RCE(アールシーイー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
RCE(アールシーイー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
リモートコード実行 (リモートコードジッコウ)
英語表記
Remote Code Execution (リモートコードエグゼキューション)
用語解説
RCEとは、Remote Code Execution(リモート・コード・エグゼキューション)の略称で、「遠隔コード実行」と訳される、極めて深刻なセキュリティ上の脆弱性、またはそれを利用した攻撃手法を指す。
概要として、RCEの核心は、攻撃者がネットワークを介して遠隔地から標的のシステム上に、自身が意図する任意のプログラムやコマンドを実行できてしまう点にある。通常、システム上でコードを実行できるのは、システム管理者や正規のアプリケーションに限定されるべきである。しかし、RCEの脆弱性が存在するシステムでは、攻撃者がその制限を突破し、まるで自分がそのシステムを直接操作しているかのように振る舞うことが可能となる。この能力は、攻撃者にとって「システムの完全な掌握」に直結するため、数ある脆弱性の中でも最上位クラスの危険度を持つと認識されている。RCEの標的となり得るシステムは多岐にわたり、Webアプリケーションサーバー、オペレーティングシステム、IoTデバイス、ネットワーク機器、さらにはクライアントサイドのソフトウェアに至るまで、ネットワークに接続され、何らかのコードを実行する機能を持つあらゆるシステムがその対象となる可能性がある。
詳細に入ると、RCEの発生原因はいくつか主要なパターンに分けられる。第一に、最も一般的な原因の一つが「入力値の不適切な検証」である。これは、Webアプリケーションなどがユーザーからの入力データを適切にチェックせず、その入力がシステム内部でコマンドやスクリプトの一部として解釈・実行されてしまう場合に発生する。例えば、ユーザー名や検索キーワードといった入力欄に、本来意図されていないOSコマンドやデータベースクエリの断片を挿入することで、システムがそれを正規のコマンドとして誤って実行してしまう「OSコマンドインジェクション」や「シェルコマンドインジェクション」などがこれに該当する。また、データベースへのSQL文に悪意のあるコードを挿入する「SQLインジェクション」がRCEに発展するケースもある。システムが外部からの入力を信用しすぎる設計になっていると、このような脆弱性を生み出しやすくなる。
第二に、「デシリアライゼーションの脆弱性」がある。これは、オブジェクト指向プログラミングにおいて、データ構造をファイルやネットワーク経由で送受信するために直列化(シリアライズ)されたデータを元に戻す(デシリアライズ)際に発生する。デシリアライズ処理中に、攻撃者が細工した悪意のあるオブジェクトがシステムによって実行されてしまう可能性がある。特に、信頼できないソースからのデシリアライズ処理を行う場合、システムが予期しない動作を引き起こし、最終的にRCEにつながるリスクが高まる。
第三に、「メモリ破損の脆弱性」が挙げられる。代表的なものに「バッファオーバーフロー」があるが、これはプログラムがメモリ上に確保された領域よりも大きなデータを書き込もうとした結果、隣接するメモリ領域を破壊してしまう現象である。攻撃者はこのメモリ破損を巧みに利用し、プログラムの実行フローを乗っ取って、任意のコードを実行するように誘導することが可能となる。これらの原因の他にも、脆弱なライブラリの使用、設定ミス、不適切な権限管理など、様々な要因が複合的に絡み合ってRCEの脆弱性を生み出すことがある。
RCE攻撃の具体的な流れとしては、まず攻撃者はターゲットとなるシステム上でRCEを引き起こすことのできる脆弱性を発見する。次に、その脆弱性を悪用するためのペイロード、つまり悪意のあるコードを作成する。このペイロードは、ターゲットシステムにバックドアを仕掛けたり、重要な情報を窃取したり、システムの設定を改ざんしたりするための命令を含む。攻撃者はネットワーク経由でこのペイロードを脆弱なシステムに送信し、システムがそれを正規のデータやコマンドとして誤って処理・実行してしまうことで、攻撃が成功する。RCEが成功した場合、攻撃者はシステムに対する管理者権限に近いアクセス権を獲得し、データの窃取、破壊、改ざんといった直接的な被害だけでなく、そのシステムを足がかりとしてネットワーク内の他のシステムへ攻撃を拡大する「横展開」を行うことも可能になる。これにより、組織全体に甚大な被害が及ぶ可能性がある。
このようなRCEの脅威からシステムを守るためには、複数の対策を講じる必要がある。最も基本的な対策は、「セキュアコーディング」の徹底である。開発者は、ユーザーからの入力値を決して信用せず、厳格な入力検証(バリデーション)とサニタイズ(無害化)処理を必ず行うべきである。特に、シェルコマンドやSQLクエリの一部として入力値を使用する際には、特殊文字のエスケープ処理を徹底し、可能な限りプリペアドステートメントやパラメータ化されたクエリを利用することで、インジェクション攻撃を防ぐ。また、アプリケーションが動作する際のプロセスには、必要最小限の権限のみを与える「最小権限の原則」を適用し、RCEが成功した際の被害範囲を限定することも重要である。
次に、「セキュリティパッチの定期的な適用」は不可欠である。OS、ミドルウェア、アプリケーション、そして使用している各種ライブラリに至るまで、すべてのソフトウェアを常に最新の状態に保ち、既知の脆弱性が含まれていないことを確認する必要がある。ソフトウェアベンダーは脆弱性を発見次第、修正パッチを公開するため、これらを速やかに適用することが防御の基本となる。デシリアライゼーションの脆弱性に対しては、信頼できないデータソースからのデシリアライズを原則として避け、どうしても必要な場合は厳格なホワイトリスト方式で許容されるクラスを限定するなどの対策が求められる。
さらに、システムレベルでの防御策として、「WAF(Web Application Firewall)」の導入が有効である。WAFは、Webアプリケーションへの不正なアクセスパターンを検知し、ブロックすることで、RCE攻撃を含む様々なWebベースの攻撃からシステムを保護する。また、「侵入検知システム(IDS)や侵入防止システム(IPS)」を導入し、異常なネットワークトラフィックやシステム内の不審な挙動を監視・検知することも重要である。定期的な「セキュリティ診断(脆弱性診断やペネトレーションテスト)」を実施し、自社システムに潜在するRCEなどの脆弱性を事前に洗い出し、修正することも予防策として非常に効果的である。最終的には、すべての開発者と運用担当者がセキュリティに対する高い意識を持ち、セキュアな設計と実装、運用を心がけることが、RCEからシステムを守るための最も重要な要素となる。