【ITニュース解説】Airlines, Banks, and Retailers Turn Away AI Agents: The Web Is Closing Its Gates
2026年10月20日に「Dev.to」が公開したITニュース「Airlines, Banks, and Retailers Turn Away AI Agents: The Web Is Closing Its Gates」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AIエージェントがWebサービス利用を約束するも、航空会社や銀行などがアクセスをブロックしている。これは企業の意図的な拒否に加え、スパム対策など既存のセキュリティ設定が原因の場合もある。人間向けに設計されたWebでAIエージェントを安全に使うには、Metaなどが提唱する「承認」の基準となるオープン標準の確立が重要となる。
ITニュース解説
最近、AIエージェントと呼ばれる新しい技術が注目を集めている。これは、私たちの代わりにウェブサイトを操作し、フライトの予約や買い物の注文など、さまざまなタスクを自動でこなしてくれるソフトウェアのことだ。まるで賢い秘書がウェブ上で働いてくれるようなイメージで、非常に便利な未来が期待されていた。しかし、現状では多くのウェブサイトがこのAIエージェントを歓迎しておらず、その門を閉じ始めているというニュースが報じられた。
具体的にどのような場所でAIエージェントがブロックされているのか見ていこう。例えば、レストラン予約サービスのYelpは、特定の有料契約を結んだAIエージェントしか受け入れない方針を示している。契約がないエージェントが予約や順番待ちを試みても失敗してしまう。航空業界も同様で、デルタ航空は第三者のAIエージェントが顧客に代わって航空券を購入したり予約したりすることを許可していない。ユナイテッド航空は、利用規約でロボットや自動化されたデバイスの使用を禁止していることを理由に挙げている。
金融機関もセキュリティ上の懸念からAIエージェントへのアクセスを制限している。JPモルガン・チェースやチャールズ・シュワブといった大手金融機関は、AIエージェントが顧客のアカウントにアクセスするのをブロックしているようだ。他にも、eBayや不動産サイトのZillow、ピザハット、アディダスなど、さまざまなサービスでAIエージェントがブロックされたという報告が相次いでいる。中にはeBayでAIエージェントを利用したためにアカウントが停止されたという事例もあり、その影響は大きい。以前はAIエージェントで利用可能だったとされるCars.comやアメリカの鉄道予約サービスAmtrakでも、現在は利用できなくなっているという声も聞かれる。
なぜこのようなブロックが起きているのか、その理由は大きく二つに分けられる。一つは、企業が意図的にAIエージェントのアクセスを制限するケースだ。これは、セキュリティ上の懸念や、自社のビジネスモデル(例えば広告収入)への影響を考慮しての判断である。しかし、もう一つ、そしてより複雑な問題として、企業が意図しないブロックも多発している。例えば、ウォルマートはMetaが主導するAIエージェント「Muse」との公式提携を発表しているにもかかわらず、Museを通じて買い物をしようとしたユーザーがブロックされる事例が報告された。これは、スパムやボットを排除するために設置された人間認証ボタンが原因で、AIエージェントがその認証を通過できなかったためだとウォルマートは説明している。Zillowも同様で、ボットによる情報収集(スクレイピング)を防ぐための対策が、誤って合法的なAIエージェントをブロックしてしまったと述べている。この問題の厄介な点は、ユーザーからすると、企業が意図的にブロックしているのか、それとも既存のセキュリティ対策が偶発的に影響しているのか区別がつかないことだ。どちらの場合も、結果としてAIエージェントは機能しない。
このブロックの規模を拡大させている要因の一つに、Cloudflareという大手ウェブインフラ提供企業の動きがある。Cloudflareは2026年9月にデフォルト設定を変更し、検索エンジンのインデックス作成とAIの学習の両方に利用される「混合型クローラー」をデフォルトでブロックするようになった。これにより、セキュリティ上の理由でAIボットをすでにブロックしていた多くのサイトで、AIエージェントも意図せずブロックされる範囲が広がってしまった。サイト運営者自身がAIエージェントをブロックする選択をしたわけではないのに、Cloudflareの設定変更によって実質的にそのアクセスが制限された形だ。興味深いのは、Cloudflare自身がAIエージェント向けの専用ウェブブラウザをテストしたり、AIボットのデータアクセスに関する有料マーケットプレイスを運営したりしている点だ。つまり、彼らは一方でAIエージェントをブロックする役割を担いながら、もう一方でAIエージェントのための道を開こうとしている、という二面性を持っている。
このような状況は、すでに法的な争いにも発展している。Amazonは、ユーザーの許可を得てAmazonにログインし、代わりに買い物をしてくれるPerplexity社のAIショッピングエージェント「Comet」を、コンピュータ詐欺および乱用防止法(CFAA)に違反するとして訴訟を起こした。一度はAmazon側の主張が認められ、仮差し止め命令が出たものの、控訴審では「ユーザー自身がAmazonのシステムにアクセスしている」という理由で覆された。訴訟はまだ続いているが、この判決はAIエージェントに関する一般的な法的原則を確立するものではないと明言されている。Amazonは他にも、Museがサービス開始からわずか12日後に自社サイトでの閲覧や購入をブロックし、利用規約違反を主張している。Amazonはこれらの訴訟や規約を通じてAIエージェントを排除しようとしているが、Perplexity側は、AIエージェントが広告の表示機会を減らすため、Amazonがエージェントを排除したいのだと反論している。
しかし、すべての企業がAIエージェントを排除しようとしているわけではない。Metaは、ウォルマート、Stripe、Sierraなどの企業と協力し、AIエージェントとビジネスシステムが安全にやり取りするためのオープンスタンダードの開発を進めている。Metaは、AIエージェントを拒否することは、その背後にいる顧客を拒否することにつながると説明し、企業が顧客を失うのをただ見ているのではなく、根本的な懸念を解消するために協力したいと考えている。
根本的な問題として、現在のウェブは「人間」が訪問することを前提に設計されているという点がある。例えば、ウェブサイト上の広告は人間の注意を引くことで成立しているし、CAPTCHA(キャプチャ)のような認証システムは、人間とボットを区別するために存在する。利用規約も、人間が理解し、同意する契約として書かれている。AIエージェントは、人間を代表して行動するとはいえ、これらの前提には合致しない。ウェブの仕組みから見れば、AIエージェントは通常のボットと区別がつかないのだ。
eBayは、すべての第三者エージェントを禁止しているわけではなく、許可されていないエージェント、自動スクレイピング、モデルの学習を制限していると述べている。このことから、問題は「それがAIエージェントであるかどうか」から「それが正規のエージェントであるかどうか」へと焦点が移ってきていることがわかる。MuseやDots、InstinctといったAIエージェントのユーザーが日常の買い物や予約でブロックに遭遇するのは、誰が、どのようにしてその「正規の許可」を与えるのか、という仕組みがまだ存在しないためだ。パートナーシップを結んでいるサービスではAIエージェントが機能するが、そうでないサービスでは機能しないという現状がある。今後、ウェブが人間だけでなくAIエージェントもスムーズに利用できるようなものに変わっていくかは、このようなオープンスタンダードがどれだけ早く確立されるかにかかっていると言えるだろう。