【ITニュース解説】【AWS初心者も安心】Webサービス開発で最初に検討すべき「4つの必須要件」とは?
2025年09月08日に「Qiita」が公開したITニュース「【AWS初心者も安心】Webサービス開発で最初に検討すべき「4つの必須要件」とは?」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AWSでWebサービスを開発する際、まず検討すべき4つの必須要件がある。ドメイン名を扱うDNS、コンテンツを高速配信するCDN、セキュリティ対策のWAF、サーバーの負荷を分散するALBだ。記事ではこれらを組み合わせた基本的なシステム構成を紹介している。
ITニュース解説
Webサービスを開発する際、特にAWSのようなクラウドプラットフォームを利用する場合、単にプログラムが動作する環境を作るだけでは不十分である。将来のアクセス増加や予期せぬ障害、セキュリティ攻撃に耐えうる、堅牢で信頼性の高いシステムを最初から設計することが極めて重要になる。ここでは、インターネットに公開するWebサービスをAWS上で構築する際に、初期段階で必ず検討すべき4つの必須要件について解説する。
第一の要件は「スケーラビリティ」である。これは、サービスの利用者やアクセス数が増加した際に、システムの処理能力を柔軟に拡張できる能力を指す。例えば、メディアで紹介されたり、キャンペーンが成功したりしてアクセスが急増した際、サーバーが処理しきれずにサービスが停止してしまっては、大きな機会損失につながる。これを防ぐため、AWSではElastic Load Balancing(ELB)とAuto Scaling Group(ASG)を組み合わせた構成が一般的に用いられる。ELBは、複数のサーバーにアクセスを均等に振り分ける負荷分散装置の役割を担う。一方、ASGはサーバーの負荷状況を監視し、あらかじめ設定した基準(例えばCPU使用率が70%を超えたら)に基づいて、自動的にサーバーの台数を増やしたり、逆にアクセスが少ない時間帯には減らしたりする機能を持つ。これにより、常に最適なリソースでサービスを運用でき、コストの無駄を省きながら、突然のアクセス増にも対応可能となる。データベースにおいてもスケーラビリティは重要であり、AWSのマネージドデータベースサービスであるRDSでは、サーバーの性能自体を向上させる「スケールアップ」や、読み取り専用のデータベースの複製(リードレプリカ)を作成して読み取り処理の負荷を分散する手法が用いられる。
第二の要件は「可用性」である。これは、システムが停止することなく、継続して稼働し続けられる能力を示す。サーバーやネットワーク機器は物理的な機械であるため、故障する可能性は常にある。一つのサーバーが故障しただけでサービス全体が停止してしまうような設計では、ビジネスに深刻な影響を与えかねない。AWSでは、この可用性を高めるために「マルチAZ構成」という考え方が基本となる。AZ(アベイラビリティゾーン)とは、物理的に離れた場所に設置された独立したデータセンター群のことである。Webサーバーやデータベースサーバーを、この異なるAZに最低でも2つ以上分散して配置することで、片方のAZで大規模な停電や自然災害が発生したとしても、もう片方のAZで稼働しているサーバーが処理を引き継ぎ、サービスを継続させることができる。前述のELBは、障害が発生したサーバーを自動的に検知し、正常に稼働しているサーバーにのみアクセスを振り分ける機能(ヘルスチェック)も持っているため、可用性の向上に不可欠な要素である。RDSも同様にマルチAZ構成を組むことで、データベースサーバーに障害が発生した場合でも、自動的にもう一方のAZにある待機系サーバーに切り替わり、サービスの停止時間を最小限に抑えることが可能である。
第三の要件は「セキュリティ」である。インターネットに公開するサービスは、常に悪意のある攻撃の脅威に晒されている。不正アクセスによるデータの改ざんや情報漏洩を防ぐためには、多層的な防御策を講じる必要がある。AWSにおけるセキュリティの基本は、VPC(Virtual Private Cloud)という仮想的なプライベートネットワーク空間を構築し、その内部を適切に分割することから始まる。一般的には、VPC内をインターネットから直接アクセスできる「パブリックサブネット」と、直接アクセスできない「プライベートサブネット」に分割する。そして、Webサーバーのように外部からのアクセスが必要なサーバーはパブリックサブネットに、個人情報などを扱う重要なデータベースサーバーはプライベートサブネットに配置する。これにより、データベースへインターネット経由で直接攻撃されるリスクを大幅に低減できる。さらに、個々のサーバーやデータベースに対しては「セキュリティグループ」という仮想ファイアウォールを設定し、許可されたIPアドレスや通信プロトコルからのアクセスのみを許可する。これにより、意図しない通信をすべて遮断できる。加えて、SQLインジェクションのようなアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃に対しては、WAF(Web Application Firewall)を導入することで、さらなるセキュリティ強化が図れる。
第四の要件は「保守・運用性」である。システムは一度構築したら終わりではなく、日々の安定稼働を支えるための監視やメンテナンスが不可欠である。保守・運用がしやすい設計になっていなければ、障害発生時の原因究明に時間がかかったり、日常的な管理業務が煩雑になったりする。AWSでは、システムの状況を可視化するためのサービスが充実している。CloudWatchは、サーバーのCPU使用率やメモリ使用量、ネットワークトラフィックといった様々な指標を監視し、異常な値を検知した際に管理者に通知するアラーム機能を提供する。また、システムやアプリケーションが出力するログを一元的に収集・管理するCloudWatch Logsも重要である。障害発生時には、これらのログを分析することで、迅速な原因特定が可能になる。また、セキュリティの観点からプライベートサブネットに配置したサーバーにメンテナンス作業でアクセスする必要がある場合、一般的には「踏み台サーバー」と呼ばれる中継用のサーバーをパブリックサブネットに設置する。管理者はまずこの踏み台サーバーにログインし、そこから目的のサーバーへアクセスする。近年では、踏み台サーバーを構築せずとも、AWS Systems Manager Session Managerというサービスを利用して、ブラウザ経由で安全にプライベートなサーバーへ接続する方法もあり、管理の手間とセキュリティリスクをさらに軽減できる。
これらのスケーラビリティ、可用性、セキュリティ、そして保守・運用性という4つの要件は、それぞれが独立しているわけではなく、互いに密接に関連し合っている。堅牢で成長可能なWebサービスを構築するためには、開発の初期段階からこれらの要件を総合的に考慮したシステム設計を行うことが、成功への鍵となるのである。