【ITニュース解説】Introducing MindsDB’s Integration with Gong: AI Analytics on Call Data
2025年09月11日に「Dev.to」が公開したITニュース「Introducing MindsDB’s Integration with Gong: AI Analytics on Call Data」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
MindsDBとGongが連携し、顧客との通話データをAIで高度に分析・活用できるようになった。Gongの通話データを直接取り込み、ナレッジベース構築、ハイブリッド検索、AIエージェントによる自然言語での質問応答が可能だ。これにより営業やカスタマーサクセスは、通話から素早く深い洞察を得て、業務改善や意思決定を効率化できる。
ITニュース解説
MindsDBとGongの連携は、企業が顧客との会話データから価値ある情報を引き出すための新しいアプローチを提供する。Gongは、営業やカスタマーサクセスの現場で交わされる顧客との通話やオンラインミーティングのやり取りを記録し、文字起こし、そして内容を分析する「会話インテリジェンスプラットフォーム」である。このプラットフォームは、顧客のニーズや不満といった貴重な情報(「データの宝庫」と呼ばれる)を収集し、営業チームの理解深化、パフォーマンス最適化、データに基づいた意思決定を支援する。
しかし、Gongが収集する膨大な生のデータから、本当に役立つ「行動可能なインサイト」を得ることは容易ではない。手作業でのデータ抽出や分類、異なるツール間での連携不足が課題となりがちだ。ここでMindsDBが登場する。MindsDBは、機械学習(AI)モデルをあたかも通常のデータベースのように扱えるオープンソースのプラットフォームである。これにより、複雑なデータパイプライン構築やCSVファイルのエクスポート手間をかけずに、SQLに似たシンプルな命令でAIモデルを活用できる。
MindsDBとGongを連携させることで、Gongが持つ顧客の会話データに直接アクセスし、それを元に「Knowledge Base(知識ベース)」を構築できる。この知識ベースは、特定の情報群をAIが効率的に参照できるよう整理された情報源だ。さらに、この知識ベースに対して、自然言語での質問に答えられる「AI Agent(AIエージェント)」を作成することも可能になる。
この連携は、企業の様々な部門に具体的な価値をもたらす。営業リーダーや営業運用チームは、通話量、話題、顧客の感情トレンドをリアルタイムで追跡し、戦略立案に役立てられる。カスタマーサクセスチームは、顧客の感情分析や頻繁な苦情を基に、顧客離反のリスクがあるアカウントを早期に特定できる。研修担当マネージャーは、成果につながった高評価の通話記録や成功事例を簡単に探し出し、研修用データとして活用できる。経営層は、詳細なダッシュボードを掘り下げることなく、AIが要約したインサイトを素早く得て、より的確な経営判断を下せる。MindsDBの最高収益責任者ブラッド・ガイガーも、このGong連携は顧客満足度(CSAT)、顧客推奨度(NPS)、収益目標に直接貢献し、チームの効率を大幅に向上させると述べている。
MindsDBとGongの連携は、具体的な5つのステップで実行できる。まず、MindsDBの環境を準備する。これはDockerを使ってローカルに構築するか、Docker DesktopのMindsDB拡張機能を利用してGUIから操作できる。
ステップ1として、MindsDBをGongに接続する。これは、MindsDB内でGongを「データベース」として認識させる作業である。CREATE DATABASE コマンドを使用し、GongのベースURL、アクセスキー、シークレットキーといった認証情報を設定する。接続後、SHOW TABLES FROM gong_data; でGongの持つテーブル(例:通話記録のcalls、分析結果のanalytics)を確認し、SELECT * FROM gong_data.calls; でそれぞれのテーブルのデータを参照できる。
ステップ2では、MindsDBインスタンスにAIモデルを追加する。MindsDBの「Settings」タブにある「Models」セクションから、AIエージェントが使用するデフォルトモデルや、Knowledge Baseで使用するRerankingモデル、Embeddingモデルを設定する。これらはAIが情報を処理したり、検索の関連性を評価したりするために必要だ。
ステップ3では、Gongデータを使ってKnowledge Baseを作成し、ハイブリッド検索を実行する。CREATE KNOWLEDGE_BASE コマンドを使って、通話記録から重要な詳細情報(例:通話ID、タイトル、日付、期間、通話タイプ)を抽出するためのcalls_kbという知識ベースを定義する。この際、どの列を「メタデータ」(付随情報)として扱うか、どの列を「コンテンツ」(主要情報)として扱うか、そしてどの列を「ID」として使うかを指定する。次に、INSERT INTO コマンドで、Gongのcallsテーブルから必要なデータをこの知識ベースに挿入する。
Knowledge Baseが作成され、データが格納されたら、「ハイブリッド検索」を実行できる。これは、伝統的なキーワード検索だけでなく、自然言語の意味を理解する「意味検索」と、日付や期間といった構造化された「メタデータ」を組み合わせた強力な検索方法である。例えば、「デモデーに関する通話で、時間が3000秒より長く、関連度スコアが0.6以上のものを探す」といったクエリを実行できる。
この検索コマンドで使われる主要なパラメータは以下の通りだ。content = 'demo day' は、自然言語での意味検索を示し、duration > 3000 はメタデータによるフィルタリングを行う。relevance >= 0.6 は、検索結果の関連度(クエリとの一致度合い)が指定した閾値以上であるものを返し、hybrid_search_alpha = 0.5 は、キーワード検索と意味検索のどちらをどれだけ重視するかを調整する(0.5は両者を平等に扱う)。
ステップ4では、Gongのanalyticsデータを使って、2つ目のKnowledge Baseを作成する。このanalytics_kbは、感情スコア(sentiment_score)をメタデータとし、トピック(topics)や感情(emotions)をコンテンツとして格納する。これも先ほどと同様にCREATE KNOWLEDGE_BASEとINSERT INTOコマンドで作成し、データを挿入する。このKnowledge Baseに対してもハイブリッド検索を適用し、特定の条件(例:「インタラクティブ性が8.0以上で、感情スコアが0.6から0.7の範囲にある次のステップ」に関する情報)でデータを抽出することが可能だ。
最後のステップ5では、これら2つのKnowledge Base(calls_kbとanalytics_kb)を組み合わせてAIエージェントを作成する。CREATE AGENT コマンドを使用し、エージェントの名前(例:gong_agent)を指定する。dataパラメータには、エージェントが参照するKnowledge Baseのリストを設定し、prompt_templateパラメータには、エージェントが質問に答える際に役立つよう、各Knowledge Baseがどのようなデータを含んでいるかを説明する指示を記述する。エージェントが作成されたら、SELECT answer FROM gong_agent WHERE question = '質問内容'; のように、自然言語で質問を投げかけることができる。「通話は何件あったか?」「インタラクティブ性と忍耐レベルの最高値と最低値は何か?」「通話タイトルに基づいて、どのような通話カテゴリが作成できるか?」といった具体的な質問に対し、エージェントは複数のKnowledge Baseを横断して情報を探し、適切な回答を提示する。
このように、MindsDBとGongの連携は、5つの簡単なステップで、Gongの会話データをリアルタイムでクエリし、意味検索と構造化されたフィルタリングを組み合わせ、ビジネスと共に進化するKnowledge Baseを構築し、さらには自然言語で質問に答えられるAIエージェントを作成することを可能にする。これは、従来のような複雑なデータ処理パイプラインや手作業を大幅に削減し、企業が実際の通話データに基づいた信頼性の高いAIを活用することで、より迅速なインサイト獲得を促進する。
MindsDBとGongの連携は、静的なダッシュボードに留まらず、顧客との会話からリアルタイムでAIが提供するインサイトを引き出すことを可能にする。Knowledge Base、ハイブリッド検索、自然言語対応エージェントを通じて、営業成績の向上、カスタマーサクセスの強化、経営層への実用的な情報提供といった、具体的なビジネス価値を生み出す新しい方法を提供する。このワークフローは、従来のデータ処理の障壁を取り除き、営業リーダーから経営幹部まで、あらゆるステークホルダーがより迅速かつスマートに、自信を持って意思決定を行えるよう支援する。