【ITニュース解説】Migrating a Local Multi-Agent Travel System to AWS Bedrock AgentCore(Part 3)
2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「Migrating a Local Multi-Agent Travel System to AWS Bedrock AgentCore(Part 3)」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
ローカルの旅行計画システムをAWS Bedrock AgentCoreに移行する手順を紹介。既存のPythonエージェントをAgentCoreでラップし、クラウドにデプロイ。パッケージのインストール、ラッパーの作成、インポートエラーの修正、クラス名の不一致への対処について解説。AgentCoreの設定とデプロイにおける課題と解決策、および得られた技術的な知見を共有。
ITニュース解説
この記事は、ローカルで開発されたマルチエージェント旅行システムをAWS Bedrock AgentCoreに移行する過程を解説している。システムエンジニアを目指す人が、AIを活用したシステム開発とクラウド環境への移行について理解を深めることを目的とする。
まず、ローカル環境で構築された旅行エージェントシステムの構成要素を説明する。システムは、ユーザーからのリクエストを処理するオーケストレーター、旅行計画を作成するプランニングエージェント、フライトやホテルを検索する予約ツール、外部APIと連携する旅行ツールで構成されている。従来のシステムは、これらの要素が連携して動作するマルチエージェントアーキテクチャを採用していた。
次に、AWS Bedrock AgentCoreとの統合手順について解説する。AgentCoreは、AIエージェントをクラウド上で効率的に実行するためのプラットフォームだ。ローカルで動作するシステムをクラウドに移行するために、AgentCoreの機能を活用する。
具体的な手順としては、まず必要なパッケージをインストールする。bedrock-agentcore、strands-agents、bedrock-agentcore-starter-toolkitといったパッケージが、AgentCoreの機能を利用するために必要となる。
次に、既存のエージェントをAgentCoreに対応させるためのラッパーを作成する。ラッパーは、既存のコードを大幅に書き換えることなく、AgentCoreのインターフェースに適合させる役割を果たす。ラッパーは、ユーザーからのリクエストを受け取り、オーケストレーターに処理を委譲し、結果をAgentCoreの形式で返す。
AgentCoreとの統合においては、いくつかの課題に直面した。まず、Strandsフレームワークのインポートエラーが発生した。これは、Strandsのツールデコレーターが、従来のToolクラスではなく、小文字のtoolを使用していることが原因だった。また、クラス名の不一致も問題となった。ラッパーがTravelOrchestratorクラスを探しているのに対し、実際のクラス名はOrchestratorであったため、クラス名を修正する必要があった。
ラッパーが完成したら、ローカル環境でテストを行う。テストでは、curlコマンドを使用して、フライト検索リクエストを送信し、AgentCoreからの応答を確認する。
AWS環境へのデプロイは、agentcore configureコマンドとagentcore launchコマンドを使用して行う。agentcore configureコマンドは、必要なAWSリソース(IAMロール、ECRリポジトリ、Dockerファイルなど)を自動的に設定する。agentcore launchコマンドは、クラウドへのデプロイを実行する。
デプロイメントの際には、SSL証明書の検証エラーが発生した。これは、企業ネットワークの制限により、証明書の検証が失敗したことが原因である。
AgentCoreとの統合を通じて得られた重要な技術的洞察は以下の通りだ。
- ラッパーパターンは、既存のエージェントを書き換えることなく、クラウド機能を追加するのに有効である。
- インポートエラーが発生した場合は、クラス名や関数名を正確に確認し、フレームワーク固有のインポートパターンを理解する必要がある。
agentcore configureコマンドとagentcore launchコマンドは、インフラストラクチャの自動化に大きく貢献する。
AgentCoreとの統合により、システムはスケーラビリティ、標準化、モニタリングといった利点を獲得した。
今後のステップとしては、AgentCore Memoryを使用してユーザーの好みを永続化し、プロアクティブなモニタリング機能を実装し、制限のないネットワークからクラウドへのデプロイを完了し、モックデータをリアルタイムAPIに置き換えることが挙げられる。
この記事では、ローカルで開発されたマルチエージェント旅行システムをAWS Bedrock AgentCoreに移行する過程を、具体的な手順と課題、そして解決策を交えて解説した。システムエンジニアを目指す読者が、AIエージェントのクラウド移行について実践的な知識を得られるように構成されている。