Webhook(ウェブフック)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
Webhook(ウェブフック)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
Webhook (ウェブフック)
英語表記
Webhook (ウェブフック)
用語解説
Webhookは、Webアプリケーション間でリアルタイムに情報連携を行うための仕組みである。特定のイベントが発生した際に、その情報を指定されたURLに自動的にHTTPリクエストとして送信する。「プッシュ型通知」のメカニズムと考えると分かりやすい。従来のシステム連携では、クライアントがサーバーに対して定期的に情報があるかを問い合わせる「ポーリング」という方式が一般的だった。しかし、ポーリングでは無駄なリクエストが多く発生したり、情報更新の遅延が生じたりする問題があった。Webhookは、サーバー側でイベントが発生したときに能動的にクライアントに通知することで、これらの問題を解決し、効率的かつリアルタイムな情報連携を実現する。
Webhookの基本的な仕組みは次のようになる。情報を提供する側(送信側)のアプリケーションで何らかのイベントが発生すると、そのイベントに関する情報を含むHTTP POSTリクエストが、あらかじめ設定された情報を受け取る側(受信側)のアプリケーションの特定のURL(エンドポイント)に送信される。このとき送信されるデータは、通常JSON形式で「ペイロード」と呼ばれるデータ本体に含まれる。受信側のアプリケーションは、このリクエストを受け取ると、ペイロードの内容を解析し、必要な処理を実行する。例えば、GitHubで新しいコードがプッシュされたときに、CI/CDツールにその情報がWebhookで送信され、自動的にテストやデプロイが開始される、といった連携が一般的である。
ポーリング方式では、クライアントがサーバーに対して「何か新しい情報がありますか?」と繰り返し問い合わせる。これは、郵便ポストを何度も見に行って手紙が届いているか確認するようなものだ。手紙が届いていない間も確認し続けるため、無駄な労力と時間がかかる。また、手紙が届いたとしても、次に確認するまでその事実に気づけないため、タイムラグが生じる。一方、Webhookは、サーバー側で手紙が届いたら「手紙が届きましたよ」と自動的に知らせてくれるようなものだ。これにより、クライアントは定期的に確認する手間が省け、情報が届いたらすぐに処理を開始できるため、リソースの無駄をなくし、情報の伝達をリアルタイムに近づけることができる。
Webhookの利用例は多岐にわたる。最も一般的なのは、開発プロセスにおける自動化連携である。GitHubやGitLabのようなバージョン管理システムでは、コードのプッシュ、プルリクエストの作成、Issueのクローズなどのイベントが発生した際に、CI/CDツールやチャットツール(Slack、Microsoft Teamsなど)にWebhook通知を送信できる。これにより、自動テストの実行、デプロイのトリガー、チームメンバーへの進捗通知などが自動化され、開発効率が向上する。また、オンライン決済サービス(PayPal、Stripeなど)では、決済の成功、失敗、返金などのステータス変更があった際に、システム側へWebhookで通知することで、注文管理や在庫管理のシステムと連携し、リアルタイムに情報を更新できる。さらに、SaaSアプリケーション間のデータ同期や、顧客管理システム(CRM)とマーケティングオートメーションツールの連携など、ビジネスプロセスの自動化にも広く活用されている。
Webhookを実装する際には、いくつかの重要な考慮点がある。まず、セキュリティの確保が不可欠だ。Webhookのエンドポイントは外部に公開されるため、悪意のあるリクエストから保護する必要がある。これには、HTTPSを利用した通信の暗号化、IPアドレス制限、共有シークレットを用いたリクエスト署名の検証、OAuthなどの認証メカニズムの導入が含まれる。特に署名検証は、送信元が正当であることを確認し、ペイロードが改ざんされていないことを保証するために非常に重要である。
次に、信頼性の確保も重要だ。Webhookのリクエストはネットワークを介して送信されるため、一時的なネットワーク障害や受信側のシステム障害により、リクエストが失敗する可能性がある。そのため、送信側では再試行メカニズム(リトライ)を実装し、一定期間内に複数回リクエストを再送するなどの対策が求められる。また、受信側では、同じイベントに対するWebhookが複数回送信される「重複リクエスト」に備える必要がある。例えば、送信側がリトライした結果、初回のリクエストも成功していた場合、同じイベントを二重に処理してしまう可能性がある。これを避けるために、受信側は「冪等性(idempotency)」を考慮して設計する必要がある。冪等性とは、ある操作を複数回実行しても、一度実行した場合と同じ結果になる性質を指し、Webhookのペイロードに含まれるユニークなIDなどを用いて、既に処理済みのイベントかどうかを判別することで実現できる。
さらに、受信側のシステムは、大量のWebhookリクエストが一度に集中した場合でも安定して処理できるスケーラビリティを持つべきである。処理に時間がかかる場合は、キューイングシステムを導入してリクエストを非同期で処理するなど、工夫が必要となる。送信側が一度に送信できるリクエストの数や頻度を制限する「レートリミット」も考慮すべき点だ。
WebhookはWeb APIの一種とみなすこともできるが、その利用モデルはWeb APIが提供する典型的なリクエスト・レスポンスモデルとは異なる。一般的なWeb APIは、クライアントが明示的にサーバーにリクエストを送信し、その応答を受け取るという、能動的なデータ取得や操作を目的とする。一方でWebhookは、サーバー側で特定のイベントが発生したときに、受動的にクライアントにデータをプッシュする「イベント駆動型」の通知メカニズムとして機能する。つまり、どちらもHTTPプロトコルを基盤としているが、情報の流れの方向性とトリガーの主体が根本的に異なる。この違いを理解することが、Webhookの適切な利用とシステム設計において重要となる。