簡素化できる。マルチパス構成においては、複数の物理パスを通じて同じストレージデバイスにアクセスする際に、WWIDを用いてデバイスを識別することで、パスの冗長性を確保し、万が一のパス障害時にもサービスを継続できるだけでなく、複数のパスを介してデータの入出力を分散することでパフォーマンス向上を図ることも可能になる。
WWIDのフォーマットは、通常、16進数で表現される16桁の文字列(8バイト)であり、例えば「50:06:01:60:8C:C0:FF:FF」のような形式をとる。この文字列は、IEEE(米国電気電子学会)が管理するOUI(Organizationally Unique Identifier)に基づいており、最初の数桁はベンダー(製造元)を識別するコード、残りの部分がベンダーによって割り当てられるユニークな識別子となっている。
WWIDにはいくつかの具体的な実装形態がある。特にファイバーチャネル環境で広く使われるのが「WWN(World Wide Name)」である。WWNには、さらに「WWPN(World Wide Port Name)」と「WWNN(World Wide Node Name)」の2種類が存在する。WWPNは、ファイバーチャネルHBAのポートやストレージコントローラーのポートなど、個々のポートに割り当てられる。ポートごとに異なるため、物理的なポートを一意に識別する。一方、WWNNは、HBAカード全体やストレージシステム全体など、ノード(デバイス)全体に割り当てられる。一つのデバイスに複数のポートがあっても、WWNNは一つだけである。これにより、デバイス全体を一意に識別できる。WWIDはWWNに限らず、例えばSCSIデバイスで使用される識別子(SCSI ID)のように、特にLUNの永続的な識別に利用される場合もある。これらの概念は共通しており、デバイスやリソースを永続的に識別するという目的は同じである。
システムエンジニアを目指す初心者がWWIDを理解する上で重要なのは、これが単なる文字列ではなく、ストレージインフラの安定性とセキュリティを支える基盤であると認識することである。ファイバーチャネルSAN環境ではWWNがWWIDの代表的な形式として使われることを覚えておくと良い。また、OSのコマンドラインツール(Linuxであればmultipath -llや/sys/class/fc_host配下の情報、Windowsであればデバイスマネージャーなど)や、HBAベンダーが提供するユーティリティ、ストレージアレイの管理インターフェースなどから、実際のWWIDを確認する方法も習得しておくことが推奨される。WWIDを適切に管理し、利用することで、複雑なストレージ環境を安定稼働させ、効率的に運用することが可能となる。