【ITニュース解説】Slowday: A Little Rewards Shelf That Remembers for You
2026年10月26日に「Dev.to」が公開したITニュース「Slowday: A Little Rewards Shelf That Remembers for You」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Slowdayは、期限切れになるクーポンやポイントなどのリワードを管理するWebアプリだ。AIがメールやメッセージから販売元、価値、期限、引き換え手順を抽出し、一元管理できる。期限間近の通知や検索機能もあり、リワードの使い忘れを防ぐ。データはブラウザに保存され、アカウント不要で利用可能だ。
ITニュース解説
Slowdayは、日常で得られるクーポンやポイント、特典の情報を忘れずに活用するためのアプリケーションである。多くの人が、メールやメッセージで受け取った特典を見つけながらも、期限切れになるまで使うのを忘れてしまうという共通の課題を抱えている。Slowdayは、こうした特典情報を一箇所に集約し、重要な詳細を記憶しておくことで、ユーザーが特典を無駄にすることなく利用できるよう支援する。
このアプリの主な機能は、特典情報の「棚」として機能し、ユーザーが手軽に情報を登録できる点にある。たとえば、特典が記載されたメールの本文を貼り付けたり、自分で詳細を入力したりできる。AI(人工知能)がそのテキストを分析し、販売元、特典名、特典の価値、有効期限、引き換えのためのリンク、具体的な利用手順といった重要な情報を自動で抽出する。AIが抽出した情報は「ドラフト」(下書き)として表示され、ユーザーはそれを確認し、必要に応じて修正してから保存できるため、常に正確な情報が保たれる。
Slowdayは、保存された特典を一目で確認できる機能も提供する。現在有効な特典や、すでに使用済みの特典の概要を表示する。また、「もうすぐ期限切れ」という特別な表示があり、忘れがちな特典の期限が近づいていることを知らせてくれる。多数の特典を保存しても、キーワードで簡単に検索できる機能も備わっている。特典を利用した際には、それを「使用済み」とマークでき、もし再度利用する可能性がある特典であれば、一時的に「ToDoリスト」に戻すことも可能だ。AIが一時的に利用できない場合でも、手動で情報を入力する機能があるため、アプリが使えなくなる心配はない。さらに、ユーザーはアカウントを作成する必要がなく、保存された特典情報はユーザーのウェブブラウザ内に保存されるため、手軽に利用開始でき、プライバシーも保護される仕組みとなっている。このアプリの目標は、特典をどこに保存したかを思い出すよりも、特典を使う方が少ない労力で済むようにすることだ。
Slowdayの技術的な側面を見ると、その構造は主に三つの部分から成り立っている。まず、ユーザーが直接操作する画面部分、いわゆる「フロントエンド」は、ReactとViteという技術で作られている。Reactは動的なウェブサイトの見た目を作るための非常に人気のあるプログラミング技術で、ViteはそのReactでの開発を効率的に、かつ高速に進めるためのツールである。このフロントエンドはNetlifyというサービスにデプロイされており、これによりインターネット上で公開されている。
次に、ユーザーからは見えない裏側で情報の処理を行う「バックエンド」がある。これはPythonというプログラミング言語で書かれたAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)が担っており、AIによる情報抽出の処理を受け持っている。ユーザーが「詳細を抽出」ボタンをクリックすると、このPython APIが特典テキストを受け取り、AIモデルにそのテキストを送信する。
AIの部分では、Qwen2.5 3BというAIモデルが利用されており、Ollamaというツールを介してアクセスされる。Ollamaは、AIモデルを自分のサーバーやコンピューター上で動かすことを可能にするツールで、OpenAIが提供するAIサービスと互換性のあるAPIを通じて利用できる。つまり、Python APIは受け取った特典テキストをOllama上のQwen2.5 3Bモデルに送り、AIモデルはそこから抽出した情報をJSON形式(コンピューターが扱いやすいように整理されたデータ形式)でPython APIに返す。このJSONデータがフロントエンドに送られ、ユーザーが確認・編集できるドラフトとして表示される。開発時には、Docker Composeというツールを使って、このPython APIとOllamaが連携して動作する環境が構築されている。しかし、公開されているSlowdayのデモ版では、まだフロントエンドと、Ollamaを動かすバックエンドサーバーの接続が完了しておらず、現在のところAIによる抽出機能は利用できないが、今後のステップとしてこの接続が最優先されている。
Slowdayの設計思想において、データの扱いは非常に重要な点である。ユーザーが保存した特典情報は、ウェブサイトのサーバーには一切送られず、ユーザー自身のウェブブラウザ(例えばChromeやFirefoxなど)の中にのみ保存される。これは、ユーザーのアカウント作成を不要にし、個人のプライバシーを強力に保護するための意図的な選択だ。特典テキストをAIに送って情報を抽出する場合に限っては、そのテキストが運営者が設定したAIサーバー(Ollamaが動いている場所)に送られる。しかし、AIが返すのはあくまで「ドラフト」であり、最終的にその情報を保存するかどうか、あるいはどのように修正するかは、常にユーザー自身が決定する。このプロセスにおいて、Slowdayは第三者の分析ツールやフォント、追跡リクエストなどを一切使用しないため、ユーザーは安心して利用できる。
Slowdayが「オープンウェイトAI」を利用している点も注目に値する。これは、AIモデルの内部構造が公開されており、開発者が自分の管理するサーバーやインフラストラクチャ上でそのAIを動かせることを意味する。このアプローチにより、特定のAIプロバイダーに依存することなく、データ処理が行われる場所を自分でコントロールできる柔軟性が生まれる。例えば、AIモデルを変更したり、処理のプライバシーレベルを調整したりすることが容易になる。また、自分でAIをホスティング(自己ホスティング)することで、AIサービスプロバイダーにリクエストごとに料金を支払う必要がなく、コストをコントロールしやすいというメリットがある。しかし、自己ホスティングにもサーバーの維持費や計算能力のためのコストが発生することは理解しておく必要がある。AIはあくまでユーザーの作業をサポートするためのツールであり、最終的な情報の保存や管理に関する決定は、常にユーザー自身が握るという開発者の明確な意図が、このシステムの核となっている。
今後のSlowdayの開発では、まず先に述べたOllamaバックエンドとNetlifyフロントエンドの接続を完了させ、AIによる情報抽出機能の本格稼働を目指す。その後は、実際に様々なクーポンやポイントのメールを使って、AIが抽出する情報の精度、特に有効期限や引き換え手順が正確に認識されるかを検証していく計画だ。さらに、ユーザーが本当に便利だと感じるような通知機能や、特典を整理するための機能を検討し、アプリがより多くの人々にとって役立つように改善していくことを目指している。