【ITニュース解説】My 49-Year Journey: From a 1976 IBM 5100 to Building an AI-Powered BASIC
2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「My 49-Year Journey: From a 1976 IBM 5100 to Building an AI-Powered BASIC」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
49年の経験を持つ開発者が、古典的なBASIC言語を現代的に進化させた新言語「jdBasic」を公開。AIを相棒に開発され、言語自体にAIエンジンや2Dゲームエンジンを内蔵。初心者でもAIやゲーム開発の基礎を学べる設計が特徴だ。(118文字)
ITニュース解説
プログラミングの世界に、ベテラン開発者の約半世紀にわたる経験と最新のAI技術が融合した、新しいプログラミング言語「jdBasic」が登場した。この言語は、1976年にIBM製のコンピューターでプログラミングを始めた開発者が、「かつて多くの初心者が学んだBASIC言語が、もし現代まで進化を続けていたらどうなっていただろうか」という着想から生み出したものである。開発にはGoogleのGeminiやChatGPTといった生成AIが活用され、パートナーとして協力することで、わずか2ヶ月という短期間で完成に至った。jdBasicは、過去の言語が持つシンプルさと、現代的なプログラミングの考え方やAI技術を併せ持つ、ユニークな特徴を備えている。
jdBasicの根幹にあるのは、かつて教育用言語として普及したBASICの手軽さだ。コードを書いてすぐに実行できるインタープリタ方式を採用しており、プログラミング初学者がつまずきがちな複雑な環境設定を必要とせず、手軽に学習を始められる。しかし、その内部には現代のプログラミングに不可欠な強力な機能が数多く実装されている。
その一つが、APLという言語から着想を得た「配列プログラミング」である。通常のプログラミングでは、複数のデータ、例えば「1, 2, 3, 4, 5」という数値の集まり(配列)に対して同じ処理を行う場合、「FORループ」と呼ばれる繰り返し処理を記述するのが一般的だ。しかしjdBasicでは、配列全体を一つの塊として扱えるため、ループ処理を記述することなく、たった一行で配列内の全ての数値を2倍にしたり、別の配列と足し合わせたりといった計算が可能になる。これにより、コードが非常にシンプルになり、データ処理の本質に集中できる。
また、現代的なソフトウェア開発で重視される「関数型プログラミング」の要素も取り入れられている。これは、処理を小さな部品(関数)として定義し、それらをパイプラインのようにつなぎ合わせて全体の処理を構築していく考え方だ。例えば、「1から10までの数値を生成し、その中から5より大きいものだけを絞り込み、最後に残った数値をそれぞれ10倍する」といった一連の処理を、データを右から左へ流すように、一つの連続した流れとして記述できる。これにより、処理の流れが直感的に理解しやすくなり、見通しの良いコードを書くことが可能になる。
さらに、大規模なソフトウェア開発で標準となっている「オブジェクト指向」の考え方もサポートされている。これは、データとそのデータを操作するための手続きを一つのまとまり(オブジェクト)として扱う設計手法だ。例えば、ゲームのキャラクターを開発する際に、「プレイヤー」という設計図を定義し、その中に「体力」や「名前」といったデータと、「ダメージを受ける」といった行動をまとめて管理できる。これにより、複雑なプログラムを整理し、再利用しやすく、メンテナンス性の高い構造で構築することができる。
jdBasicの特に際立った特徴は、言語自体に2DゲームエンジンとAI開発エンジンが組み込まれている点である。通常、ゲーム開発を行うにはUnityやUnreal Engineといった専門の開発環境が必要となるが、jdBasicでは言語の標準機能として、キャラクターの表示やアニメーション、背景となるタイルマップの読み込み、物体同士の衝突判定といった、2Dゲーム制作の基本的な機能が全て用意されている。これにより、外部ツールに頼ることなく、jdBasicだけで手軽にレトロスタイルのゲームを開発し、プログラミングの応用を体験できる。
そして最も革新的なのが、統合されたAIエンジンである。現代のAI開発、特に深層学習(ディープラーニング)ではPythonという言語と専門的なライブラリを使うのが主流だが、環境構築や学習の難易度が高いという側面があった。jdBasicは、この壁を取り払うことを目指している。言語に「Tensor」というAIの計算で使われる特殊なデータ構造が組み込まれており、ニューラルネットワークの構築から学習までを、Pythonや外部ライブラリなしで直接実行できる。AIが学習する過程で必要となる「自動微分」という複雑な数学的計算も、言語が自動的に処理してくれるため、利用者はAIモデルの構造そのものに集中して学習を進めることが可能だ。
このようにjdBasicは、プログラミング教育の教材、個人でのゲーム開発ツール、そしてAIの仕組みを学ぶための入門環境として、幅広い層に価値を提供する可能性を秘めている。ベテラン開発者の長年の知見と、AIという最先端技術が融合して生まれたこの言語は、プログラミングの歴史と未来が交差する点にあり、システムエンジニアを目指す者にとって、プログラミングの多様な側面と尽きない面白さを教えてくれる存在となるだろう。