【ITニュース解説】I Spent 6 Hours Per Blog Post Until I Built This AI Content Platform
2025年10月05日に「Dev.to」が公開したITニュース「I Spent 6 Hours Per Blog Post Until I Built This AI Content Platform」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
ブログ記事作成に6時間かかっていた開発者が、非効率な作業やSanity CMSの書式変換に悩み、AIプラットフォーム「Terradium」を開発した。マルチエージェントAIで記事企画から執筆、CMSへの自動変換までを実現し、作業時間を大幅に短縮した。
ITニュース解説
ある開発者が、日々のブログ記事作成に膨大な時間を費やし、特にコンテンツ管理システム(CMS)の一つであるSanityの「Portable Text」形式への変換作業に苦痛を感じていた経験から、この問題を解決する新しいAIコンテンツプラットフォーム「Terradium」を開発した経緯が語られている。
この開発者は以前、クライアントのためにブログ記事を執筆していたが、一つの記事に4〜6時間もの作業時間を要していた。その内訳は、キーワード調査と競合分析に1〜2時間、記事の執筆と編集に2〜3時間、そしてSanityのPortable Text形式への手動変換に丸1時間もかかっていた。この最後のPortable Textへの変換作業が、彼にとって最も負担の大きい部分であった。SanityのPortable Textは柔軟で強力な機能を持つが、コンテンツを手作業でJSONのような複雑なデータ構造に変換することは、非常に手間がかかり、特に文字数が多い記事や画像、リンク、見出しを含む場合には、さらに時間がかさむ。
既存の変換ツールも試したが、複雑な書式に対応できなかったり、Sanityにうまく連携できなかったり、結局手動での修正が必要だったり、コストが見合わなかったりといった問題があったため、自らの手で解決策を構築することを決意したのである。
当初はMarkdown形式のテキストをPortable Textに変換するシンプルなスクリプトとして始まったこのプロジェクトは、進化を遂げ、最終的にAIを活用したコンテンツプラットフォーム「Terradium」へと発展した。Terradiumは、単なる変換ツールに留まらず、コンテンツ作成プロセス全体を自動化し、効率化することを目指している。
Terradiumの主な機能として、AIマルチエージェントシステムが挙げられる。これは、コンテンツ作成の各段階を専門のエージェントが分担して実行する仕組みである。まず「マスターコーディネーター」というエージェントがコンテンツ戦略全体を計画する。次に「SEOリサーチエージェント」がPerplexity AIのようなツールを使い、リアルタイムで競合分析を行いながらキーワードを調査する。「コンテンツライター」エージェントは、その情報に基づいてSEOに最適化された記事を生成する。生成された記事は「コンテンツインプルーバー」エージェントによってレビューされ、品質が向上される。そして最後に「Sanityパブリッシャー」エージェントが、以前手動で苦労していたPortable Textへの自動変換と公開作業を担う。
さらに、Terradiumは単発の記事生成だけでなく、大規模なコンテンツプランニングも可能にする。例えば「開発者向けのAIツール」といった入力を行うと、キーワード調査、関連トピックのグループ化(トピッククラスター)、公開スケジュール、SEO最適化を含む12本の記事からなる包括的なコンテンツ計画全体を自動で生成できる。
AI利用におけるコストの透明性を確保するため、「エレクトロンシステム」という独自の課金システムも導入されている。これは、プラットフォーム上でのあらゆる操作に「エレクトロン」という仮想通貨が必要となり、利用者はリアルタイムで残高を確認できるため、予期せぬ請求に驚くことがない。例えば、SEO調査を含む完全な記事生成には約6エレクトロンがかかり、これはプランによって約0.40ドルから0.60ドルに相当する。
Terradiumの技術スタックは、開発者が現代でよく利用するツールで構成されている。フロントエンドには、Next.js 15のApp Router、静的型付けでコードの品質を高めるTypeScript、効率的なスタイリングのためのTailwindCSS v4、そして再利用可能なUIコンポーネントを提供するShadcn/uiが採用されている。バックエンドには、リアルタイムなデータ更新に強いConvexがデータベースとして利用され、認証システムにはClerkが使われている。特にConvexの採用により、AIエージェントが各作業を進める様子をリアルタイムで画面に表示できるという特徴があり、ユーザーは「ブラックボックス」ではなく、進捗を明確に確認できる。
この開発を通じて、筆者はいくつかの重要な教訓を得た。一つは、OpenAIのストリーミングAPIのように、AIのレスポンスをリアルタイムで少しずつ受け取り、UIに反映する「ストリーミングAIレスポンス」の有効性である。これにより、ユーザーは長い待ち時間なしに処理の進行状況を確認でき、ユーザー体験が大幅に向上した。二つ目は、Convexのようなリアルタイムデータベースの導入が、リアルタイム機能の実装を驚くほど容易にしたことである。従来のREST APIを使った開発では、WebSocketsや定期的なデータ更新(ポーリング)といった複雑な仕組みが必要であったが、Convexはデータの変更が自動的にアプリケーションに反映されるため、開発が大幅に簡素化された。三つ目は、AIエージェントの出力に「ガードレール」を設けることの重要性である。初期のAIは時に意図しない出力を生成することがあったため、出力の構造(スキーマ)を定義し、それに沿ったバリデーションを行うことで、AIが制約の中で創造性を発揮しつつ、正確で信頼性の高いコンテンツを生成できるようにした。
Terradiumは現在ベータ版として公開されており、AIによるコンテンツ生成、Sanity CMSへの自動公開、コンテンツプランニング、リアルタイムの進捗追跡、そして透明性の高いエレクトロンベースの料金体系が利用可能である。今後は、WordPressやContentfulといった他のCMSとの統合、カスタムAIモデルのサポート、チームコラボレーション機能、高度な分析機能なども追加される予定である。
料金体系は、ライターを雇う費用と比較して非常にリーズナブルに設定されており、無料枠でも30エレクトロン(約10記事分)が提供され、月額プランも用意されている。
このプラットフォームは、コンテンツ作成に多くの時間を費やしている人、CMSの書式設定に悩んでいる人、クライアント向けのコンテンツ作成を行っている人、または開発者ブログやドキュメントサイトを運営している人など、幅広いユーザーを対象としている。開発者は、静的サイトジェネレーターへの対応や、エレクトロンシステムの直感性、優先すべきCMSの統合といった点について、コミュニティからのフィードバックを積極的に求めている。彼の目標は、自身の問題を解決するために生まれたツールが、同じような課題を持つ多くの人々の助けとなることである。