【ITニュース解説】Two readers told me my counter was the wrong problem. They were right.
2026年10月28日に「Dev.to」が公開したITニュース「Two readers told me my counter was the wrong problem. They were right.」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
開発者はアナリティクス修正に注力するも、利用者は増えなかった。読者の助言で「誰のためのアプリか」を突き詰める重要性を理解。習慣化に失敗しがちな特定のユーザー層を明確にした。表面的な数字よりも、ユーザー視点こそが本質的な課題解決につながると気づいた。
ITニュース解説
あるアプリ開発者が、自身の開発したアプリの現状について深く考えさせられる出来事を共有している。開発者はこれまで、アプリの利用状況を測定する複数のカウンターが示す数値の矛盾を修正することに多くの時間を費やしてきたが、二人の読者からのコメントによって、その問題の本質が別の場所にあることに気づかされたという。
一人の読者は、カウンターの数値に多少のずれがあっても、実際の新規ユーザー数が「8日間で4人」という非常に少ない現実を変えるものではないと指摘した。たとえ計測器を完璧に調整したとしても、「利用者がゼロ」という現実は変わらない、というのだ。また別の読者は、「このアプリは誰のためのものなのか?」という根本的な問いを投げかけた。1日4人の訪問者しかいない状況で、カウンターの数字を追いかけるよりも、数少ない利用者と直接対話する方が、アプリ改善のための貴重な洞察を得られるのではないか、という意見だった。
これらのコメントは、開発者がこれまで行ってきた作業が、真の進捗には繋がっていなかったことを浮き彫りにした。矛盾するアナリティクスカウンターを直し、その修正についてブログ記事を書くという一連の行動は、あたかも「何かを進めている」かのような錯覚をもたらしたが、肝心の「アプリを使ったことのある見知らぬ人の数」は一向に増えていなかったのだ。開発者はこれを、「進捗しているように感じるが、何も本質的な変化がない」仕事だと反省している。
実際に、アプリの現状を示す数字は厳しいものだった。無料の利用枠は30人分用意されているが、27日間オープンしているにもかかわらず、誰も申請していなかった。開発者が書いた19の記事は合計で229回読まれていたものの、アプリ自体の訪問者数は、カウンターを導入して以降、わずか9人、ページビューは17回に過ぎなかった。さらに、過去7日間のページロード数は1,646回に上るが、その98%にあたる1,617回は、開発者自身が作成した自動化ツールがサイトを巡回したものであり、実際のユーザーによるアクセスではなかった。特定の無料ページへのアクセスも、計測器によって数値が異なり、どちらも実際の利用者に繋がっていなかった。最新の記事は公開から24時間で一度も読まれていない状況だった。これらの数字から開発者は、「10回の記事閲覧で1回のクリックがあるが、申請はゼロ。これはコンバージョンの問題ではなく、そもそもコンバージョンする対象がいないのだ」と結論付けた。
開発者は、読者のコメントに気づいたその夜に、計測器に関する一つの具体的な修正を行った。自己トラフィックの計測値が、全体数を超える不自然な割合(例えば164%)を示していた問題である。これは、特定の集計期間において、全体のアクセス数がゼロと報告される一方で、国別の内訳データには数百ものアクセスが記録されているという矛盾した状況が原因だった。開発者はこの問題を修正し、全体数と国別の合計値が食い違う場合には国別の合計値を採用し、矛盾を明確に表示するとともに、存在しえないパーセンテージは表示しないように変更した。この修正は、技術的には正しい改善であり、将来的な同様の不具合を防ぐための重要なものだった。しかし、この修正がアプリの「利用者がゼロ」という本質的な課題を変えるものではない、という読者の指摘が再び開発者の頭によぎった。
そこで開発者は、読者からの「誰のためのアプリなのか?」という問いに真正面から向き合った。自身のアプリのホームページや説明文のテキストを詳しく分析した結果、「親」「学生」「看護師」「シフトワーカー」「フリーランサー」「教師」といった具体的なユーザー像を示す言葉が一つも使われていないことを発見したのだ。ページでは「読書」「語学練習」「ストレッチ」「勉強」「フロス」といった「習慣」そのものについては語られているものの、「人」について語ることは一度もなかった。
開発者はこの点が、アプリの根本的な欠陥であると認識した。訪問者は、そのアプリが「自分向けのものなのか」を自分で判断しなければならず、ページはその手助けを一切していなかったのだ。この反省から、開発者はアプリのターゲットユーザーを明確に定義した。「三度も習慣化を試みては失敗し、もはや習慣化カウンターを信用していない人」だという。規律正しく、何事も完璧にこなすような高成果者ではなく、夜勤や子供の病気、深夜までかかる仕事など、物理的に習慣化が困難な日がある人。そして、たった一度の困難で、これまで続けてきた習慣の記録がゼロにリセットされてしまう辛さを経験した人こそが、このアプリのターゲットなのだ。
アプリの設計も、まさにこのターゲットユーザーのために工夫されている。例えば、習慣をこなすのに1時間ではなく60秒と短く設定されている点、チェックボックスではなく行動の証拠として写真を撮影する点、そして、やむを得ない事情で習慣を中断せざるを得ない時に、最大7日間まで記録を一時停止できる機能がある点などだ。特にこの一時停止機能は、開発者が「この人こそが必要としている」と感じて作ったものだった。しかし、それほどまでに思いを込めて作ったにもかかわらず、そのターゲットユーザーをホームページで一度も名指しで呼ばなかったことが、最大の問題だったと開発者は結論付けた。
開発者は次に、この明確になったターゲットユーザー像を、アプリの紹介ページに明記する作業に取り掛かることを決意した。提供されるアプリ「One Minute Magic」は、1分間の習慣トラッカーであり、最大3つの習慣まで無料で利用でき、60秒の行動を写真に収める(写真はスマートフォン内に保存され、アップロードやアカウント登録は不要)という。また、最初の30人にはアプリと電子書籍が無料で提供されるが、現状申請者はゼロであるため、他の利用者の声を示すことはできないと正直に述べている。ウェブサイトに掲載されている66日間で習慣が自動化されるというデータは、アプリ自体の成果ではなく、一般的な習慣に関する研究からの引用であることを明記し、透明性を保とうとしている。
この一連の経験は、表面的な技術修正に囚われず、ユーザーを深く理解し、そのニーズに直接訴えかけることが、ソフトウェア開発においていかに重要であるかを教えている。技術的なスキルだけでなく、ユーザーの視点に立ち、本当に求められる価値を提供するという視点を持つことが、ソフトウェア開発者にとって非常に重要であると教えてくれる事例と言えるだろう。