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【ITニュース解説】AWS Glue: The Serverless Architect of Your Data Lake

2025年09月13日に「Dev.to」が公開したITニュース「AWS Glue: The Serverless Architect of Your Data Lake」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

AWS Glueは、生データを分析しやすい形に「抽出・変換・ロード(ETL)」するAWSのサーバーレスサービス。サーバー管理不要で、データの発見・準備・移動を自動化し、データレイク構築を容易にする。運用負担を減らし、複雑なデータ処理をシンプルに実行可能。

ITニュース解説

AWS Glueは、現代のITシステムにおいて膨大な量のデータを効率的に処理し、価値ある情報へと変換するための重要なサービスである。今日の企業は、ウェブサイトのクリック履歴、センサーからのデータ、顧客の購買記録など、様々な形式で日々大量のデータを生成している。しかし、これらのデータはそのままの状態では分析や利用が難しい。ちょうど、建築現場に運び込まれたばかりの未加工の材料のように、形を整え、加工しなければ使えるものにはならない。このデータを「抽出(Extract)」「変換(Transform)」「ロード(Load)」する一連の工程をETLと呼ぶ。

ETLは、データを特定のシステムから取り出し、目的に合わせて加工し、最終的に別のシステムへ書き込むプロセスである。例えば、バラバラな形式で保存された顧客データを統一されたフォーマットに変換し、不要な情報を削除したり、複数のデータ源を結合したりする作業が含まれる。これまで、このETL処理はデータエンジニアにとって非常に複雑で、多くのサーバーリソースを必要とする重い作業であった。専用のサーバーを用意し、ソフトウェアをインストールし、常に稼働状況を監視・管理する必要があったためである。

AWS Glueは、アマゾンウェブサービス(AWS)が提供するこの課題への解決策である。これは、完全に「サーバーレス」なETLサービスであり、データに関する発見、準備、そして異なるデータソース間での移動といった煩雑な作業を大幅に簡素化する。サーバーレスとは、開発者が基盤となるサーバーの調達、設定、管理といった作業を一切気にすることなく、アプリケーションやサービスを利用できる状態を指す。AWS Glueは、データを加工する自動化された工場のようなもので、利用者はデータの加工方法を指示するだけで、工場そのものの管理については考える必要がない。

AWS Glueは単一のツールではなく、データ準備のワークフロー全体を処理するために統合された複数のサービスで構成されている。その主要な機能は次の三つに分けられる。

一つ目は「AWS Glue データカタログ」である。これは、データの構造に関する情報を一元的に管理する中心的な場所である。具体的には、データがどのようなテーブル構造をしているか、各列にはどのような種類のデータが入っているか(スキーマと呼ばれる)、そしてデータがどこに保存されているかといった「メタデータ」を永続的に保存する。データカタログは、まるで図書館の蔵書目録のように機能し、どのデータがどのような形で、どこにあるのかを把握しているため、後続の分析サービス(例えばAmazon AthenaやRedshift Spectrumなど)が簡単にデータを参照できるようになる。

二つ目は「AWS Glue クローラー」である。これは、データソースを自動的に探索するプログラムである。利用者がAmazon S3のようなストレージサービス内のデータ格納場所を指定すると、クローラーはそこをスキャンし、データの形式(JSON、CSV、Parquetなど)や構造(スキーマ)を自動的に認識する。そして、その情報をデータカタログにテーブル定義として追加する。これは、新しい書籍が図書館に入ってきた際に、司書が自動的に内容を調べて目録に登録するようなものだ。これにより、手動でデータの構造を定義する手間が省け、データエンジニアの生産性が大きく向上する。

三つ目は「AWS Glue ETLジョブ」である。これが実際にデータ変換ロジックを実行する作業員に当たる部分である。ETLジョブを作成する方法は主に三つある。一つは、簡単な変換作業であれば、ドラッグ&ドロップで操作できる「ビジュアルエディタ」を利用する方法。二つ目は、PythonやScalaといったプログラミング言語を使って「Apache Spark」という強力な分散処理フレームワークを活用するスクリプトを作成する方法で、これは複雑なデータ処理に最も一般的に使われる。三つ目は、ETLジョブの作成と監視をより簡単にする新しい統合インターフェースである「Glue Studio」を利用する方法である。これらETLジョブは、利用者が定義した処理内容に基づいて、AWSが自動的にApache Sparkクラスター(大量のデータを並列処理するためのコンピューター群)を裏側で起動・管理・スケーリングし、ジョブが完了すると自動的に停止する。利用者は、実際に処理が実行された時間とリソースに対してのみ費用を支払うことになる。

具体的な例を挙げながら、AWS Glueがどのように動作するかを見てみよう。Amazon S3に保存された、ウェブサイトのクリック履歴を表す生のJSON形式のデータがあると仮定する。

まず「クローラー」を使い、S3バケット内の生のJSONログをスキャンさせる。クローラーは、ユーザーID、ページURL、タイムスタンプといったデータの構造を自動的に認識し、「raw_clickstream」という名前のテーブルをGlueデータカタログに作成する。

次に「ETLジョブ」を作成し、データを変換する。Pythonスクリプトやビジュアルエディタを使って、このジョブが次の処理を行うように記述する。データカタログに登録された「raw_clickstream」テーブルからデータを読み込み、不正な形式のレコードをクリーンアップしたり、タイムスタンプを標準的な形式に変換したり、ボットからのアクセスを除外したりする。さらに、他のユーザー情報データと結合するなどの複雑な処理も可能だ。変換後のデータは、効率的なクエリのためにApache Parquetのような列指向形式でS3に書き戻し、日付ごとにパーティション分割(データを整理して効率的に検索できるように分類すること)する。

そして、このETLジョブを実行すると、AWS Glueが裏側で自動的にApache Sparkクラスターをプロビジョニングし、利用者の変換ロジックを実行する。データ量に応じてクラスターは自動的にスケールアップまたはスケールダウンされ、ジョブが完了した瞬間にクラスターは停止される。

最後に、S3の新しい出力場所に対して二つ目のクローラーを実行し、変換された「cleaned_clickstream」という新しいテーブルをデータカタログに作成する。このテーブルは、アナリストがAmazon Athenaなどのサービスで直接クエリできるよう、最適化された状態になっている。

データエンジニアだけでなく、より広範なデータ分析者にも対応するために、AWS Glueには「Glue DataBrew」というツールも提供されている。これは、Sparkの知識がないデータアナリストでも、コードを書くことなく、250以上の組み込み変換機能を使ってデータを視覚的にクリーンアップし、正規化できるツールである。S3に保存された膨大なデータに対して、強力なスプレッドシートエディタを使うような感覚で作業できる。

AWS Glueを選択する理由は、その多くの利点にある。最も大きな利点は「サーバーレス」であることだ。これにより、Apache Sparkクラスターの運用管理という、これまで時間と労力を要したインフラストラクチャの管理から解放される。また、S3、Redshift、RDS、Athenaといった他のAWSサービスと「統合」されており、Glueデータカタログはこれらの分析サービスを連携させる接着剤のような役割を果たす。費用面では「従量課金制」であり、ETLジョブが実行されている時間に対してのみ支払いが発生するため、ジョブがアイドル状態のときは費用がかからない。さらに、クローラーによるスキーマの自動発見は、データエンジニアが時間を要する作業から解放され、より価値の高い業務に集中できるようになるため「生産性」が向上する。

結論として、AWS Glueはビッグデータ処理の敷居を大きく下げるサービスである。インフラ管理という煩雑な作業をAWSに任せることで、複雑なETL処理を誰でも手軽に実行できるようになる。これは、AWS上で現代的なデータレイクアーキテクチャを構築する上での基盤となるサービスであり、生のデータからキュレーションされ、整理され、分析に適した資産へと効率的に変換することを可能にする。データ駆動型の組織を目指す企業にとって、AWS Glueは単なる便利なツールではなく、必要不可欠な存在と言える。

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