Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

【ITニュース解説】Auto Embeddings in Manticore Search: AI-Powered Search Made Simple

2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「Auto Embeddings in Manticore Search: AI-Powered Search Made Simple」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Manticore Searchの「Auto Embeddings」機能は、AIが自動でテキストから埋め込みを生成し、自然言語による意味検索を簡単に実現する。複雑なMLパイプライン構築は不要となり、SQLライクな操作で効率的に高度な検索機能が開発できる。

ITニュース解説

Manticore Searchの新しい機能である「Auto Embeddings」は、AI(人工知能)を活用した高度な検索システム、特に「セマンティック検索」を、システムエンジニアを目指す初心者でも簡単に構築できるよう設計されている。この機能により、まるで通常のデータベース操作と同じようにSQL文を書くだけで、複雑な設定なしに意味を理解する検索が可能となる。Manticore Searchが、セマンティック検索に不可欠な「埋め込み(Embeddings)」の生成を全て自動で行ってくれるため、別途機械学習の知識や専門のシステムを用意する必要がなくなる点がこの機能の最大の特徴だ。

セマンティック検索とは、単なるキーワードの一致だけでなく、ユーザーの検索意図や言葉の意味を深く理解して、関連性の高い情報を探し出す検索方法のことだ。例えば、「軽いノートパソコンのリュック」と検索した際に、「アウトドア用PC収納付きバックパック」のように、言葉の表現は異なっても意味が近い商品を検索結果に表示するといったことができる。これを実現するために利用されるのが「埋め込み」と呼ばれる技術だ。埋め込みとは、テキストデータ(文章や単語)をAIによって数値の並び(ベクトル)に変換したもので、意味的に近いテキストは、この数値の並びも近い位置にくるように表現される。Manticore SearchのAuto Embeddingsは、この数値の並び(ベクトル)を自動で生成し、それを使って似た意味を持つ情報を高速に探し出す機能を提供する。

これまでのセマンティック検索システムの開発では、多くの課題があった。まず、テキストから埋め込みを生成するためには、機械学習に関する専門知識が必要で、そのための専用の処理パイプラインを構築しなければならなかった。使用するAIモデルや、そのモデルが動作するために必要なソフトウェア環境(依存関係)の管理も非常に手間がかかる作業であった。また、アプリケーションを運用する際には、埋め込みを生成するサービス、データを保存するデータベース、そして検索を実行する検索エンジンの間で、常にデータの一貫性を保ち、同期を取り続ける必要があった。生成されるベクトルの次元数(数値の並びの長さ)がサービス間で異なったり、テキストの前処理方法にばらつきがあったりすると、システム全体で予期せぬ問題が発生する可能性もあった。これらの複雑な作業が、これまで多くの開発者にとってセマンティック検索導入の大きな障壁となっていた。

しかし、Auto Embeddingsの登場により、これらの煩わしい作業は解消される。開発者は、検索対象となるテキストデータをManticore Searchに投入するだけでよい。するとManticore Searchが、最新の技術を用いたAIモデルを活用して自動的にテキストの埋め込みを生成し、それを効率的に検索できる「ベクトルインデックス」という特殊なデータ構造に格納する。そして、ユーザーは自然な言葉で検索クエリを発行するだけで、Manticore Searchがその意味を理解し、関連性の高い結果を返してくれるようになる。システムエンジニアは、インフラの構築や複雑な設定に悩むことなく、ユーザーが本当に求めている機能の開発に集中できるようになるのだ。

Auto Embeddingsの利用方法は非常に直感的で、SQLを使ってわずか3つのステップでセマンティック検索システムを構築できる。

最初のステップは、検索対象となるデータ格納用のテーブル作成だ。CREATE TABLE文を用いて、商品名、説明文、カテゴリ、価格などの一般的なデータ項目を定義する。ここで特に重要なのは、埋め込みを格納するためのvector FLOAT_VECTORという特殊な列を追加することだ。この列の定義の中で、MODEL_NAMEにどのAIモデルを使って埋め込みを生成するかを指定し、FROM句で商品名(title)や説明文(description)のように、どのテキストフィールドから埋め込みを生成するかを指定する。これにより、Manticore Searchは指定されたテキスト情報に基づいて、自動的に埋め込みを生成・保存する準備が整う。

次のステップは、データの挿入である。作成したテーブルに、INSERT INTO文を使って通常通り商品データを投入する。例えば、「緑のハイキングバックパック」や「ノートパソコンスリーブ」といった商品名、説明文、カテゴリ、価格などのテキスト情報を挿入するだけでよい。この際、埋め込みそのもの(数値のベクトル)を開発者が直接生成したり指定したりする必要はない。Manticore Searchが、テーブル作成時に指定されたAIモデルとテキストフィールドを用いて、自動的に埋め込みを生成し、それをvector列に格納してくれる。これにより、埋め込み生成の手間が完全に省かれ、開発者は純粋なデータ入力に集中できる。

最後のステップは、自然言語での検索だ。SELECT文を使って情報を検索する際に、WHERE句の中にknn()という特別な関数を使用し、検索したい自然言語のクエリ(例: 'lightweight laptop backpack for trail hiking'、日本語で「軽量なノートパソコン用のトレイルハイキングバックパック」)を指定する。knnは「k-近傍探索(k-nearest neighbors)」を意味し、指定されたクエリの意味に最も近いデータ(埋め込みベクトル)を上位k件見つけ出す機能である。これにより、Manticore Searchはユーザーが入力した自然言語のクエリの意味を理解し、その意図に最も合致する商品を検索結果として提示する。例えば、「軽量なノートパソコン用のトレイルハイキングバックパック」という検索に対して、「アウトドア用ラップトップパック」が最も関連性の高い結果として表示されるのは、Manticore Searchが言葉の表面的な一致だけでなく、その裏にある意味を捉えているからである。

Auto Embeddingsで使用するAIモデルは、用途に応じて柔軟に選択できる。例えば、Hugging Faceのモデルをローカル環境で実行すれば、APIキー不要でコストを抑えつつ無制限に利用可能だ。より高度なセマンティック理解を求める場合は、OpenAIのモデルを統合することもできる。また、特定の専門分野や言語に特化したVoyageやJinaのモデルを選ぶ選択肢も提供されている。

Auto Embeddingsの強力な点は、単一の検索方法に限定されないことだ。セマンティック検索と、従来のキーワード検索、さらにカテゴリや価格といった構造化されたデータによるフィルタリングを、一つのクエリで組み合わせる「ハイブリッド検索」も可能だ。例えば、「アウトドア」カテゴリ内で、「軽量なノートパソコン用のトレイルハイキングバックパック」という自然言語の意図に合致し、かつ「軽量」「ノートパソコン」「バックパック」といったキーワードが実際にテキストに含まれ、さらに価格で絞り込むといった、非常に具体的で正確な検索も容易に実現できる。

これらの機能は、SQLだけでなく、HTTP/JSON API(Webサービス間のデータ送受信に広く使われる形式)でも完全にサポートされている。つまり、アプリケーションからManticore SearchにHTTPリクエストを送るだけで、SQLと同じようにデータの挿入や自然言語での検索が可能となる。これにより、様々なプログラミング言語やフレームワークを使ったアプリケーションから、Manticore Searchの強力な検索機能を簡単に組み込むことが可能になる。

OpenAIの埋め込みモデルとの連携もサポートされている。CREATE TABLE時にMODEL_NAME='openai/text-embedding-ada-002'とOpenAIのAPIキーを指定することで、OpenAIの最先端AIモデルを活用できる。これにより、「モバイルフォンテクノロジー」というクエリに対して、スマートフォンをノートパソコンよりもはるかに高い関連性で検出するなど、より微妙なニュアンスや文脈を理解した、質の高い検索結果を得られるようになる。

Auto Embeddingsは、本番環境での利用を念頭に置いて設計されている。HNSW(Hierarchical Navigable Small World)インデックスによる高速な類似度検索、ストレージ容量を節約する量子化、AIモデルの推論を効率化するスマートキャッシュ、そして複数のモデルプロバイダーをサポートする柔軟なアーキテクチャなど、高いパフォーマンスと信頼性を兼ね備えている。

この機能は様々なビジネスシーンで役立つ。例えば、Eコマースサイトで「防水ハイキングブーツ」のように自然言語で商品を検索したり、企業内のドキュメント管理システムで「データプライバシーに関する契約書」といった意味合いで文書を探したり、コンテンツ推薦システムで「ワークアウト向きのアップテンポな音楽」といった雰囲気でコンテンツを推薦したり、不動産サイトで「公園の近くの居心地の良いアパート」といったライフスタイルに合う物件を探したりするような、多岐にわたるアプリケーションでの活用が期待される。

具体的な例として、「仕事の生産性向上オフィス関連商品」という検索クエリに対し、Manticore Searchはオフィスチェア、ノートとペンセット、タブレットコンピューターなど、ユーザーの意図に合致するアイテムを正確に提示する。また、「屋外キャンプ用USB充電器」といったクエリに対して、カテゴリフィルタリングとキーワードマッチングを組み合わせることで、まさに欲しかった携帯ソーラー充電器をピンポイントで探し出すことも可能である。Manticore SearchのAuto Embeddingsは、ユーザーの曖昧な検索意図を正確に捉え、具体的な結果に結びつける強力な能力を持っている。

このAuto Embeddings機能は、セマンティックな意味理解に「Sentence Transformers」という先進的な技術を、高速な類似度検索には「HNSW」という効率的なインデックスアルゴリズムを、そしてAIモデルの推論を効率化するためにスマートキャッシュの仕組みなどを活用している。

結論として、Manticore SearchのAuto Embeddingsは、これまでセマンティック検索の導入を難しくしていた、埋め込みの生成と管理という最も複雑な課題を解消する画期的な機能だ。これにより、システムエンジニアは、複雑なインフラの構築やAIモデルの運用に頭を悩ませることなく、自然言語を理解するスマートな検索体験を、アプリケーションに簡単に組み込むことが可能となるだろう。この機能は、開発者がユーザーにとって真に価値のある機能の開発に集中できるよう、強力に支援するものだ。

関連コンテンツ

関連IT用語