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Wi-Fi HaLow(ワイファイハロー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

Wi-Fi HaLow(ワイファイハロー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ワイファイハロ (ワイファイハロー)

英語表記

Wi-Fi HaLow (ワイファイ ハロー)

用語解説

Wi-Fi HaLowとは、低消費電力で長距離通信を可能にするために設計されたWi-Fi規格の一種である。IEEE 802.11ahという技術標準に基づき、Wi-Fi Allianceが「Wi-Fi HaLow」というブランド名で認証プログラムを提供している。従来のWi-Fiが主に2.4GHz帯や5GHz帯といった高周波数帯を使用し、比較的高速で短距離の通信に特化しているのに対し、Wi-Fi HaLowは主に900MHz帯などのサブギガヘルツ帯と呼ばれる低周波数帯を使用する点が最大の特徴である。これにより、壁や障害物を透過しやすく、最大1km程度の通信距離を実現しながら、極めて低い消費電力で動作できる。この特性から、多数のデバイスを広範囲にわたって接続する必要があるIoT(モノのインターネット)分野での活用が期待されている。スマートホーム、スマートシティ、産業用IoT、農業IoTなど、様々なユースケースにおいて、バッテリー駆動のセンサーやデバイスを効率的にネットワークに接続するソリューションとして注目されている。

詳細に入ると、Wi-Fi HaLowが利用するサブギガヘルツ帯は、電波が直進性が強い高周波数帯に比べて、より広範囲に到達し、かつ障害物を回り込んだり透過したりしやすいという物理的な特性を持つ。これにより、従来のWi-Fiでは電波が届きにくかった建物の隅々や、屋外の広範囲にわたるエリアでも安定した通信が可能となる。具体的な通信距離は、環境にもよるが、数百メートルから最大1キロメートルに及ぶこともある。これは、一般的なWi-Fiルーターの通信範囲が数十メートル程度であることを考えると、非常に大きなアドバンテージである。

消費電力の低さもWi-Fi HaLowの重要な要素である。IoTデバイスの多くは、限られた電力で長期間稼働する必要があるため、無線通信モジュールが消費する電力はできるだけ低い方が望ましい。Wi-Fi HaLowは、TWT(Target Wake Time)などの省電力メカニズムを標準でサポートしている。TWTは、デバイスが通信を行うタイミングを事前にスケジュールすることで、それ以外の時間はスリープ状態に移行し、電力消費を最小限に抑える機能である。これにより、コイン型電池一つで数年間稼働するようなデバイスも実現可能となり、バッテリー交換の手間やコストを大幅に削減できる。データレートについては、従来の高速Wi-Fiと比較すると低いが、数十キロビット/秒から数メガビット/秒程度の速度を提供できる。これは、IoTデバイスが扱うデータ(センサーの測定値や状態情報など)が比較的小容量である場合が多いため、多くのIoTアプリケーションにとっては十分な速度である。

セキュリティ面でも、Wi-Fi HaLowはWi-Fi Allianceの認証プログラムの一環として、WPA3などの最新のWi-Fiセキュリティプロトコルをサポートしている。これにより、IoTデバイス間の通信が安全に保たれ、不正アクセスやデータ改ざんから保護される。また、IP(Internet Protocol)ベースの通信をサポートしているため、既存のインターネットインフラとの互換性が高く、複雑なゲートウェイやプロトコル変換を必要とせずに、IoTデバイスをクラウドに直接接続しやすいという利点もある。

他のIoT向け無線技術と比較すると、Wi-Fi HaLowの立ち位置がより明確になる。Bluetooth Low Energy (BLE) は近距離のデバイス間接続に優れるが、通信距離やネットワーク規模において限界がある。LoRaWANやSigfoxといったLPWA (Low Power Wide Area) 技術は、超長距離・低消費電力を実現するが、データレートが極めて低く、双方向通信の頻度にも制限がある場合が多い。また、セルラーLPWA (NB-IoT, LTE-M) はキャリアインフラを利用するため広範囲をカバーできるものの、デバイスあたりの通信コストが発生し、特定のプライベートネットワークの構築においては柔軟性に欠ける場合がある。Wi-Fi HaLowは、これらの中間に位置し、BLEより長距離で、LoRaWAN/Sigfoxより高速なデータレートと双方向性を持ち、かつキャリアインフラに依存しないプライベートネットワークを比較的低コストで構築できるという強みを持つ。これにより、大規模な工場や倉庫、広大な農地、スマートキャンパスなど、特定のエリアで多数のIoTデバイスを広範囲かつセキュアに接続したい場合に特に有効な選択肢となる。例えば、工場内の機械設備の状態監視センサーから、倉庫内の在庫品の位置追跡タグ、スマート農業における土壌水分センサーや気象観測装置まで、多様なIoTデバイスの接続に対応できる。

市場においては、まだ普及途上にある技術だが、そのユニークな特性から、今後のIoT社会において重要な役割を果たすことが期待されている。特に、Wi-Fiエコシステムに属しているため、既存のWi-Fi技術やIPネットワークの知識・資産を活かせる点も大きな利点である。IPベースであるため、クラウドサービスとの連携も容易であり、システム構築の柔軟性も高い。もちろん、デメリットとして、既存の2.4GHz/5GHz帯のWi-Fiデバイスとの互換性はないため専用のモジュールが必要であること、利用できる周波数帯域が狭いため、超高速データ通信には不向きであること、そしてまだ普及段階であるためデバイスの種類が限定的であることなどが挙げられる。しかし、IoTの進化とともに、その潜在能力がさらに引き出され、さまざまな分野での導入が進むことで、これらの課題も徐々に解消されていくと予想される。

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