【ITニュース解説】ShowDev: Building Web PSQC – From Idea to Website Certification Platform
2025年09月11日に「Dev.to」が公開したITニュース「ShowDev: Building Web PSQC – From Idea to Website Certification Platform」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Web PSQCは、ウェブサイトの性能、セキュリティ、品質、コンテンツを統合的にテストし認証するプラットフォームだ。複数の分散ツールでの非効率を解消するため開発。技術選定から自動テスト、レポート作成、認証書発行までのプロセスや課題解決を紹介し、ウェブサイトの総合的な品質向上を目指す。
ITニュース解説
Web PSQCは、Webサイトの健全性を多角的に評価し、その結果を証明する新しいプラットフォームである。このプラットフォームは、Webサイトのパフォーマンス、セキュリティ、品質、コンテンツという四つの主要な側面を網羅的にテストし、その総合的な評価を可視化する独自の認証サービスを提供する。
開発者は、これまでWebサイトの監査を行う際に、パフォーマンス測定にはGTmetrix、SSL証明書の検証にはSSL Labs、SEO分析にはLighthouse、そしてリンク切れチェックには自作のスクリプトといったように、複数の異なるツールを使い分ける必要があった。この方法は非常に手間がかかり、非効率的であるという課題があった。そこで、開発者はこれらの機能を一つの統合されたプラットフォームに集約し、数分で全てのテストを実行し、最終的に信頼性のある認証証明書を発行できるシステムを構想した。これがWeb PSQC開発の出発点となった。
Web PSQCの開発は、まず評価するべき主要な領域を明確に定義することから始まった。具体的には、以下の四つの柱が設定された。 一つ目は「パフォーマンス」で、Webサイトの表示速度、ページの読み込み時間、そして様々なデバイスへの応答性を評価する。ユーザー体験に直結する重要な要素である。 二つ目は「セキュリティ」で、SSL/TLS証明書の適切な設定、HTTPヘッダーの安全性、既知の脆弱性の有無などをチェックし、サイトの安全性を確保する。 三つ目は「品質」で、アクセシビリティ(障害を持つ人々がWebサイトをどれだけ利用しやすいか)、異なるブラウザやデバイスでの互換性、そしてリンク切れの有無などを検証し、サイトの安定性と信頼性を高める。 四つ目は「コンテンツ」で、SEOメタデータ(検索エンジンがサイトの内容を理解するための情報)、構造化データ(検索結果にリッチな情報を表示するための形式)、そして検索エンジンによるクロール(情報収集)のしやすさを評価し、情報発信の効率性を向上させる。このPSQCというフレームワークが、Webサイトの自動テストを開発するための具体的なロードマップとなった。
次に、このプラットフォームを構築するための技術スタックが選定された。 バックエンド、つまりシステムの裏側で複雑な処理を行う部分には、PHP製のWebアプリケーションフレームワークであるLaravelが採用された。これは、PHPスクリプトを高速に実行するPHP-FPMと組み合わせることで、効率的かつ迅速な開発が可能になるためである。 フロントエンド、つまりユーザーが直接目にする部分には、Laravelに組み込まれているBladeテンプレートエンジンと、軽量でモダンなデザインを提供するCSSフレームワークであるTabler CSSが使われた。これにより、ユーザーインターフェースを素早く構築することができた。 インフラ、つまりシステムを動かす基盤には、Amazon Web Services (AWS) の仮想サーバーであるEC2が利用され、インターネットからの安全なアクセス経路を確保するためにCloudflare Tunnelsが導入された。 SSL証明書の自動化には、無料のSSL/TLS証明書を提供するLet's Encryptを管理するacme.shが使われた。 実際のテストツールとしては、Googleが開発したWebサイトの品質監査ツールであるLighthouse CLIがSEOとアクセシビリティの評価に、SSL/TLS設定の詳細な検証にはtestssl.shが、そしてリンクやメタデータの検証にはカスタム開発されたクローラーが用いられた。さらに、より高度な機能として、Webサイトに大量のアクセスをシミュレーションして負荷耐性を測るロードテストツールK6も導入された。
開発のワークフローは、ユーザーがWebサイトのドメイン名を入力することから始まる。システムはこのドメイン名を受け取ると、定義された複数のテストをキュー(処理待ちリスト)に追加する。各テストは互いに干渉しないように独立して実行され、その結果は構造化されたデータ形式で保存される。全てのテストが完了すると、それらの結果は統合され、PSQCの各項目に基づいた総合的なレポートが作成される。このレポートに基づいて、ユニークなQRコードが埋め込まれた証明書が発行される。このQRコードは、企業が監査結果の「証拠」としてクライアントへのプレゼンテーションや自社サイトに提示する際に、その正当性を即座に検証できる点で非常に重要である。
開発中にはいくつかの課題に直面し、その解決策が講じられた。 一つは「パフォーマンスボトルネック」である。LighthouseやSSLスキャンといった処理負荷の高いテストを同時に多数実行すると、サーバーのCPU使用率が急激に上昇し、システムの応答性が低下する問題が発生した。これを解決するために、一部のテストはコンテナと呼ばれる分離された環境で実行され、同時に実行できるテストの数を制限することで、サーバーへの負荷を分散し、システムの安定性を保った。 もう一つは「データ正規化」である。様々なテストツールはそれぞれ異なる形式で結果を出力するため、これらのデータを統一的に扱えるように変換する必要があった。開発者は、各ツールが出力するデータを解析し、統一されたJSONスキーマ(データ構造のルール)に変換するパーサーを開発することで、この問題を解決した。 さらに、将来的な「スケーラビリティ」も考慮された。現在はAWS EC2サーバーとRedisという高速なデータストアを使ったキューシステムでテスト処理を管理しているが、将来的には複数の地域に分散されたワーカー(テスト実行機)を配置することで、対象となるWebサイトにより近い場所でテストを実行し、効率と速度を向上させる計画がある。
テスト結果の「パッケージング」にも工夫が凝らされた。単に生のJSONデータやテキストログを提示するのではなく、4つの評価軸におけるスコアを分かりやすく要約した明確な証明書としてデザインされた。この証明書はPDF形式でダウンロードでき、企業がクライアントと簡単に共有できる。初期のデモンストレーションにおいて、Web制作会社がクライアントに自社の価値を瞬時に証明できる非常に有効なツールとして高く評価され、最も喜ばれた機能の一つとなった。
このプロジェクトを通じて、いくつかの重要な教訓が得られた。 開発者は詳細な情報や技術的なログを好む傾向があるが、ビジネスユーザーはシンプルで分かりやすい要約を求める。この両者のニーズのバランスを取ることの重要性を学んだ。 また、一度に大量のテストを実行しようとするとサーバーに過剰な負荷がかかり、システム全体が停止するリスクがあるため、テストのキュー管理がシステム運用において非常に重要であることも認識した。 そして、アクセシビリティや構造化データといった要素は、Webサイトの構築時に見過ごされがちだが、長期的なSEO(検索エンジン最適化)やユーザー体験向上には不可欠であるという再確認があった。
今後の展望としては、Web PSQCをさらに進化させる計画がある。他のWebサイトと比較した相対的なパフォーマンスを測る「パーセンタイルベンチマーク機能」の追加や、異なる地域からロードテストを実行できる「マルチリージョンモード」の拡張、そしてWeb制作会社が自社のブランドロゴを入れて証明書をカスタマイズできる機能などが検討されている。
Web PSQCの構築は、開発者自身の課題解決から始まったプロジェクトだが、最終的にはWeb制作会社や一般企業にとって非常に有用なプラットフォームへと成長した。これは、アイデアを着実に形にし、現実世界の課題を解決するシステムエンジニアリングの面白さと奥深さを象徴するプロジェクトである。