多バイト文字 (タバイトモジ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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多バイト文字 (タバイトモジ) の読み方

日本語表記

マルチバイト文字 (マルチバイトモジ)

英語表記

Multi-byte character (マルチバイトキャラクター)

多バイト文字 (タバイトモジ) の意味や用語解説

コンピュータが内部で情報を処理する際、文字も数字も画像も全て0と1のビット列として扱われる。この情報の基本単位がバイトであり、1バイトは8ビットで構成され、2の8乗である256通りの数値を表現できる。コンピュータの歴史の初期段階では、この1バイトに1つの文字を割り当てる方式が主流であった。例えば、アルファベット、数字、記号などを収録したASCIIコードがその代表例であり、7ビット(128文字)で基本的な文字を網羅していた。このように1バイトで1文字を表現する文字をシングルバイト文字と呼ぶ。しかし、この方式では英語圏の文字は扱えても、日本語のひらがな、カタカナ、そして数万字にも及ぶ漢字など、256種類をはるかに超える文字を表現することは不可能であった。この問題を解決するために考案されたのが、2バイト以上の複数のバイトを組み合わせて1つの文字を表現する「多バイト文字」である。多バイト文字の登場により、コンピュータは日本語をはじめとする世界中の多様な言語を扱えるようになった。 多バイト文字を理解する上で重要な概念が「文字エンコーディング(文字符号化方式)」である。これは、どのバイトの組み合わせがどの文字に対応するのかを定めた具体的なルールの集合体を指す。同じ多バイト文字を扱うエンコーディングでも、そのルールは一つではない。日本で歴史的に広く使われてきた代表的な文字エンコーディングにはShift_JISやEUC-JPがある。Shift_JISは、ASCII文字などのシングルバイト文字と、漢字やひらがななどの2バイトで表現される文字を混在させることができる。特定のバイト値の範囲をキーとして、続くバイトが単体の文字なのか、あるいは2バイト文字の一部なのかを判断する仕組みを持つ。一方、EUC-JPは主にUNIX系のシステムで利用されてきたエンコーディングであり、Shift_JISとは異なるルールで多バイト文字を扱う。これらのエンコーディングは日本語を扱う上では十分な機能を持っていたが、それぞれが独自のルールで文字を表現していたため、異なるシステム間でデータを交換する際に問題が生じることがあった。 現代のシステム開発において最も標準的に利用されているのが、Unicodeという文字コード体系に基づいたUTF-8という文字エンコーディングである。Unicodeは、世界中のあらゆる文字に一意の番号(コードポイント)を割り当てることを目的とした国際的な規格である。UTF-8は、そのUnicodeのコードポイントを実際のバイト列に変換するためのルールの一つであり、最大の特徴は「可変長」であることだ。つまり、文字によって使用するバイト数が1バイトから4バイト(あるいはそれ以上)まで変化する。例えば、ASCIIコードに含まれるアルファベットや数字は、互換性を維持するために1バイトで表現される。一方で、日本語のひらがなやカタカナ、一般的な漢字の多くは3バイトで表現される。この可変長の仕組みにより、英語のテキストはファイルサイズを小さく抑えつつ、日本語や中国語、アラビア語など、世界中の言語を一つのエンコーディングで統一的に扱うことが可能となり、グローバルなアプリケーション開発における標準的な地位を確立した。 システムエンジニアが多バイト文字を扱う上で最も注意すべき現象が「文字化け」である。これは、ファイルを保存した際の文字エンコーディングと、そのファイルを読み込んで表示する際の文字エンコーディングが一致しないために発生する。例えば、Shift_JISで「あ」という文字を保存した場合、特定の2バイトの組み合わせでデータが記録される。しかし、このデータをUTF-8として解釈しようとすると、UTF-8のルールではその2バイトの組み合わせが予期せぬ文字や記号に対応してしまうため、正しく表示されずに意味不明な文字列となって現れる。これが文字化けの基本的な原理である。この問題を避けるためには、データベース、アプリケーション、ファイルなど、システム全体で扱う文字エンコーディングを統一することが極めて重要となる。また、プログラミングにおいても、多バイト文字は特別な注意を要する。例えば、文字列の長さを数える際に、単純にバイト数をカウントする関数を使うと、意図した文字数とは異なる結果が得られる。これは、1文字が2バイトや3バイトで構成されているためである。「あいう」という3文字の文字列は、UTF-8では9バイトとなる。そのため、各プログラミング言語には、多バイト文字を正しく1文字としてカウントするための専用の関数が用意されており、これらを適切に使い分ける知識が求められる。

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