NGN(エヌジーエヌ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
NGN(エヌジーエヌ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
次世代ネットワーク (ジセダイネットワーク)
英語表記
Next Generation Network (ネクストジェネレーションネットワーク)
用語解説
NGN (Next Generation Network) は、次世代ネットワークと訳される。これは、従来の電話網(PSTN: Public Switched Telephone Network)に代わる、あるいはそれを包含・発展させた、全く新しい基盤ネットワークの概念を指す。その目的は、音声、データ、映像といったあらゆる情報をIP(Internet Protocol)パケットとして統一的に扱い、多様なサービスを効率的かつ高品質に提供することにある。IP技術を基盤としながらも、従来の電話網が持っていた高い信頼性や通話品質、セキュリティを確保し、さらにインターネットが持つ柔軟性や拡張性を兼ね備えることを目指している。
NGNが登場した背景には、インターネットの急速な普及と、それに伴うデータ通信量の爆発的な増加がある。従来の電話網は、音声通話に特化して設計されており、回線交換方式を採用していたため、データ通信には不向きであった。データ通信の需要が高まるにつれて、電話回線を利用したISDNやADSLといったサービスも登場したが、これらは既存のインフラの上に構築されたものであり、根本的な解決には至らなかった。また、電話網の設備は複雑で、新しいサービスの導入には多大なコストと時間がかかっていた。一方、インターネットで利用されるIPネットワークは、パケット交換方式を採用し、異なる種類のデータを柔軟に扱える利点があったが、品質保証の仕組みが不十分であり、音声通話のようなリアルタイム性が求められるサービスには課題があった。NGNは、この両者の良い点を融合し、それぞれの課題を克服することを目指して提唱された。
NGNの核となる技術的特徴は、まず第一に、あらゆる情報をIPパケットとして扱う統一的な基盤ネットワークである点だ。これにより、音声、データ、映像の区別なく、同じネットワーク上で伝送することが可能になる。これは、従来の電話網が音声専用のネットワーク、インターネットがデータ専用のネットワークと分かれていた状況から大きく進歩したことを意味する。
第二に、ネットワークを階層化し、サービス層とネットワーク層を分離している点がある。従来の電話網では、サービスを提供するための論理的な機能と、通信路を提供する物理的なネットワーク機能が密接に結合していた。このため、新しいサービスを開発するには、ネットワーク全体に大きな変更を加える必要があり、開発コストや時間がかかっていた。NGNでは、これらの機能を分離することで、ネットワーク自体の変更を最小限に抑えつつ、アプリケーション層で多様なサービスを迅速かつ柔軟に開発・提供できるようになった。具体的には、ユーザー認証や課金制御、呼制御といった機能はコントロール層に集約され、これにより異なるアクセスネットワークからでも共通のサービスを利用できるようになる。
第三に、QoS(Quality of Service)保証機能が強化されている点が挙げられる。IPネットワークは一般的に「ベストエフォート型」であり、通信の品質は保証されない。しかし、音声通話や映像配信のようなリアルタイム性が求められるサービスでは、遅延やパケット損失は致命的となる。NGNでは、特定の通信に対して優先的に帯域を確保したり、遅延を最小限に抑えたりする仕組みを導入することで、高品質なサービス提供を可能にしている。例えば、IP電話で途切れることなくクリアな音声通話を提供したり、高画質な映像をスムーズに配信したりすることが可能となる。これは、従来の電話網が持っていた信頼性や安定性をIPネットワーク上で実現するための重要な要素である。
第四に、多様なアクセス方式をサポートできる柔軟性を持つ。NGNは、光ファイバー(FTTH)、ADSL、無線LAN、LTE/5Gといった様々なアクセスネットワークを収容することが可能である。これにより、ユーザーは場所やデバイスに依存することなく、NGNが提供するサービスを利用できるようになる。通信事業者は、既存のアクセスインフラを活用しつつ、NGNの共通基盤上でサービスを展開できるため、設備投資の効率化にもつながる。
第五に、高度なセキュリティと信頼性の確保である。IPネットワークは、開放的であるがゆえにセキュリティ上のリスクも抱えている。NGNでは、通信の暗号化、認証機能の強化、DDoS攻撃対策など、多層的なセキュリティ対策を施すことで、従来の電話網に匹敵する、あるいはそれ以上の安全な通信環境を提供する。また、ネットワーク機器の冗長化や障害回復機能の強化により、高い信頼性を実現し、社会インフラとしての安定稼働を支える。
NGNが具体的に提供するサービスとしては、従来の電話番号と同じような0AB-J番号(市外局番から始まる10桁の電話番号)が利用できるIP電話サービスが代表的である。これは、インターネット回線を利用しながらも、固定電話と同等の品質と信頼性を持つ通話サービスとして普及した。また、NGNの広帯域とQoS保証を活かした高画質・多チャンネルの映像配信サービス(ひかりTVなど)もその一つである。さらに、企業向けのVPN(Virtual Private Network)サービスや、データセンター間の高速接続、医療や交通といった社会インフラ分野での活用も進められている。将来的には、IoT(Internet of Things)やM2M(Machine to Machine)といった、あらゆるモノがネットワークにつながる社会において、その基盤としての役割を担うことが期待されている。
このように、NGNは単なるネットワークインフラの刷新に留まらず、通信サービス全体をIPベースに統合し、品質保証された環境下で多様なサービスを柔軟かつ効率的に提供するための、現代社会における極めて重要な通信基盤である。システムエンジニアを目指す上では、このNGNの概念と、それが現在のインターネットや通信サービスに与えた影響を理解することが、将来のネットワークやアプリケーション開発において不可欠となるだろう。