【ITニュース解説】The Top API Mocking Frameworks of 2025

2025年09月04日に「Dev.to」が公開したITニュース「The Top API Mocking Frameworks of 2025」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

APIモッキングとは、開発中のAPIの代わりとなる「モック(偽物)」を作成する技術。これにより、バックエンドの完成を待たずに開発やテストを進められ、生産性が向上する。記事では用途に応じた最新ツール10選を紹介し、それぞれの特徴や選び方を解説する。

出典: The Top API Mocking Frameworks of 2025 | Dev.to公開日:

ITニュース解説

ソフトウェア開発、特にWebサービスやアプリケーション開発では、画面などの見た目を担当する「フロントエンド」と、データ処理やビジネスロジックを担当する「バックエンド」が連携して動作する。この連携にはAPIという仕組みが使われるが、多くの場合、フロントエンドとバックエンドは別々のチームが並行して開発を進める。このとき問題となるのが、片方の完成を待たなければもう片方の開発が進められないという依存関係だ。例えば、バックエンドのAPIがまだ完成していないと、フロントエンドチームはそのAPIを使って画面の動作を確認することができず、作業が滞ってしまう。このような開発現場の課題を解決する技術が「APIモッキング」である。

APIモッキングとは、開発中の本物のAPIの代わりとして、本物そっくりに振る舞う偽物のAPI、すなわち「モックサーバー」を作成することだ。このモックサーバーは、特定のリクエストに対して、あらかじめ定義されたレスポンスを返すように設定されている。例えば、「ユーザー情報をください」というリクエストが来たら、事前に用意しておいたダミーのユーザー情報を返す。これにより、フロントエンド開発者は、バックエンドのAPIが未完成でも、モックサーバーと通信することで開発を進めることが可能になる。APIモッキングは、開発のスピード、テストの品質、チーム全体の生産性を大きく左右する重要なプラクティスとなっている。

APIモッキングを導入するメリットは多岐にわたる。最大の利点は、開発の並行化によるスピードアップだ。フロントエンドとバックエンドが互いの完成を待つ必要がなくなり、プロジェクト全体の遅延リスクを減らすことができる。また、テスト品質の向上にも大きく貢献する。実際のAPIでは意図的に発生させることが難しいエラー状況、例えばサーバーがダウンした際の「500エラー」や、アクセスが集中して応答が遅くなる状況などを、モックサーバーなら簡単にシミュレートできる。これにより、予期せぬ事態に備えた堅牢なアプリケーションを構築できる。さらに、外部の企業が提供するAPIを利用する場合、そのAPIが不安定だったり、利用回数に制限があったり、利用料金が高額だったりすることがあるが、モックを使えばこれらの制約を気にすることなく、何度でも自由にテストを実行できる。

APIモッキングを実践するためには、そのためのツールである「APIモッキングフレームワーク」を利用するのが一般的だ。しかし、ツールには様々な種類があり、チームの状況や目的に合わせて最適なものを選ぶ必要がある。選定の際にはいくつかの重要な基準がある。まず、単純な応答だけでなく、ユーザーのログイン状態やショッピングカートの中身のように、一連の操作によって状態が変化する複雑なシナリオを再現できるかどうかが重要だ。次に、開発者にとっての使いやすさも欠かせない。導入が簡単で直感的に使えるツールは、チームに浸透しやすく、生産性の向上に直結する。チームでの共同作業を円滑にするためには、作成したモックの設定を簡単に共有し、バージョン管理できる機能も必要だ。また、現代のシステムは一般的なREST APIだけでなく、GraphQLやgRPCといった多様な通信プロトコルを利用するため、ツールがそれらに対応しているかも確認すべき点である。無料で自由に使えるオープンソースか、手厚いサポートが受けられる商用のSaaSかという選択も、プロジェクトの予算や方針によって変わってくる。そして、問題が発生した際に頼りになるコミュニティの活発さや、セキュリティ要件を満たしているかも、特に企業での利用においては重要な判断材料となる。

現在、市場には多種多様なAPIモッキングフレームワークが存在し、それぞれに独自の特徴がある。例えば、Postmanは多くの開発者が利用するAPIクライアントツールであり、その機能の一部として手軽にモックサーバーを作成できるため、導入のハードルが低い。Mockoonはオフラインで動作するデスクトップアプリケーションで、インターネット環境がない場所でも作業できるのが強みだ。GUI操作で直感的にモックを作成したい、あるいはプログラミング経験のないメンバーも利用する場面では、MockAPIのようなノーコードツールが適している。一方で、Javaを中心とした開発環境では、テストコード内にAPIの振る舞いを直接記述できるWireMockが強力な選択肢となる。より現実に近い挙動を再現したい場合は、実際のAPIとの通信を一度記録し、それを再生する機能を持つHoverflyのようなプロキシ型ツールが有効だ。そして、Zuploのように、プログラムコードで直接モックのロジックを記述することで、非常に複雑で動的な振る舞いを実現できるツールもあり、より高度な要求に応えることができる。これらのツールは、無料のものから企業向けの高機能なものまで様々で、それぞれの長所と短所を理解することが重要である。

最終的にどのフレームワークを選ぶべきかは、プロジェクトの規模、チームの技術スキル、開発しているアプリケーションの特性、そして予算によって決まる。あるチームにとってはGUIベースの簡単なツールが最適解かもしれないし、別のチームにとってはコードで細かく制御できる高機能なツールが必要になるかもしれない。重要なのは、APIモッキングという手法を理解し、その価値を最大限に引き出せるツールを賢く選択することだ。適切にAPIモッキングを活用すれば、開発チームは依存関係の壁を乗り越え、より迅速かつ高品質なソフトウェア開発を実現することができるだろう。

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