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【ITニュース解説】Applying Semgrep SAST to Any Application

2025年09月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「Applying Semgrep SAST to Any Application」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Semgrepは、プログラムのソースコードを分析し、セキュリティ上の脆弱性を開発の初期段階で発見するオープンソースの軽量ツールだ。多様なプログラミング言語に対応し、開発プロセス(CI/CD)に統合しやすいため、安全なアプリケーション開発を効率的に支援する。

出典: Applying Semgrep SAST to Any Application | Dev.to公開日:

ITニュース解説

現代のソフトウェア開発において、セキュリティは非常に重要な要素となる。ソフトウェアが完成し、利用される段階になってから脆弱性が見つかると、修正には多大なコストと時間がかかり、場合によってはユーザーに大きな損害を与える可能性もある。そこで、開発の早い段階で脆弱性を見つけ出し、対処することが求められる。これを「シフトレフト」という考え方と呼ぶ。SAST(Static Application Security Testing:静的アプリケーションセキュリティテスト)は、このシフトレフトを実現するための強力な手法の一つである。SASTツールは、プログラムのソースコードを実際に実行することなく分析し、潜在的なセキュリティ上の問題点や脆弱性がないかを検出する。これにより、脆弱性が本番環境に到達するリスクを大幅に低減できる。

Semgrepは、このSASTの概念を具現化したオープンソースのツールである。従来のエンタープライズ向けのSASTツールは、導入や運用に専門的な知識や多大なリソースが必要で、規模の大きい企業でしか利用しにくいという課題があった。しかしSemgrepは、軽量で開発者が使いやすいという特徴を持つ。サーバーを別途用意する必要がなく、手軽に導入できるため、小規模なチームやスタートアップ企業、あるいは大規模な企業においても、セキュリティスキャンを自動化するメリットを享受できる。 Semgrepの大きな特徴は、その柔軟性と汎用性にある。まず、オープンソースであるため、多くの開発者がその改善に貢献し、利用できる。また、コミュニティが作成したルールだけでなく、ユーザー自身が独自のルールを定義してスキャンに利用できる「拡張性」を備えている。これにより、組織固有のコーディング規約やセキュリティポリシーを反映したチェックも可能になる。さらに、SemgrepはPython、Java、JavaScript、Goなど、30種類以上のプログラミング言語に対応している「クロス言語対応」である点も強みだ。これにより、異なる言語で書かれた複数のアプリケーションを持つプロジェクトでも、統一したツールでセキュリティチェックを行える。

Semgrepの導入は非常に簡単である。Pythonのパッケージ管理ツールであるpipを使って、pip install semgrepとコマンドを実行するだけでインストールが完了する。また、Dockerが利用できる環境であれば、docker runコマンドを使って直接実行することも可能である。 具体的な脆弱性検出の例として、Pythonで書かれたSQLインジェクションの脆弱性を持つコードを考える。SQLインジェクションとは、データベースへの問い合わせ(SQL文)にユーザーからの入力が直接埋め込まれることで、悪意のあるユーザーが不正なSQL文を注入し、機密情報を抜き出したり、データを改ざんしたりする攻撃手法である。提供された例では、ユーザー名を受け取ってデータベースを検索する関数において、ユーザー入力を直接SQLクエリに文字列結合している部分がある。これは典型的なSQLインジェクションの脆弱性である。 Semgrepを使ってこの脆弱性を検出するには、事前に定義されたルールを使用するか、独自のルールを作成する。例えば、cursor.execute("..." + $VAR)のようなパターンを検出するカスタムルールをYAML形式で定義できる。このルールは、「cursor.execute関数が呼び出されており、その引数であるSQL文字列が文字列結合(... + 変数)を含んでいる場合」を検出するよう設定されている。このルールファイルを指定してsemgrep vulnerable.pyと実行すると、Semgrepはコードを解析し、SQLインジェクションの可能性がある箇所を正確に指摘し、警告メッセージを表示する。このように、特定のコードパターンを定義することで、潜在的な脆弱性を自動的に見つけ出すことが可能になる。

Semgrepの真価は、開発プロセス全体に組み込むことで発揮される。特に、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインへの統合は非常に重要である。CI/CDは、コードの変更が頻繁に行われる現代のソフトウェア開発において、コードのビルド、テスト、デプロイを自動化する仕組みである。SemgrepをCI/CDパイプラインに組み込むことで、開発者がコードをコミットしたり、プルリクエストを作成したりするたびに、自動的にセキュリティスキャンが実行されるようになる。 例えば、GitHub ActionsのようなCI/CDツールを使用する場合、簡単な設定ファイル(YAMLファイル)を作成するだけで、Semgrepのスキャンを自動化できる。この設定ファイルには、いつスキャンを実行するか(例:pushpull_requestのたび)、どの環境で実行するか、どのSemgrepルールセットを使用するか(例:p/security-auditという一般的なセキュリティ監査ルールセット)などを記述する。これにより、開発者は自身のコードがセキュリティ基準を満たしているかどうかを、デプロイ前に迅速に確認できるようになる。万が一脆弱性が検出された場合は、プルリクエストがマージされる前に警告が表示され、問題修正を促すことで、安全なコードのみが本番環境にデプロイされる体制を構築できる。

Semgrepには多くの利点がある。まず、「高速性」と「開発者への配慮」である。数秒のうちにスキャン結果が得られるため、開発者は自分の作業を中断することなく、迅速にフィードバックを受け取れる。次に「柔軟性」である。独自のルールを作成できるため、特定のプロジェクトや組織の要件に合わせてセキュリティチェックをカスタマイズできる。これにより、一般的な脆弱性だけでなく、特定の設計パターンやコーディングスタイルに関する問題も検出できる。さらに、「オープンなエコシステム」も強みである。豊富なコミュニティルールが提供されており、これらを活用することで、ゼロからルールを作成する手間を省き、すぐにセキュリティスキャンを開始できる。そして、「CI/CDネイティブ」であるため、GitHub、GitLab、Jenkinsといった主要なCI/CDプラットフォームにシームレスに統合できる。

しかし、Semgrepにもいくつかの制約があることを理解しておく必要がある。一つは、高度なルールを作成するためには、Semgrep独自のパターン構文を習得する必要がある点だ。これは学習コストとなる可能性がある。また、静的解析の性質上、「誤検知(False Positive)」が発生する可能性がある。これは、ツールがコードの特定のパターンを検出しても、それが実際の脆弱性ではないケースを指す。このような場合、開発者は手動で分析結果を確認し、本当に修正が必要なものかそうでないかを選別する(トリアージする)必要がある。最後に、Semgrepはソースコードを分析するツールであるため、プログラム実行時に発生する設定ミスや環境の問題といった、一部の脆弱性タイプ(ランタイム時の設定ミスなど)は検出範囲外である。これらは動的解析(DAST)やその他のセキュリティテスト手法で補完する必要がある。

Semgrepは、SASTが必ずしも重厚で企業専用のツールである必要がないことを示している。軽量でオープンソース、そして開発者に寄り添った設計により、どのようなアプリケーション開発においても、早期に脆弱性を検出し、コーディング標準を強制し、セキュリティを開発ワークフローに直接統合することを可能にする。コミュニティ主導のエコシステムと相まって、現代のソフトウェア開発チームにとって非常に多用途で価値のある選択肢となっている。Semgrepを活用することで、よりセキュアなソフトウェア開発を、より効率的に進めることができるようになるだろう。

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