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UMTS(ユーエムティーエス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

UMTS(ユーエムティーエス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ユニバーサル移動通信システム (ユニバーサルイドウツウシンシステム)

英語表記

UMTS (ユーエムティーエス)

用語解説

UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)は、第3世代移動通信システム(3G)の一つであり、今日のスマートフォンや高速インターネットの基盤を築いた重要な技術である。このシステムは、それまでの第2世代(2G)システムであるGSM(Global System for Mobile Communications)やGPRS(General Packet Radio Service)と比較して、はるかに高速なデータ通信と、多様なマルチメディアサービスを提供する目的で開発された。GSMが主に音声通話と低速データ通信を目的としていたのに対し、UMTSは動画ストリーミング、高速Webブラウジング、ビデオ通話といった、よりリッチなモバイル体験を可能にするために設計された。ITU(国際電気通信連合)が定めたIMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)規格群の一つとして国際的に標準化され、2000年代初頭から世界中で導入が進められた。UMTSの導入により、携帯電話は単なる通話・メールの道具から、いつでもどこでもインターネットに接続できるパーソナルデバイスへと大きく進化する転換点となった。

UMTSの核心技術はW-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)である。これは、複数のユーザーが同時に同じ周波数帯域を利用できるようにする無線アクセス技術であり、各ユーザーの信号に異なる「符号(コード)」を割り当てることで分離・識別を可能にする。この方式の利点は、従来のTDMA(時分割多重アクセス)やFDMA(周波数分割多重アクセス)と比較して、スペクトル効率が高いこと、つまり限られた周波数資源をより多くのユーザーで効率的に共有できる点にある。W-CDMAは、広帯域(通常5MHz幅)の電波を利用し、より安定した高速データ通信を実現する。UMTSネットワークは、大きく分けてユーザーが使用する端末であるUE(User Equipment)、無線アクセスネットワークであるUTRAN(UMTS Terrestrial Radio Access Network)、そしてその中核となるコアネットワーク(CN)の三つの要素で構成される。

UTRANは、Node B(基地局)とRNC(Radio Network Controller)からなる。Node Bはユーザーの携帯電話と無線で直接通信を行い、電波の送受信を担う。Node Bは基本的に無線インターフェースの管理に特化しており、より高度な制御はRNCに集約される。一方、RNCは複数のNode Bを制御し、無線リソースの管理、モビリティ管理(移動中のユーザーの接続維持)、ハンドオーバー(基地局間での接続切り替え)の処理など、無線区間における重要な役割を果たす。例えば、ユーザーが移動して現在の基地局のサービスエリアから外れそうになった際、RNCが最適な次の基地局への接続をスムーズに切り替えることで、通信が途切れることなく継続される。この機能は、移動体通信サービスの品質を維持するために不可欠である。

コアネットワークは、UTRANから受け取ったデータを処理し、外部ネットワークへと接続する役割を担う。UMTSのコアネットワークは、既存のGSM/GPRSのコアネットワークを拡張したものであり、大きく二つの部分に分けられる。一つは、MSC(Mobile Switching Centre)が中心となる回線交換(CS: Circuit Switched)ドメインで、主に音声通話やSMS(ショートメッセージサービス)といったリアルタイム性の高いサービスを提供する。MSCは、電話番号に基づいて通話相手を識別し、音声データが確実に届けられるよう、通話経路を確立・維持する。もう一つは、SGSN(Serving GPRS Support Node)とGGSN(Gateway GPRS Support Node)が中心となるパケット交換(PS: Packet Switched)ドメインで、インターネット接続やデータ通信など、データをパケット単位で送受信するサービスを担当する。SGSNはユーザーのパケットデータに関するモビリティ管理や認証を行い、GGSNはSGSNから受け取ったパケットデータを外部のIPネットワーク(インターネットなど)へと転送するゲートウェイとしての役割を果たす。このパケット交換ドメインの強化により、UMTSは常時接続のモバイルインターネットを現実のものとした。

UMTSの登場当初は、下り最大2Mbps程度の速度であったが、その後、HSPA(High Speed Packet Access)と呼ばれる技術によって大幅な高速化が図られた。HSPAには、下りリンク(基地局から端末へ)の高速化を実現するHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)と、上りリンク(端末から基地局へ)の高速化を実現するHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)が含まれる。HSDPAは、新しい変調方式や高速スケジューリングなどの技術を導入することで、理論値で最大14Mbps、さらに改良版のHSPA+では数十Mbpsもの速度を達成した。これにより、モバイル環境での動画ストリーミング、大容量ファイルのダウンロード、高画質写真の共有などが格段に快適になった。HSUPAは、上り方向のデータ転送速度を向上させ、動画アップロードやVoIP(Voice over IP)通話の品質向上に貢献した。HSPAの導入は、3Gサービスの性能を飛躍的に向上させ、スマートフォンが提供するリッチなアプリケーションやサービスの基盤を固めた。

UMTSは、2000年代のモバイル通信の主役となり、世界中の通信事業者がこぞって導入した。これにより、モバイルインターネットの普及に大きく貢献し、スマートフォン時代の幕開けを強力に後押しした。その技術的成果は、その後の第4世代移動通信システム(4G)であるLTE(Long Term Evolution)へと引き継がれていく。LTEはUMTSの無線アクセス技術とは異なるOFDMA(直交周波数分割多重アクセス)を採用しているものの、コアネットワークのアーキテクチャやサービス提供の概念など、多くの点でUMTSの設計思想や機能が継承されている。例えば、パケット交換を主体としたデータ通信の仕組みや、QoS(Quality of Service)の概念などは、UMTSで培われたものがLTEにも反映されている。UMTSは現在、多くの国で4Gや5Gへの移行が進む中で、徐々にその役割を終えつつあるが、今日の高速モバイルインターネットの発展において不可欠な土台を築いた重要な技術であることに変わりはない。その歴史的意義と技術的貢献は、システムエンジニアを目指す者にとって理解しておくべき基盤知識の一つと言えるだろう。

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