【ITニュース解説】How a Web Browser Works: Inside Modern Browsers
2025年09月12日に「Dev.to」が公開したITニュース「How a Web Browser Works: Inside Modern Browsers」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Webブラウザは、URL入力からWebページ表示まで複雑な処理を行う。内部ではUI、レンダリングエンジン、ネットワークなどが連携し、DNS解決、安全な通信確立、HTML/CSSのDOM/CSSOM構築、レイアウト、描画、JavaScript実行といった工程を高速にこなしている。
ITニュース解説
Webブラウザは、私たちがインターネット上の情報にアクセスするための窓口であり、URLを入力してEnterキーを押すという一見シンプルな操作の裏側では、非常に複雑なプロセスが瞬時に行われている。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、この仕組みを理解することは、ウェブアプリケーション開発の基礎を固める上で非常に重要となる。ここでは、現代のWebブラウザがどのように機能し、その内部がどのように設計されているのかを詳しく見ていこう。
まず、ブラウザはいくつかの重要な部品に分けて考えることができる。私たちが直接目にするアドレスバーや戻るボタン、タブなどは「ユーザーインターフェース(UI)」と呼ばれる部分だ。これは、ユーザーとブラウザがやり取りするための画面上のあらゆる要素を指す。このUIとブラウザの他の内部コンポーネントをつなぐ役割を果たすのが「ブラウザエンジン」である。ブラウザエンジンは、クッキーやキャッシュ、ローカルストレージといったデータの永続化を管理し、後述するレンダリングエンジンとも密接に連携する。
実際にウェブページを画面に表示する中心的な役割を担うのが「レンダリングエンジン」だ。これは、Webサーバーから受け取ったHTML、CSS、JavaScriptといったコードを解析し、それを私たちが目にする視覚的なピクセルへと変換する。この際、JavaScriptコードの解釈と実行を行う「JavaScriptインタープリタ」や、ネットワーク通信を管理する「ネットワーク」コンポーネントと連携して動作する。ネットワークコンポーネントは、HTTP/HTTPSリクエストの送受信、ドメイン名をIPアドレスに変換するDNS解決、クッキーの管理、データの圧縮、そして通信のセキュリティ確保といった多岐にわたるタスクを担当している。JavaScriptインタープリタは、JavaScriptコードを解析し、それを実行可能な形式に変換する。具体的には、コードを「抽象構文木(AST)」と呼ばれる構造に変換し、さらに「バイトコード」にコンパイルする。このバイトコードは、実行時にJITコンパイラによって最適化され、JavaScript仮想マシン上で実行される。これにより、ウェブページの動的な要素やインタラクティブな動きが実現されるのだ。また、「データ永続化」の仕組みによって、ブラウザはユーザーデータや設定、履歴などをローカルに保存し、セッションを超えてそれらを維持できるようになっている。
ブラウザの動作で知っておくべき重要な点として、ブラウザの主要な処理は基本的に「シングルスレッド」で行われているということがある。これは、一つのメインスレッドが処理の流れを制御していることを意味し、パフォーマンスを考える上で非常に重要だ。この制約を乗り越え、効率的に処理を行うために、ブラウザはNode.jsなどでも知られる「イベントループ」のようなメカニズムを利用している。
私たちがURLを入力してEnterキーを押すと、一連の複雑なステップが開始される。まず、最初に行われるのは「ドメイン解決(DNS)」だ。これは、入力したドメイン名(例: google.com)を、インターネット上のコンピュータを識別するための数値のアドレスであるIPアドレスに変換する作業である。ブラウザはまず、自身のキャッシュ、オペレーティングシステム、ルーター、そしてインターネットサービスプロバイダ(ISP)のキャッシュを順に確認し、IPアドレスが見つかればそれを利用する。見つからない場合は、DNSサーバーに問い合わせを行い、正しいIPアドレスを取得する。
IPアドレスが特定されると、次に「サーバー接続(TCPハンドシェイク)」が行われる。これは、ブラウザとサーバー間で通信路を確立するための準備のようなものだ。ブラウザが「接続したい」というSYNメッセージを送り、サーバーが「了解した、準備OK」というSYN-ACKメッセージで応答し、最後にブラウザが「接続開始」というACKメッセージを送るという三段階のやり取りが行われる。
データ交換が始まる前に、さらなる安全性を確保するために「TLSハンドシェイク」と呼ばれるセキュリティ確立のプロセスが行われる。このプロセスを通じて、ブラウザとサーバー間で暗号化のための秘密鍵が安全に共有される。これにより、通信内容が第三者に傍受されても解読される心配がなくなり、安全なデータ送受信が可能となる。これらの通信プロセスを高速化するために、GoogleやNetflixのような大手企業は、世界中に配置された「CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)」や「エッジロケーション」と呼ばれる仕組みを活用している。これにより、ユーザーとサーバー間の物理的な距離が短縮され、データの送受信にかかる遅延(レイテンシ)が大幅に削減される。すべての準備が整うと、ブラウザはサーバーから最初のデータを受け取る。これを「TTFB(Time to First Byte)」と呼び、ページ全体が読み込まれる前に、すでにレンダリングの一部が開始される。
ブラウザがHTMLデータを受け取ると、「解析」と「クリティカルレンダリングパス」と呼ばれる一連の処理が始まる。まず、HTMLコードは解析され、メモリ上で「DOM(Document Object Model)ツリー」と呼ばれる木構造に変換される。これは、ウェブページの構造をプログラム的に表現したもので、各HTML要素がノードとして、その親子関係が木の枝として表現される。同時に、CSSコードも解析され、「CSSOM(CSS Object Model)ツリー」が構築される。これは、ウェブページのスタイル情報をプログラム的に表現したものだ。DOMツリーとは異なり、CSSOMツリーはページ全体のスタイルが完全に解析されなければ次のステップに進めないという特徴がある。
次に、このDOMツリーとCSSOMツリーが組み合わされて「レンダリングツリー」が生成される。このレンダリングツリーには、画面に実際に表示される要素と、それらに適用されるスタイル情報のみが含まれる。非表示の要素はここには含まれない。レンダリングツリーが完成すると、「レイアウト」の段階に移る。ここでは、各要素が画面上のどこに、どのような大きさで配置されるかが計算される。そして最後に、「ペイント」の段階で、計算された位置とサイズに基づいて、要素がピクセルとして画面に描画される。この一連の流れは「クリティカルレンダリングパス」と呼ばれ、ウェブページの表示速度に大きく影響する。JavaScriptのスクリプトはDOMツリーの構築をブロックすることがあり、CSSファイルはCSSOMツリーの構築を遅らせることがあるため、asyncやdeferといった属性を使ってスクリプトの読み込み方法を最適化することが、ページの高速化には不可欠となる。
DOMツリーが構築されている間にも、ブラウザは「プリロードスキャナー」と呼ばれる仕組みを動作させている。これは、HTMLコード内に記述されている画像、外部スクリプト、スタイルシートなどの外部リソースを事前に見つけ出し、ダウンロードを先行して開始する役割を担う。これにより、これらのリソースが必要になった時点で既にダウンロード済みとなっているため、全体のレンダリング時間を短縮することができる。
JavaScriptの実行については、その処理プロセスが最適化されている。JavaScriptコードは、まず「パース」されて「抽象構文木(AST)」に変換される。その後、ASTは「バイトコード」に変換され、実行時に「JIT(Just-In-Time)コンパイラ」によってさらなる最適化が施される。そして、最終的に「JavaScript仮想マシン」上で実行される。ページの初期表示を優先するため、特に指定がない限り、JavaScriptの実行はHTMLとCSSの準備が整ってから行われることが多い。
「DOM(Document Object Model)」は、ウェブページの構造をJavaScriptで操作可能にするための重要なインターフェースだ。HTML文書はメモリ上で、ノードとその子ノードからなるツリー構造として表現されており、このツリー構造を通じて、JavaScriptはページの内容やスタイル、構造をリアルタイムで変更できる。例えば、ボタンがクリックされたときに新しい要素を追加したり、既存のテキストを変更したりといった動的な操作が可能になる。DOMは静的なものではなく、ブラウザが新しいリソースをダウンロードしながらも段階的に構築される、ライブで動的な構造である。
このように、私たちが一つのウェブページを見るために、ブラウザはドメイン名の解決、複数回のハンドシェイクによる通信の確立とセキュリティ確保、DOMやCSSOMツリーの構築、レンダリングツリーの生成、そしてレイアウト計算とピクセル描画、さらには最適化されたJavaScriptの実行といった、非常に多くの複雑なプロセスを、私たちが意識することのない一瞬のうちにこなしている。この奥深い仕組みを理解することは、今後のシステム開発において大きな強みとなるだろう。