【ITニュース解説】How to Self-Host n8n on AWS EC2 with Docker (Step-by-Step)?
2025年09月12日に「Dev.to」が公開したITニュース「How to Self-Host n8n on AWS EC2 with Docker (Step-by-Step)?」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AWS EC2でDockerを使い自動化ツールn8nをセルフホストする手順を解説。EC2の柔軟性を活かし、DockerとDocker Composeでn8nを構築する。HTTPS設定や環境変数、データ永続化の注意点も示し、初心者でも安全に独自の自動化サーバーを運用する方法を示す。
ITニュース解説
IT分野を学ぶ初心者にとって、自分だけの自動化サーバーをクラウド上に構築する経験は、実践的なスキル習得に非常に役立つ。ここでは、オープンソースの自動化ツール「n8n」を、Amazonが提供するクラウドサービス「AWS EC2」上で、「Docker」というコンテナ技術を使って自分で運用する(セルフホストする)方法を解説する。これは、外部の自動化サービスに頼ることなく、コスト効率よく柔軟な自動化環境を構築するための具体的な道筋を示すものだ。
n8nは、様々なアプリケーションやウェブサービス間の連携を自動化するツールである。例えば、ある特定のイベントが発生した際に、自動的に別のサービスへデータを転送したり、通知を送ったりといった一連の処理を、プログラミング知識が少なくても視覚的に設計できる。これを自分専用のサーバーで動かすことで、データのプライバシー管理を強化し、利用制限を気にせず自由に自動化ワークフローを実行できるようになる。
ホスティング先として選ばれる「AWS EC2」は、「Elastic Compute Cloud」の略で、Amazon Web Services(AWS)が提供する仮想サーバーサービスだ。物理サーバーを用意することなく、必要なスペックの仮想サーバーを迅速に利用開始できる。EC2の大きな特徴は、オペレーティングシステム、ストレージ、ネットワーク設定など、サーバーのほぼすべてをユーザーが自由にコントロールできる点にある。また、利用状況に応じてサーバーの処理能力を柔軟に増減(スケーリング)できるため、将来的な機能拡張や負荷変動にも対応しやすい。さらに、他のAWSサービスとの連携も容易であり、システム全体の構築において高い柔軟性を提供する。n8nのようなアプリケーションは「Docker」という技術で効率的に動作するため、EC2はそのDockerコンテナを実行するのに非常に適した環境だと言える。
「Docker」とは、アプリケーションとその実行に必要なすべての要素(コード、ランタイム、システムツール、ライブラリ、設定など)をまとめて「コンテナ」と呼ばれる独立したパッケージに隔離し、どこでも同じように動作させるための技術である。これにより、開発環境と本番環境での動作の差異による問題を減らし、デプロイメントを簡素化できる。
n8nをEC2上でセルフホストする具体的な手順は、いくつかのステップに分けられる。
最初のステップは、AWS上でEC2インスタンスを起動することだ。これは仮想サーバーの実体であり、オペレーティングシステムには「Ubuntu 22.04 LTS」という安定版のLinuxディストリビューションを選ぶのが一般的だ。テスト目的であれば、「t3.micro」のような比較的低コストなインスタンスタイプでも十分対応可能である。
インスタンスを起動したら、次に「セキュリティグループ」の設定が不可欠だ。これはサーバーへのアクセスを制御する仮想ファイアウォールのようなもので、特定のポートからの通信だけを許可することで、サーバーの安全を保つ。具体的には、サーバーにリモートでログインするための「SSH」(ポート22)、ウェブサイトを閲覧するための「HTTP」(ポート80)、そして暗号化された安全なウェブ通信を行うための「HTTPS」(ポート443)のポートを開放する必要がある。もし、一時的にSSL/HTTPSを使わずにn8nをテストしたい場合は、n8nがデフォルトで使用するポート「5678」を直接開くこともできるが、これはデータが暗号化されないため、本番環境での利用はセキュリティ上推奨されない。
セキュリティグループを設定したら、SSHでEC2インスタンスに接続し、Dockerと「Docker Compose」をインストールする。Docker Composeは、複数のDockerコンテナで構成されるアプリケーションを、単一のYAMLファイル(docker-compose.yml)で定義し、一括で管理・実行するためのツールだ。これにより、n8n本体と、必要であればリバースプロキシなどの関連サービスを効率的にデプロイできる。具体的なインストールコマンドは、システムを更新するsudo apt update && sudo apt upgrade -yと、DockerとDocker Composeをインストールするsudo apt install docker.io docker-compose -yである。
DockerとDocker Composeの準備が整ったら、n8nをDocker Composeを使って設定し起動する。docker-compose.ymlファイルを作成し、n8nコンテナの起動設定を記述する。この設定では、n8nがコンテナ内で利用するポート5678を、EC2インスタンスの外部ポートにマッピングする。セキュリティと使いやすさを向上させるためには、「Nginx」や「Caddy」といったリバースプロキシサーバーを導入し、これらを介して外部からのアクセスを受け付けるようにするのが一般的だ。これにより、ドメイン名を使ってアクセスできるようになり、HTTPS接続も容易になる。
HTTPSによる通信の安全確保は非常に重要だ。ウェブサイトとユーザー間のデータ交換が暗号化されることで、情報漏洩やデータ改ざんのリスクを軽減できる。このためには、まず取得した独自ドメインを、EC2インスタンスに割り当てた固定グローバルIPアドレスである「Elastic IP」に紐付ける必要がある。その後、「Let's Encrypt」という無料のSSL証明書発行サービスと、「Certbot」またはCaddyのような自動化ツールを利用して、SSL証明書を生成し、ウェブサーバーに設定する。
さらに、n8nの安定した動作に必要な「環境変数」を設定する。これらは、n8nがどのドメインで動作するのか、HTTPSを使用するかどうか、WebhookのURLは何か、そして機密データを暗号化するためのキーは何か、といった重要な情報を提供する設定だ。例えば、N8N_HOST=n8n.example.com、N8N_PROTOCOL=https、WEBHOOK_URL=https://n8n.example.com/、N8N_ENCRYPTION_KEY=$(openssl rand -base64 24)のように設定ファイルに記述する。特にN8N_ENCRYPTION_KEYは、n8nが管理する認証情報などの機密データを保護するために不可欠であり、安全なランダム文字列を生成して設定する必要がある。これらの環境変数を変更した後は、Docker Composeを再起動して設定を適用することが求められる。
このセルフホストの過程では、いくつかの一般的な問題に直面することがある。これらのトラブルシューティングの経験は、初心者にとって貴重な学びとなる。
よくある問題の一つは、ウェブブラウザでn8nにアクセスした際に「サイトが安全ではありません」という警告が表示されるケースだ。これは、SSL証明書が適切に設定されておらず、HTTPSが有効になっていないために発生する。先に述べたLet's EncryptやCaddyを使ってHTTPSを有効にすることでこの問題は解決する。
また、n8nのDockerコンテナが繰り返し起動と停止を繰り返す、つまり「再起動ループ」に陥る場合がある。この状況では、docker-compose.ymlファイルや、環境変数を定義する.envファイルに設定ミスや必須キーの不足がないかを確認することが重要だ。特にN8N_ENCRYPTION_KEYのようにn8nの正常な起動に不可欠な環境変数が未設定だと、コンテナは安定して動作できない。
EC2インスタンスへのSSH接続ができないという問題もよく発生する。この場合、まず接続に使用するユーザー名が正しいかを確認する。Ubuntuベースのインスタンスでは通常ubuntuユーザーを使用する。次に、SSH接続時に指定するキーペア(秘密鍵ファイル)が正しく設定されており、そのパーミッション(ファイルアクセス権限)が適切かを確認する必要がある。さらに、セキュリティグループ設定でポート22(SSH)からのインバウンド通信が許可されているかどうかも、接続成功の重要な条件となる。
最後に、サーバーを再起動した後、n8nで作成した自動化ワークフローが失われてしまうという事象がある。これは、n8nがデフォルトで内部のSQLiteデータベースを使用してデータを保存しており、Dockerコンテナが停止・削除されると、そのデータが失われる可能性があるためだ。この問題を防ぐには、Dockerの「ボリューム」機能を利用し、n8nがデータを保存するディレクトリをEC2インスタンスの永続的なストレージ領域にマウントすることが必要だ。これにより、コンテナが再起動してもデータは保持される。より堅牢なデータ管理を求める場合は、SQLiteではなく「PostgreSQL」のような外部のデータベースサービスにn8nを接続することで、データの永続性と可用性をさらに高めることができる。
これらの手順と潜在的な問題への対処法を理解し、実際に手を動かして経験することで、クラウドインフラ、コンテナ技術、そしてアプリケーションのデプロイと運用という、現代のシステムエンジニアにとって不可欠な幅広い知識とスキルを身につけることができるだろう。セルフホストは確かに手間がかかる部分もあるが、その過程で得られる深い理解と実践的な能力は計り知れない価値がある。