【ITニュース解説】Building Production-Ready AI Agents with CrewAI and Amazon Bedrock AgentCore
2025年09月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「Building Production-Ready AI Agents with CrewAI and Amazon Bedrock AgentCore」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
CrewAIとAmazon Bedrock AgentCoreで、複数のAIエージェントが連携し、研究・レポート作成のような複雑なタスクを効率的にこなすシステムを構築する。記憶機能で賢く動き、本番環境へ簡単にデプロイできる手順を解説。
ITニュース解説
CrewAIとAmazon Bedrock AgentCoreは、単一のAIでは対応が難しい複雑なタスクを、複数のAIが協力し合う形で解決し、それを実際に多くの人が利用する本番環境で安定して動かすための重要な技術を組み合わせたものだ。システムエンジニアを目指す者にとって、この技術の理解は現代のAIシステム開発において不可欠となるだろう。
CrewAIは、一つのAIが全てをこなす従来のモデルとは異なり、専門的な役割を持つ複数のAI(エージェント)を連携させる仕組みを提供する。これは、まるで人間で構成されたチームのようだ。例えば、情報収集を担当する「リサーチャー」、集めた情報を分析して報告書を作成する「アナリスト」など、各エージェントには明確な役割、達成すべき目標、そしてその行動の指針となる背景が設定される。これにより、エージェントはそれぞれの専門性を活かし、効率的にタスクを進めることができる。ユーザーは、知りたいテーマについて調査し報告書を作成するといった具体的なタスクを定義し、それをリサーチャーエージェントやアナリストエージェントに割り当てる。CrewAIはこれらのエージェントとタスクを「クルー」(チーム)としてまとめ上げ、タスクが一つずつ順番に実行されるように調整したり、より複雑な場合は管理者が指示を出すように階層的に連携させたりもできる。
AIエージェントが過去のやり取りや情報を覚えておくことは、一貫性のある対応を行う上で非常に重要となる。Amazon Bedrock AgentCoreの記憶システムは、この「永続的な記憶」をAIに与える役割を担う。このシステムは、ユーザーの行動パターン(好み)、特定の分野に関する知識(意味的知識)、そして過去の会話の概要(セッションの概要)という三つの異なる記憶戦略を用いて、エージェントが文脈を理解し、より適切な応答を生成できるように支援する。具体的には、ユーザーが新たな入力を与えると、記憶システムは過去の会話履歴や関連性の高い記憶を自動的に抽出し、それをエージェントへの指示に加えて強化する。この記憶システムはMemoryManagerという仕組みを通じて管理され、ユーザーごとに完全に独立した記憶空間が提供されるため、他のユーザーの記憶と混ざることはない。これはセキュリティとプライバシーの観点からも重要な設計となる。
CrewAIで構築したAIチームを、インターネット上で多くの人が利用できる「本番環境」へデプロイするための基盤がAmazon Bedrock AgentCore Runtimeだ。BedrockAgentCoreAppという仕組みを使うことで、Webサーバーの起動、ユーザーからのリクエストの受け付け、エラー処理、セッション情報の管理など、システム稼働に必要なインフラに関する複雑な作業をAgentCore Runtimeが自動的に処理してくれる。AIエージェントが外部からのリクエストを受け取る「入り口」となる関数には@entrypointという特別な目印が付けられ、AgentCore Runtimeはその関数を呼び出してAIの処理を開始する。ユーザーからの「プロンプト」(AIへの指示)を受け取ったAgentCore Runtimeは、CrewAIで定義されたAIチームを動かし、その実行結果をユーザーに返す一連の流れを管理する。RequestContextは、各ユーザーのセッション情報、つまり特定のユーザーがいつからAIと会話を始めたかといった情報を管理し、会話が途切れることなく継続的に行われるように支える。
AIシステムを開発する際には、まず自分のコンピューター上で動かして問題がないかを確認する「ローカルテスト」が不可欠となる。agentcoreというコマンドラインツールを使えば、開発したAIエージェントの設定、依存するライブラリの管理、Dockerコンテナの作成と起動といった開発環境の準備が簡単に行える。例えば、Pythonの特定のバージョンに対応させるための設定変更などもこの段階で行う。ローカルテストで問題がなければ、同じagentcore launchコマンドを一つ実行するだけで、Amazon Web Services(AWS)上に本番環境を構築できる手軽さが特徴だ。このデプロイプロセスでは、AIエージェントを動かすためのサーバーレス環境(AWS Lambda)、外部からのアクセスを受け付ける窓口(API Gateway)、ログの監視、そして利用状況に応じたシステムの自動的なスケーリングといった、インフラの複雑な設定がすべて自動で行われる。これにより、開発者はAIのロジック開発に集中でき、インフラの専門知識がなくてもプロダクションレベルのAIシステムを構築することが可能になる。
この記事で紹介される記憶管理の仕組みは、CrewAIだけでなく、Strands AgentsやPydantic AIなど他のAIフレームワークでも共通して利用できる設計になっている。これは、一度作成した記憶システムが異なるAIシステム間で共有・再利用できることを意味し、開発の効率を大きく向上させるとともに、システム全体の一貫性を保つことにも貢献する。CrewAIの柔軟なマルチエージェントの設計と、AgentCoreの強固でスケーラブルなインフラ基盤を組み合わせることで、様々な複雑なAIシステムを構築する無限の可能性が広がっている。この技術は、システムエンジニアが将来的にAI開発に携わる上で、間違いなく強力な武器となるだろう。