【ITニュース解説】Migrating from Kubernetes Ingress to Gateway API: A Step-by-Step Guide
2025年09月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「Migrating from Kubernetes Ingress to Gateway API: A Step-by-Step Guide」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Kubernetesの外部アクセス管理が、従来のIngressから新標準のGateway APIへ移行している。Gateway APIはIngressの課題を解決し、より高機能で柔軟なトラフィック制御を実現。安全な移行には、段階的な導入計画や並行稼働が重要となる。(119文字)
ITニュース解説
Webサービスを安定して動かすための基盤技術として広く利用されているKubernetesには、システム内部のサービスを外部のインターネットに公開するための重要な仕組みがある。これまでその役割を担ってきたのが「Ingress」と呼ばれる機能だ。Ingressは、外部からのHTTPやHTTPSのリクエストを受け取り、それをクラスター内部の適切なサービスに振り分ける、いわばシステムの「玄関口」や「受付係」のような存在であった。長年にわたり標準的な方法として機能してきたが、システムの複雑化に伴い、いくつかの課題が明らかになってきた。例えば、Ingressの設定方法は利用するツールによって微妙に異なり一貫性がなかったり、より高度な通信制御、例えばトラフィックの一部を新バージョンのサービスにだけ流すといった細かい設定が標準機能だけでは難しかったりする点が挙げられる。
これらの課題を解決するために、Kubernetesコミュニティは次世代の標準として「Gateway API」を開発した。Gateway APIは、Ingressが持っていた基本的な機能を引き継ぎつつ、より表現力豊かで柔軟な設定を可能にする新しい仕組みである。最大の特徴は、役割に基づいた設計が採用されている点だ。従来は一つのIngress設定ファイルに様々な役割の設定が混在しがちだったが、Gateway APIではインフラを管理するチームとアプリケーションを開発するチームの責任範囲を明確に分離できる。具体的には、インフラチームがクラスター全体の玄関口となる「Gateway」リソースを管理し、どのポートを開放するか、どのドメイン名の通信を受け付けるか、SSL/TLS証明書をどう適用するかといった共通基盤部分を設定する。一方、アプリケーション開発チームは、自分たちのサービスへの具体的なアクセスルールを定義する「HTTPRoute」などの「Route」リソースを管理する。これにより、開発者はインフラの詳細を意識することなく、自身のアプリケーションに必要なルーティング設定に集中でき、セキュリティと運用効率が向上する。
IngressからGateway APIへの移行は、単なるツールの置き換え以上の意味を持つ。しかし、移行にはいくつかの注意点も存在する。まず、Gateway APIは仕様であり、その仕様を実装した「コントローラー」と呼ばれるソフトウェアが別途必要になる。すべてのIngressコントローラーがGateway APIに完全対応しているわけではないため、現在使用しているツールが対応しているかを確認し、場合によっては新しいコントローラーを選定する必要がある。また、Gateway APIは新しい概念やリソースを導入するため、エンジニアチームはこれらの学習に時間を要する。移行期間中は、安定性を確保するために古いIngressと新しいGateway APIを並行稼働させる必要があり、一時的に設定の複雑さやリソース消費が増加することも考慮しなければならない。
移行を成功させるための戦略は、段階的に進めることが推奨される。最初に、本番環境に影響を与えない重要度の低いサービスから移行を試みる。これにより、チームは新しいワークフローに慣れ、潜在的な問題点を洗い出すことができる。設定ファイルはGitなどのバージョン管理システムで管理し、変更履歴の追跡や問題発生時の迅速なロールバックを可能にするGitOpsの手法を取り入れるのが望ましい。移行プロセスは、まず既存のIngress設定をすべて洗い出し、どの設定がGateway APIのどのリソースに対応するのかをマッピングすることから始まる。例えば、IngressリソースはGatewayとHTTPRouteリソースの組み合わせに置き換えられる。次に、テスト環境でGateway APIの各種リソースをデプロイし、ルーティングやSSL/TLS終端が正しく機能することを検証する。検証が完了したら、本番環境でIngressとGateway APIを並行稼働させ、テスト用のドメイン名を使って最終確認を行う。これまでIngressでは「アノテーション」という補足情報で実現していたパスの書き換えやトラフィックの重み付けといった高度な設定も、Gateway APIでは標準のフィールドとして定義されているため、これらに合わせて設定を書き換える。すべてのテストが完了し、動作に問題がないことを確認できたら、DNSの向き先を新しいGatewayのIPアドレスに変更し、本番トラフィックを完全に切り替える。最終的に、不要となった古いIngressリソースとコントローラーを削除することで移行は完了する。
Gateway APIは現在も進化を続けており、今後も新しい機能が標準化されていく予定だ。この新しい仕組みへ移行することは、Kubernetes上でアプリケーションを運用する基盤をより堅牢で、柔軟かつ将来性のあるものにすることに繋がる。段階的なアプローチと十分な検証を通じて、よりモダンなネットワーク管理の実現を目指すことが重要である。