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【ITニュース解説】Karpenter vs. Cluster Autoscaler: How They Compare in 2025

2025年09月17日に「Dev.to」が公開したITニュース「Karpenter vs. Cluster Autoscaler: How They Compare in 2025」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Kubernetesノード自動調整ツール、Cluster Autoscaler (CA)とKarpenterを比較。CAは事前設定範囲で堅実に増減し安定重視。Karpenterはアプリ要求から最適なノードを動的に選び、コスト効率と柔軟性を追求する。

ITニュース解説

Kubernetes(クーバネティス)というシステムを使ってアプリケーションを動かす際、アプリケーションの負荷に応じて必要なコンピュータリソースを自動的に調整する仕組みは非常に重要である。その中で、まず基本的な役割を果たすのがHorizontal Pod Autoscaler (HPA) だ。HPAは、アプリケーションを構成する小さな単位であるPod(ポッド)の数を、CPU使用率やメモリ使用量といった指標に基づいて自動的に増減させる。例えば、ウェブサイトへのアクセスが増えてCPU使用率が高まれば、HPAはPodの数を増やして処理能力を向上させる。しかし、HPAがPodを増やそうとしても、それを受け入れるためのサーバー(Kubernetesでは「ノード」と呼ぶ)がクラスタ内に不足している場合、そのPodはいつまで経っても起動できず、「Pending(保留中)」の状態のままになる。HPAはアプリケーションのスケーリングを担当するが、インフラストラクチャであるノード自体を増やす機能は持たない。そこで必要となるのが、Cluster Autoscaler (CA) やKarpenter(カーペンター)といったノードレベルのオートスケーリングツールである。HPAがアプリケーションの要求に応じてPodの数を調整し、CAやKarpenterがそのPodを受け入れるために必要なノードを自動的に準備するのである。

Cluster Autoscaler (CA) は、2016年からKubernetesクラスタのノード管理の標準的な選択肢として広く利用されてきたツールだ。CAは、Kubernetesのスケジューラがノードに配置できないと判断した「Pending」状態のPodを常に監視している。そして、そのPodを実行するために必要なノードが不足していると判断した場合、裏側にあるクラウドプロバイダの機能(AWSのAuto Scaling GroupやGCPのManaged Instance Groupなど)と連携して、あらかじめ定義されたノードグループ内でノードを追加する。CAの設計思想は「保守的」と表現され、これは最大の長所でもある。なぜなら、クラウドプロバイダが適切なサーバータイプを選択することを信頼し、利用者が事前に定義したノードグループの範囲内でしか動作しないからだ。また、ノードをスケールダウン(減らす)する前に、設定された待機時間(クールダウンタイマー)を設けることで、急激な変更や不安定なスケーリングを防ぎ、安定性を保つ。CAの利点はいくつかある。一つは、スケーリングの動作を非常にきめ細かく制御できる点だ。ノードグループごとに異なるスケールダウンタイマーを設定したり、リソースの効率的な配置(ビンパッキング)やコスト削減のための戦略を選んだりできる。これにより、厳格な変更管理プロセスを持つ組織にとって非常に扱いやすいツールとなる。2016年から本番環境で運用されてきた実績から、信頼性が高く、これまでに多くの予期せぬ問題に対処し解決してきた。また、CAのインフラ重視の設計は、AWS、GCP、Azureなど、さまざまなクラウドプロバイダやオンプレミス環境で利用できるマルチクラウド互換性ももたらす。さらに、ノードグループに最小・最大サイズを設定することで、リソースの使用量に上限を設け、予期せぬ高額なクラウド費用を防ぎ、予算管理を容易にする。

一方、Karpenterは2021年に登場した新しいノードオートスケーリングソリューションで、CAとは異なるアプローチでスケーリングの問題を解決する。KarpenterはCAの「事前に定義されたノードグループ内でしか動作しない」という前提を覆し、クラウドプロバイダが提供する利用可能なすべてのインスタンスタイプ(EC2の全カタログなど)から、最適なノードを動的に選択してプロビジョニングする。Karpenterは、保留中のPodのCPU、メモリ、制約(特定のノードに配置したい、他のPodとは別のノードに配置したいなど)といった要件をまとめて分析し、それらを最も効率よく配置できる最も安価なインスタンスをたった一つのAPI呼び出しで起動する。ワークロードが終了し、ノードが空になったり、利用率が低くなったりすると、KarpenterはPodを他のノードに移動させてノードを統合し、不要になったノードを迅速に終了させる。この仕組みにより、ノードの起動時間は非常に短く、通常30~45秒で新しいノードが利用可能となる。また、リソースを効率的に「ビンパッキング」(隙間なく詰め込むように配置する)するため、クラウド費用を25%から40%も削減できるという報告もある。Karpenterの利点は、動的なインフラ選択に尽きる。事前にノードグループを定義することなく、Podの要求に基づいて最適なインスタンスタイプをリアルタイムで選択できる。さらに、Kubernetesスケジューラと深く連携し、Podの複雑なスケジューリング制約(Podアンチアフィニティ、トポロジスプレッドなど)を理解した上でノードをプロビジョニングするため、クラスタ全体の効率が大幅に向上する。Karpenterは常に既存ノードの利用状況を評価し、より効率的なノード構成への変更を試みるため、リアルタイムでクラスタを最適化し、コストを削減する。また、開発者はPodの要件定義に集中でき、インフラの詳細な管理から解放されるため、運用モデルが簡素化される。

CAとKarpenterの根本的な違いは、彼らがスケーリングの問題にどう向き合うかという「考え方」にある。CAは「どのようなインフラストラクチャを管理したいか?」というインフラ重視のアプローチをとる。利用者が事前にインフラの形を定義し、その枠内でCAが動作する。対してKarpenterは「アプリケーションが何を必要としているか?」というアプリケーション重視のアプローチをとる。アプリケーションの要求がインフラストラクチャの選択を直接決定する。CAはインフラの制御や予測可能性を重視する組織に、Karpenterはアプリケーションの俊敏性やコスト最適化を優先する環境に適していると言える。

さらに、DevZero(デブゼロ)というツールは、CAやKarpenterが解決するノードやPodのスケーリングの課題を超え、より広範なリソースオーケストレーションを提供する。DevZeroは単にワークロードの要求に反応するだけでなく、機械学習を用いて将来のワークロードニーズを予測し、個々のコンテナに対してCPU、メモリ、さらにはGPUの割り当てを、アプリケーションを再起動することなくリアルタイムで動的に調整できる。従来のオートスケーリングツールがノード間でワークロードを移動させる際に再起動が必要だったのに対し、DevZeroは実行中のプロセスをスナップショットとして保存し、メモリの状態やネットワーク接続、ファイルシステムの状態を維持したままワークロードを移行させる独自の技術を利用する。これにより、アプリケーションは中断することなく、常に必要なリソースを得られる。DevZeroのもう一つの特徴は、マルチクラウド対応とコストの可視性だ。AWS、Azure、GCPといった複数のクラウドプロバイダやオンプレミス環境を単一のプラットフォームからオーケストレーションでき、これによりチームはクラウドベンダーに縛られることなく、リソースを効率的に管理できる。

まとめると、KarpenterとCAはどちらもKubernetesクラスタの効率的な自動スケーリングを実現するが、それぞれ異なる視点から問題に取り組む。CAは、予測可能なインフラストラクチャ、きめ細やかな制御、そしてマルチクラウド互換性を重視する場合に適している。インフラストラクチャを事前に厳密に管理したい組織には、CAのインフラ重視のモデルが非常に役立つだろう。一方、Karpenterは、迅速な開発を求め、アプリケーションのニーズに基づいてインフラストラクチャの決定を行いたいチーム向けだ。アプリケーション重視のアプローチにより、事前の設定を減らし、柔軟性を高め、コストとパフォーマンスをリアルタイムで最適化できる。DevZeroは、これら両ツールのさらに上位に位置し、クラスタ、ノード、ワークロードという複数のレベルでリソースを統合的にオーケストレーションする。マルチクラウド対応とライブマイグレーションを提供し、環境間でワークロードをシームレスに移行させることを可能にする。最終的に、どのツールが最適かは、組織が「制御と予測可能性」「柔軟性と効率性」、あるいは「広範なオーケストレーションと可視性」のどれを最も重視するかによって決まる。

文字数: 1989文字

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