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【ITニュース解説】Async Web Scraping with scrapy_cffi

2025年09月13日に「Dev.to」が公開したITニュース「Async Web Scraping with scrapy_cffi」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

「scrapy_cffi」は、Scrapy風で非同期処理に特化した新しいウェブスクレイピングフレームワークだ。Pythonのasyncioをフル活用し、高速かつ効率的なデータ収集を実現する。モジュール性が高く、一部の機能だけを使うことも可能で、データベース連携も容易。開発効率も考慮されている。

出典: Async Web Scraping with scrapy_cffi | Dev.to公開日:

ITニュース解説

scrapy_cffiは、ウェブサイトから情報を自動的に収集する「ウェブスクレイピング」という技術を効率的に行うための、新しいフレームワークだ。システムエンジニアを目指す初心者の方々にとって、ウェブスクレイピングは、データ収集や分析、自動化など、多くのプロジェクトで役立つ基本的なスキルの一つとなる。このscrapy_cffiは、特に高速な処理を求める現代の開発環境に合わせて設計されている。

従来のウェブスクレイピングフレームワークであるScrapyに似た構造を持っているため、Scrapyを使ったことがある人には馴染みやすく、初めての人にも理解しやすい構成となっている。しかし、最大の特徴は「async-first」である点だ。これは、Pythonの「asyncio」という機能を全面的に活用していることを意味する。asyncioを使うことで、複数のウェブページへのアクセスやデータ処理を同時に、かつ効率的に行うことができ、結果としてスクレイピングの速度を大幅に向上させることが可能になる。これは、単一の作業が完了するのを待つのではなく、複数の作業を並行して進めることで全体の処理時間を短縮する仕組みである。

scrapy_cffiは非常に軽量で、必要な機能だけを選んで使える「モジュール式」の設計がされている。例えば、ウェブから情報を取得する部分だけを使いたい場合や、取得したデータを特定のデータベースに保存する機能だけを使いたい場合など、プロジェクトのニーズに合わせて自由に組み合わせられる。また、内部でウェブにアクセスするための標準的なツールとして「curl_cffi」という高性能なライブラリを使用しているが、このウェブアクセス部分はフレームワークの中心部分から独立しているため、将来的に別のライブラリを使いたくなった場合でも簡単に交換できる柔軟性も持っている。

開発者にとって嬉しい機能として、「IDEフレンドリー」という点も挙げられる。これは、プログラムを作成する際に使う統合開発環境(IDE)で、コードの自動補完や型ヒントがしっかり効くように設計されているという意味だ。これにより、コードの入力ミスを減らし、デバッグ(プログラムの誤りを見つけて修正する作業)をよりスムーズに行えるため、開発効率が向上する。

scrapy_cffiが作られた背景にはいくつかの重要な考え方がある。一つは「APIファースト」であること。これは、ウェブスクレイピングの作業を構成する「スパイダー」(ウェブサイトを巡回してデータを抽出するプログラム)や「パイプライン」(抽出したデータを処理するプログラム)といった各要素が、Pythonのコードとして完全にアクセス可能であるということだ。これにより、単一のスクレイピング作業だけでなく、複数のスクレイピング作業を連携させたり、他のPythonプログラムと統合したりするのが容易になる。

「Scrapy風アーキテクチャ」は、既存のScrapyユーザーがスムーズに移行できるだけでなく、初めての人にもウェブスクレイピングの標準的な流れを学べる良い機会を提供する。ウェブスクレイピングにおけるデータの取得、処理、保存といった一連のプロセスを、分かりやすい構造で実現できる。

また、「ユーティリティファースト」という考え方により、HTTP通信、WebSocket通信(リアルタイム通信によく使われる技術)、メディアファイルの処理、JSON形式のデータ解析、そして様々なデータベースへの接続機能など、ウェブスクレイピングで頻繁に必要となる多くの便利機能が、それぞれ独立した部品として提供されている。これにより、大規模なスクレイピングプロジェクトだけでなく、ちょっとしたデータ収集スクリプトでもこれらの便利な部品を気軽に利用できる。

具体的な機能としては、「スパイダー」「アイテム」「パイプライン」「インターセプター」といったScrapyスタイルの主要コンポーネントが用意されている。高並行処理を可能にするasyncioベースのエンジンは、HTTPだけでなくWebSocket通信もサポートし、セキュリティを強化するTLS(暗号化通信)にも対応している。データ処理の途中で発生するイベントを柔軟に扱うための「軽量なシグナルシステム」や、プラグイン形式で機能を追加できる「インターセプター」や「タスクマネージャー」も備わっている。さらに、複数のスクレイピングタスクを管理するための「Redis互換のスケジューラー」もオプションで利用でき、データベース連携ではRedis、MySQL、MongoDBといった主要なデータベースに対するアダプターが組み込まれており、自動的な再試行や再接続の機能も持っているため、安定したデータ保存が可能だ。

実際に使い始めるのも簡単だ。Pythonのパッケージ管理ツールであるpipを使ってインストールし、専用のコマンドラインツールでプロジェクトを作成し、スパイダーを生成して実行するだけで、基本的なウェブスクレイピングをすぐに始めることができる。

scrapy_cffiが提供する便利なユーティリティには、さらに多くの機能がある。非同期処理を活用した「Async Crawling」は、従来の同期的な処理と非同期的な処理の両方をサポートしている。複数のリクエストの結果をまとめて次の処理に進める「ResultHolder」は、複雑な多段階のデータ収集ワークフローで非常に役立つ。ウェブサイトへのアクセスに関する設定(セッションやCookieなど)を柔軟に管理できる「Hooks System」は、多種多様なウェブサイトに対応するために重要だ。

HTTP通信に加えてWebSocket通信も一つのスパイダー内で扱えるため、リアルタイムで更新されるウェブサイトからの情報収集も容易になる。また、curl_cffiの高度な機能を活用し、ウェブサイト側からボットと判別されにくくする「TLS/JA3フィンガープリンティング」や、プロキシサーバーの柔軟な制御も可能だ。

リクエストとレスポンスに関するユーティリティも充実している。「HttpRequest」や「WebSocketRequest」は、ProtobufやgRPCといった特殊なデータ形式のエンコーディングにも対応し、「MediaRequest」を使えば動画や大きなファイルを分割してダウンロードできる。ウェブページから情報を抽出するための「HttpResponseセレクター」は、CSSセレクター、XPath、正規表現といった様々な方法をサポートしている。特にJSON形式のデータ抽出においては、標準的なJSONだけでなく、壊れていたりHTMLの中に埋め込まれたりしているJSONデータも強力に抽出できる機能が提供されている。

データベースのサポートも手厚く、Redis、MySQL、MongoDBに対して、非同期処理に対応したアダプターが提供されており、それぞれ元のライブラリのAPIをほぼそのまま使えるため、既存の知識を活かしやすい。

さらに、scrapy_cffiには「ProcessManager」という便利なツールも含まれている。これは、メッセージキューやRedisのような複雑な仕組みを使わずに、簡単な方法で複数のプロセス間で処理を分担させる「マルチプロセスRPC」を実現するものだ。小規模なプロジェクトやデバッグの際に、関数やクラスのメソッドを別のプロセスで実行したり、それらをリモートから呼び出したりするのに適している。ただし、この機能は迅速なプロトタイプ作成や小規模なタスク向けであり、大規模な本番環境での利用には、より専門的なメッセージキューやRPCフレームワークの導入が推奨されている。

scrapy_cffiは現在開発が進められている段階だが、そのモジュール性とAPIファーストな設計思想により、Scrapyスタイルのフル機能を持つフレームワークとして利用するだけでなく、個々のユーティリティを組み合わせて、小さな非同期スクレイピングタスクを効率的に実行することも可能だ。高い柔軟性、独立したユーティリティ、そして複雑なスクレイピングプロジェクトにも対応できる拡張性を提供することを最終的な目標としている。

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