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【ITニュース解説】PostgreSQL vs MySQL: 5 Reasons the Internet Is Switching Sides

2025年09月08日に「Medium」が公開したITニュース「PostgreSQL vs MySQL: 5 Reasons the Internet Is Switching Sides」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Web開発で広く使われるデータベースMySQLから、より高機能なPostgreSQLへの移行が進んでいる。JSONデータへの高度な対応や並列クエリといった先進的な機能が、現代の複雑なアプリケーション開発の要求に応えるためだ。

ITニュース解説

システム開発において、データを効率的に管理するためのデータベース選択は、プロジェクトの成否を左右する極めて重要な決定である。長年にわたり、Webアプリケーション開発の世界では、そのシンプルさと高速性からMySQLが広く採用され、業界標準としての地位を確立してきた。しかし近年、開発者の間でPostgreSQLへの関心が高まり、既存のシステムをMySQLからPostgreSQLへ移行する動きが顕著になっている。この潮流の背景には、現代のアプリケーションが要求する複雑なデータ構造や高度な処理能力に対して、PostgreSQLが持つ優れた機能が的確に応えているという事実がある。

MySQLはオープンソースのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)であり、特にWebサイトやWebアプリケーションのバックエンドとして広く普及している。その最大の長所は、導入の容易さと軽快な動作にあり、多くの開発者にとって親しみやすい存在だ。一方のPostgreSQLも同じくオープンソースのRDBMSだが、こちらはデータの整合性、機能の豊富さ、そして高い拡張性を重視した設計思想を特徴とする。SQL標準への準拠度も高く、その堅牢さから「世界で最も先進的なオープンソースリレーショナルデータベース」と称されることもある。

PostgreSQLが支持を広げている大きな理由の一つに、多様なデータ型を扱える能力、特にJSON形式への卓越した対応が挙げられる。従来のデータベースは、数値や文字列といった、あらかじめ構造が決められたデータの扱いに特化していた。しかし現代のアプリケーションでは、SNSの投稿データやIoTデバイスからのセンサー情報のように、構造が柔軟に変化するJSON形式のデータを取り扱う場面が急増している。MySQLもJSONデータ型をサポートしているが、PostgreSQLはこれをさらに進化させた「JSONB」というバイナリ形式のデータ型を提供する。JSONBは、テキスト形式のJSONを内部的に最適化された形式で保存するため、データの格納効率が良いだけでなく、JSONデータ内部の特定の値に対する検索やインデックスの作成を極めて高速に実行できる。これにより、アプリケーション側で複雑なデータ解析処理を行う負担が軽減され、データベースレベルで効率的にデータを操作できるため、開発の効率化とパフォーマンス向上に直結する。

次に、大規模なデータを扱う際の処理性能もPostgreSQLの強力な武器である。データベースに対する命令である「クエリ」は、特に数百万、数千万件ものデータを対象とした集計や分析を行う場合、完了までに長い時間を要することがある。PostgreSQLは、このような重い処理を高速化するための「並列クエリ」という機能を標準で備えている。これは、一つの大きなクエリを複数の小さなタスクに自動的に分割し、サーバーが持つ複数のCPUコアに割り当てて同時に処理を進める技術である。一つの作業を複数人で分担して同時に行うことで全体の作業時間が短縮されるのと同様の原理で、データ分析やレポート作成といった時間のかかる処理を劇的に高速化できる。この能力は、ビッグデータを扱う現代のビジネスインテリジェンスやデータサイエンスの分野で極めて重要となる。

PostgreSQLの設計思想の核には、ユーザーが機能を自由に拡張できるという考え方がある。開発者自身が独自のデータ型や関数、演算子、インデックスの種類などを定義し、データベースの機能を特定の要件に合わせてカスタマイズできるのだ。この特性を活かした最も有名な例が、地理空間情報を扱うための拡張機能「PostGIS」である。PostGISを導入することで、PostgreSQLは位置情報や地図データを高度に扱うことが可能となり、高機能な地図アプリケーションや物流システムの基盤として世界中で利用されている。このように、標準機能だけでは対応が難しい特殊な要件に対しても、豊富な拡張機能を利用したり、あるいは自ら機能を開発したりすることで柔軟に対応できる点が、複雑な課題解決を目指す開発者から高く評価されている。

データの正確性が絶対的に求められる金融システムや基幹業務システムなどの領域において、PostgreSQLの堅牢性は大きな信頼を得ている。PostgreSQLは、データベースのトランザクション処理が満たすべき性質であるACID特性(原子性、一貫性、独立性、永続性)を非常に厳格に遵守するよう設計されている。これにより、複数の処理が同時に行われたり、システムに障害が発生したりした場合でも、データが矛盾した状態に陥ることを防ぎ、常にデータの整合性を保つことができる。

最後に、PostgreSQLが特定の企業によって所有されていない、グローバルな開発者コミュニティによって開発・維持されているという点も重要な要素である。これにより、特定の企業の商業的な意向にプロジェクトの将来が左右される「ベンダーロックイン」のリスクが低い。開発はオープンに進められ、世界中の専門家によって継続的な機能改善やセキュリティ対策が行われている。対照的に、MySQLは現在Oracle社が所有しており、そのライセンスポリシーや開発方針に対して一部の開発者が懸念を抱いていることも、PostgreSQLへの移行を後押しする一因となっている。

もちろん、MySQLが過去の技術になったわけではなく、そのシンプルさと高速性は今なお多くのWebアプリケーションにとって最適な選択肢であり続ける。しかし、アプリケーションがより複雑なデータを扱い、より高度な分析や処理を必要とする現代においては、PostgreSQLが提供する豊富な機能、高い拡張性、そして堅牢な信頼性が大きな魅力となっている。これからシステム開発を学ぶ者は、両者のデータベースが持つ特性と得意分野を深く理解し、構築するシステムの要件に応じて最適な技術を選定できる能力を養うことが不可欠である。

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