Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

【ITニュース解説】I Built a VS Code Extension That Stops Me From Writing Terrible AI Prompts (and it's kinda working)

2025年09月30日に「Dev.to」が公開したITニュース「I Built a VS Code Extension That Stops Me From Writing Terrible AI Prompts (and it's kinda working)」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

VS Code拡張機能「ThoughtTap」は、AIへの指示(プロンプト)を自動でプロジェクトの文脈に合わせて最適化する。開発者はAIに技術スタックを説明する手間が省け、AIからの回答の質を高め、時間を大幅に節約できる。プロジェクト分析はローカル処理のため情報漏洩のリスクが低く、無料版も提供している。

ITニュース解説

AIチャットボットを日々の開発作業で活用するシステムエンジニア(SE)にとって、一つの大きな課題がある。それは、AIに質問するたびに、自分の開発環境や使っている技術スタック(プログラミング言語、フレームワーク、デプロイ環境など)をいちいち説明しなければならないという手間である。例えば、「このバグを修正して」とコードを貼り付けても、AIはそれがTypeScriptとReactを使ったマイクロサービスであり、AWS Lambdaにデプロイされているといった背景を知らないため、一般的な回答しか返せず、結局ユーザーが何度も追加で状況を説明する必要がある。このやり取りには多大な時間がかかり、開発効率を大きく低下させていた。

このような非効率を解決するために開発されたのが、「ThoughtTap(ソートタップ)」というVS Codeの拡張機能である。ThoughtTapは、開発者がAIに送るプロンプトを、現在のプロジェクトの文脈(コンテキスト)を自動的に考慮して最適化するツールだ。これにより、AIは質問された内容だけでなく、その質問がどの技術環境で発生しているかを最初から理解した上で、より正確で役立つ回答を一度で提供できるようになる。

ThoughtTapが具体的に何をするかというと、開発者がVS Code上で簡単なプロンプトを入力するだけで、それを自動的に詳細なプロンプトに変換してくれる。例えば、「このデータベースクエリを最適化して」という漠然としたプロンプトは、ThoughtTapを通すことで「Node.js TypeScriptアプリケーションでPrisma ORMを使用し、AWS LambdaにデプロイされたマイクロサービスアーキテクチャのPostgreSQLクエリを最適化して。現在のクエリ実行時間は2.3秒で、500ミリ秒未満にする必要がある。データベースインデックス、クエリ構造、およびPrisma固有の最適化を考慮すること」といった、具体的で豊富な文脈情報を含むプロンプトに生まれ変わる。この「文脈」こそがAIが的確な回答を生成するために不可欠な要素である。

この拡張機能はどのようにして文脈を理解するのだろうか。ThoughtTapはVS Codeの拡張機能APIを利用して、ユーザーのプロジェクトを自動的に分析する。具体的には、プロジェクト内のファイル拡張子や構文パターンから使用されているプログラミング言語を検出する。また、package.jsonrequirements.txtといった依存関係管理ファイルの内容を解析して、使用されているフレームワーク(例:React、Next.js)やライブラリ(例:Prisma、AWS SDK)を認識する。さらに、ワークスペースのレイアウトや依存関係からプロジェクトの全体構造やアーキテクチャパターン(例:マイクロサービス)も把握する。ユーザーが特定のコードブロックを選択している場合は、そのコード自体の文脈も考慮に入れる。この全ての分析処理はユーザーのVS Code上でローカルに行われるため、開発中のコードが外部のサーバーに送信されることは一切なく、セキュリティとプライバシーが保たれるという点が重要だ。最適化エンジンは、文法や構造の改善、一般的な開発パターン(デバッグ、コードレビューなど)に合わせたテンプレートマッチングを迅速に実行する。

ThoughtTapを導入することで、開発者は多くのメリットを享受できる。まず、AIとの複雑なやり取りにおいて、1回あたり10〜15分もの時間を節約できると報告されている。これは、AIへの追加説明が不要になるためである。結果として、AIからの最初の応答の質が3〜4倍向上し、的確な解決策をより早く得られるようになる。さらに、AIとの往復回数が大幅に減少し、無駄なAI APIトークン(AIの利用量に応じたコスト)の消費も抑えられる。

ThoughtTapの開発者は、外部のベンチャーキャピタルからの資金に頼らず、ユーザーからのフィードバックを最優先に製品開発を進める方針を採っている。これは、ユーザーのニーズに基づいて製品を形成し、プライバシーを重視したローカル処理とユーザー自身のAIキーの使用を徹底するという姿勢の表れである。料金体系も公正であり、月額6.99ドルのPro版は、競合製品よりも約30%安価に設定されている。

この拡張機能はまずVS Code向けにリリースされたが、今後はCursorやWindsurfといったAIを搭載した新しいコードエディタにも対応していく予定だ。これは、AIを活用した開発環境が多様化する中で、開発者がどのエディタを使っていようともThoughtTapの恩恵を受けられるようにするためである。

ThoughtTapには無料版と有料のPro版が提供されている。無料版では、中心となる最適化エンジン、10種類の開発者テンプレート、言語やフレームワークなどの文脈分析、最大5つのカスタムルール設定、右クリックからの最適化機能が利用できる。Pro版(月額6.99ドル)では、これらに加えて、より高度なDevOpsやアーキテクチャに関する最適化ルール、AWSやAzure、GCPといったクラウドデプロイメントの最適化機能、25種類以上の専門的なテンプレート、OpenAIやAnthropic、GoogleといったAIプロバイダーとの連携、最大20のカスタムルール、設定の同期、90日間の履歴機能などが利用可能になる。

ThoughtTapの将来のビジョンは、開発者向けツールの枠を超え、より広範な分野で文脈を意識したプロンプト最適化を提供することにある。例えば、ビジネスレポートの作成、クリエイティブなデザインブリーフの作成、学術研究における分析など、コード以外の用途でもAIの効果を最大化することを目指している。しかし、まずは開発者にとって最高の体験を提供することに注力し、そこでの成功を足がかりに次のフェーズへと進む計画だ。

現在、開発者は正式なProduct Huntでのローンチを控えており、ThoughtTapを試したユーザーからの率直なフィードバックを求めている。技術的な問題点、ユーザーインターフェースの使いやすさ、新機能の要望、そしてPro版の価格設定に対する意見など、あらゆる種類の意見が歓迎されている。

ThoughtTapはVS Code Marketplaceから簡単にインストールできる。VS Codeを開き、「ThoughtTap」を検索してインストールするだけで利用を開始できる。インストール後は、VS Code上で任意のテキストを選択し、右クリックメニューから「ThoughtTap: Optimize」を選ぶか、キーボードショートカット(Ctrl+Shift+OまたはCmd+Shift+O)を使用することで、プロンプトの最適化機能を利用できる。CursorやWindsurfユーザー向けには、来週にはOpenVSX Registryを通じて提供が開始される予定だ。

開発者は、ユーザーからのフィードバックに基づいて、今週はバグ修正や最も要望の多い機能の追加を行う。来週には、OpenVSX Registryへの公開とCursorおよびWindsurfマーケットプレイスでのローンチを行い、その後数週間でProduct Huntでのローンチと本格的なマーケティングキャンペーンを展開する予定だ。さらに数ヶ月後には、より高度なAIプロバイダー連携やカスタムテンプレートビルダー、チームコラボレーション機能なども追加していく計画がある。ThoughtTapは、ユーザーのニーズに耳を傾け、長期的な視点で価値を提供し続ける持続可能なビジネスモデルを目指している。

AIを活用した開発が日常的になる中で、AIとの効果的なコミュニケーションはシステムエンジニアにとって不可欠なスキルとなる。ThoughtTapは、そのコミュニケーションの質を大幅に向上させ、開発者の時間と労力を節約するための強力なツールである。

関連コンテンツ

関連IT用語

関連ITニュース