【ITニュース解説】AWS Roadmap: Beginner to Advanced

2025年09月04日に「Dev.to」が公開したITニュース「AWS Roadmap: Beginner to Advanced」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

AWSを学ぶためのロードマップ。クラウドの基礎から始め、EC2やS3等の主要サービスを習得する。次にWebサイト構築などの実践で理解を深め、DevOpsやセキュリティ、高度なアーキテクチャへと進む。最終的に資格取得を目指す学習法を紹介。

出典: AWS Roadmap: Beginner to Advanced | Dev.to公開日:

ITニュース解説

現代のITシステム開発において、クラウドコンピューティング、特にAmazon Web Services (AWS)の活用は不可欠なスキルとなっている。システムエンジニアを目指す者にとって、この広範な技術を体系的に学ぶための道筋を知ることは極めて重要である。ここでは、AWSを基礎から応用まで段階的に習得するための学習ロードマップを解説する。

最初のステップは、AWSという特定のサービスに触れる前に、クラウドコンピューティングの基本的な概念を理解することから始まる。クラウドコンピューティングとは何か、インターネット経由でコンピューティングリソースを利用するモデルであることをまず把握する必要がある。その上で、提供されるサービスの階層を示すIaaS、PaaS、SaaSの違いを学ぶ。これは、自身で管理する範囲がどこまでなのかを理解する上で重要となる。また、AWSが世界中の物理的なデータセンターをどのように配置しているかを示す「リージョン」と「アベイラビリティゾーン」の概念や、セキュリティ責任をAWSと利用者の間でどのように分担するかを定めた「共有責任モデル」も、クラウドを安全かつ効果的に利用するための土台となる知識である。

基礎知識を固めたら、次にAWSが提供する数多くのサービスの中でも、システム構築の核となるコアサービスを学習する段階に進む。これらは、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーキング、セキュリティといったカテゴリに大別される。コンピューティングでは、仮想サーバーを構築するEC2や、サーバー管理不要でコードを実行できるLambdaが中心となる。ストレージでは、あらゆるデータを保存できるS3や、EC2に接続する仮想ディスクであるEBSが基本だ。データベースでは、従来型のリレーショナルデータベースを提供するRDSや、高速なNoSQLデータベースであるDynamoDBを理解する。ネットワークでは、AWS内にプライベートなネットワーク空間を作成するVPC、そしてセキュリティでは、ユーザーの権限を厳密に管理するIAMが、あらゆるシステム設計の基盤となる。これらのコアサービスがそれぞれどのような役割を担うかを把握することが、次のステップへの鍵となる。

理論的な知識を身につけた後は、実際に手を動かしてシステムを構築する実践的なプロジェクトに取り組むことが不可欠である。学んだコアサービスを組み合わせることで、知識は確かなスキルへと昇華する。例えば、S3を使って静的なウェブサイトを公開する、Lambdaを利用して特定のイベントに応じて動作するサーバーレス機能を実装する、EC2上にWordPressのような一般的なアプリケーションを導入する、あるいはAPI Gateway、Lambda、DynamoDBを連携させてREST APIを開発するなど、具体的な目標を設定したプロジェクトを通じて、各サービスの連携方法や設定の勘所を体得していく。

基本的なシステム構築に慣れたら、次は開発と運用の効率化と自動化を目指すDevOpsの領域へと進む。ここでは、インフラ構成をコードで管理する「Infrastructure as Code (IaC)」という概念が重要になる。AWS CloudFormationなどのツールを使えば、サーバーやネットワークの設定をテンプレートファイルとして記述し、誰が実行しても同じ環境を正確かつ迅速に再現できる。また、ソースコードの変更からテスト、本番環境へのデプロイまでの一連の流れを自動化するCI/CDパイプラインをCodePipelineなどのサービスで構築するスキルも求められる。システムの稼働状況を監視するCloudWatchや、アプリケーションのパフォーマンス問題を分析するX-Ray、そしてアプリケーションを隔離された環境で実行するコンテナ技術であるECSやEKSも、現代的な運用に欠かせない要素だ。

システムの自動化と並行して、セキュリティに関する知識をさらに深める必要がある。クラウド環境の安全性を確保することは、システムエンジニアの重要な責務である。IAMを用いてユーザーやプログラムに必要最小限の権限のみを与える原則を徹底し、多要素認証(MFA)の導入やアクセスキーの適切な管理を行う。また、KMSを利用して保存データや通信を暗号化する技術、VPCのセキュリティグループやネットワークアクセスコントロールリスト(NACL)を用いて、サーバーへの不正な通信をブロックする仕組みを理解し、設定できなければならない。さらに、AWS ConfigやCloudTrailといったサービスを活用し、設定変更の履歴を追跡・監査することで、コンプライアンス要件を満たし、セキュリティインシデントの原因究明に役立てる。

ここまでのスキルを習得すると、より大規模で信頼性の高いシステムを設計するための高度なアーキテクチャを学ぶ準備が整う。アクセス数の増減に応じてサーバーの台数を自動的に調整するオートスケーリングや、複数のサーバーにトラフィックを効率良く分散させるロードバランシングは、安定したサービス提供に不可欠な技術である。また、システムの一部に障害が発生してもサービス全体が停止しないように設計する高可用性や耐障害性の考え方、そして大規模な災害が発生した際に迅速にサービスを復旧させるためのディザスタリカバリ戦略も、プロフェッショナルなエンジニアとして身につけるべき重要なスキルセットだ。

基礎から応用までを一通り学んだ後、自身のキャリア目標や興味に応じて、特定の専門分野のサービスを深掘りしていく。例えば、AI・機械学習分野に興味があればSageMakerやRekognition、大量のデータを分析するビッグデータ分野であればEMRやRedshift、物理的なデバイスをインターネットに接続するIoT分野であればAWS IoT Coreなど、AWSは多岐にわたる専門サービスを提供している。これらを学ぶことで、自身の専門性を高め、キャリアの可能性を大きく広げることができる。

こうした学習の過程で得た知識とスキルを客観的に証明する手段として、AWS認定資格の取得は非常に有効である。入門者向けの「クラウドプラクティショナー」から始まり、役割別の「アソシエイト」、より高度な「プロフェッショナル」、そして特定の技術分野に特化した「スペシャリティ」まで、段階的な認定パスが用意されている。資格取得を学習の目標に設定することで、モチベーションを維持し、網羅的な知識の習得を促進することができるだろう。これらの学習全体を通じて、AWSの公式ドキュメントやオンラインコース、ハンズオンラボなどを積極的に活用することが、効率的なスキルアップに繋がる。