【ITニュース解説】Deploying Docling Application on ECS with Application Load Balancer
2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「Deploying Docling Application on ECS with Application Load Balancer」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
AWSのコンテナサービスECSにアプリケーションを展開し、ALBで公開する手順を解説。アクセスを振り分ける負荷分散の仕組みから、コンテナの実行設定、サービス公開までの一連の流れを学べる。
ITニュース解説
AWSのコンテナ管理サービスであるECS(Elastic Container Service)を利用して、GPUを必要とする高度なアプリケーションをデプロイし、Application Load Balancer(ALB)を介してインターネットに公開する一連の手順が解説されている。これは、AIや機械学習のような計算負荷の高いワークロードを、スケーラブルかつ安定的に運用するための実践的なアーキテクチャである。
まず、アプリケーションをコンテナとして実行するための設計図となる「タスク定義」を作成する。タスク定義には、使用するコンテナイメージの場所、コンテナに割り当てるCPUやメモリの量、そして今回のアプリケーションの核となるGPUリソースの要求数を指定する。コンテナが外部と通信するために使用するポート番号や、アプリケーションのログをAmazon CloudWatch Logsに集約するための設定もここに含まれる。この定義ファイルがあることで、ECSはどのような仕様のコンテナを起動すればよいかを正確に理解できる。
次に、作成したタスク定義に基づき、実際にコンテナを起動・維持・管理するための「ECSサービス」を設定する。ECSサービスの役割は、指定した数のコンテナ(タスクと呼ばれる)が常に正常に稼働し続けることを保証することにある。例えば、何らかの障害でタスクが停止してしまった場合でも、サービスは自動的に新しいタスクを起動し、定義された数を維持しようとする。これにより、アプリケーションの可用性が高まる。
アプリケーションをインターネットに公開し、ユーザーからのアクセスを処理するためには、Application Load Balancer(ALB)という負荷分散装置を設置する。ALBは、受け取ったリクエストを、背後で稼働している複数のコンテナに効率的に振り分ける役割を担う。これにより、単一のコンテナやサーバーにアクセスが集中することを防ぎ、システム全体のパフォーマンスと安定性を向上させることができる。
ALBは、「ターゲットグループ」と「リスナー」という二つの主要なコンポーネントで構成される。ターゲットグループは、リクエストの転送先となるコンテナ群をまとめたものであり、登録されたコンテナが正常に動作しているかを定期的に確認するヘルスチェック機能を持つ。ALBはこのヘルスチェックの結果に基づき、正常なコンテナにのみリクエストを転送する。一方、リスナーは、特定のプロトコルとポート番号でユーザーからの接続要求を待ち受ける窓口の役割を持つ。リスナーは、受信したリクエストをどのターゲットグループに転送するかを定義したルールに基づいて動作する。
ECSサービスとALBを連携させる設定も重要である。この連携により、ECSサービスがタスクを起動すると、そのタスクは自動的にALBのターゲットグループに登録され、トラフィックの振り分け対象となる。逆にタスクが停止した場合は、ターゲットグループから自動的に登録解除される。この自動化により、手動での煩雑な管理作業が不要になる。
セキュリティの確保も不可欠な要素である。「セキュリティグループ」という仮想ファイアウォールを用いて、各コンポーネント間の通信を厳密に制御する。まず、ALB用のセキュリティグループを作成し、インターネット上の不特定多数からのアクセスを許可するポートを限定する。次に、コンテナが動作するEC2インスタンス用のセキュリティグループでは、ALBからの通信のみを受け付けるように設定する。この多層的な構成により、インターネットからEC2インスタンスへ直接アクセスされることを防ぎ、システムのセキュリティを強化する。
これらの設定をすべて完了させることで、GPUを利用するコンテナ化されたアプリケーションがECS上で稼働し、ALBを介して安全かつスケーラブルにインターネットへ公開されるアーキテクチャが完成する。最終的な検証として、ALBに自動的に割り当てられたDNS名にブラウザやコマンドラインからアクセスし、アプリケーションが意図通りに応答することを確認する。この一連のプロセスは、コンテナオーケストレーション、負荷分散、そしてクラウドのセキュリティ機能を組み合わせた、現代的なアプリケーションデプロイメントの標準的なモデルを示している。