【ITニュース解説】A Free Method for OSINT on Public Telegram Channels (No Login Required)
2026年10月10日に「Dev.to」が公開したITニュース「A Free Method for OSINT on Public Telegram Channels (No Login Required)」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Telegram公開チャンネルのOSINTを、ログイン不要・無料で実行する手法を解説。`t.me/s/`プレビューから投稿数やIDを分析し、投稿の変化を追跡する。多言語での情報収集や、ノイズの多い情報から信頼できるものを区別するためのチェックリストの活用が重要だ。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、インターネット上にあふれる情報をどう収集し、分析するかは、技術的なスキルと同じくらい重要な能力となる。特に、公開されている情報から有用なインテリジェンス(知見)を得る「OSINT(Open Source Intelligence)」は、セキュリティ分野だけでなく、マーケティング、社会情勢分析など、幅広い分野で活用されている。今回紹介するニュース記事は、人気メッセージアプリ「Telegram」の公開チャンネルから、ログインせずにOSINTを行う具体的な方法について解説している。
Telegramは、世界中で使われているメッセージアプリで、個人間のやり取りだけでなく、多くの人々が参加する「チャンネル」と呼ばれる公開グループがある。ニュース配信、情報共有、コミュニティ運営など、様々な目的で利用されており、ここには膨大な情報が日々流れている。通常、Telegramの情報を深く分析するには、APIと呼ばれるプログラム連携の仕組みを使ったり、アカウントを作成したりする必要があると思われがちだ。しかし、この記事は、ログインや特別な権限が一切不要で、公開されている情報を効率的に収集・分析する画期的な方法を提案している。
その核心は、Telegramの公開チャンネルが持つ「t.me/s/プレビュー」という機能にある。これは、どんな公開チャンネルにも用意されているウェブページで、https://t.me/s/<チャンネル名>というURLにアクセスすると、そのチャンネルの最新の約20件の投稿が、ごく普通のウェブページ(HTML形式)として表示される。重要なのは、このプレビューページを見るのにログインが不要で、さらにアクセス回数による制限(レートリミット)もほとんどないという点だ。システムエンジニアの視点で見れば、これは「ウェブスクレイピング」という技術を使って、プログラムで情報を自動的に収集できる非常に良いターゲットとなる。HTMLはウェブページを構成する言語であり、プログラムでその構造を解析し、必要な情報を抜き出すことが可能だ。
このプレビューページから得られる情報は多岐にわたる。例えば、記事によると、購読者数が約1000人を超えるチャンネルでは、投稿ごとの閲覧数が表示される。この閲覧数は、その投稿が実際にどれだけの人に見られたかを示すリアルな数字だ。もしあるチャンネルの購読者数が1万2千人もいるのに、個々の投稿の閲覧数がわずか300回程度しかない場合、それは「購読者が水増しされている」、つまり、偽のフォロワーでおおよその数を増やしている可能性が高いと判断できる。このような数値の比較は、情報の信頼性を判断する上で非常に役立つ。また、HTMLの中には data-post="<チャンネル名>/<投稿ID>" のような属性情報が含まれている。この「投稿ID」は基本的に連番で付与されているため、このIDの範囲をプログラム的にたどっていくことで、最新の投稿だけでなく、過去の特定の期間の投稿もサンプリング(抽出)できる。これにより、時間軸に沿った情報の変化を追跡することが可能になる。ただし、ウェブプレビューは最新の約20件しか表示しないため、過去のすべての投稿を網羅的に取得することはできない点には注意が必要だ。これは「全数調査」ではなく、あくまで「標本調査」という考え方になる。
次に、記事が特に強調しているのは「アーカイブよりも差分が重要」という考え方だ。すべての投稿をひたすら保存し続けるだけでは、情報過多になりやすく、本当に重要な変化を見落としてしまうことがある。価値があるのは、情報が「どう変化したか」、つまり「差分(Diff)」であると筆者は指摘する。例えば、ある国の公式機関が発表した渡航勧告が、「旅行を避ける」から「すべての旅行を避ける」へと一文だけ変更されたとする。このわずかな変更こそが、状況の深刻化を示す重要な「イベント」であり、これこそがシステムで検知すべき対象だという。筆者の情報収集パイプラインでは、収集したテキストをそのまま保存するのではなく、内容を「正規化」して比較し、少しでも異なる部分(あいまいな一致の失敗)があれば、それをアラートとして通知する仕組みを使っている。これは、膨大な情報の中から、人間では見逃しやすいような微細な変化を自動的に検知するための、非常に効率的なアプローチだ。
さらに、情報収集においては「言語を意識した収集」が不可欠であると記事は説く。例えば、ウクライナ紛争に関する情報を収集するOSINTでは、英語のチャンネルだけを追うのは大きな間違いだと指摘されている。実際の戦闘映像や後方地域の攻撃、ドローンやミサイルの警告といった情報は、まず何よりもロシア語のチャンネルで最初に浮上することが多いからだ。英語の情報源だけに頼ってしまうと、常に情報が遅れてしまうという結果になる。このことは、情報源を地理的な場所だけでフィルタリングするのではなく、そこで使われている「言語」でフィルタリングすることの重要性を示している。グローバルな事象を分析する際には、多言語対応がいかに重要であるかを教えてくれる。
しかし、Telegramチャンネルは、残念ながら「ノイズ」が非常に多い環境でもある。ノイズとは、信頼性の低い情報、プロパガンダ、偽情報、無関係な投稿などを指す。これらのノイズの中から本当に価値のある情報を見つけ出すためには、情報の「ジャンク(ガラクタ)を排除する」ための綿密なチェックが必要となる。記事では、チャンネルを情報収集の対象とする前に、11項目にも及ぶチェックリストを通すことで、情報の信頼性を確保していると紹介されている。具体的には、チャンネル管理者の出所を確認したり、他のチャンネルとの相互参照関係を調べたり、閲覧数と購読者数の比率を精査したり、情報の転載(リポスト)がどのように行われているかを分析したり、エンゲージメント(いいねやコメントなど)の投稿時刻が不自然に集中していないかを見たりするなどの項目が含まれる。これらのチェックは、偽情報に惑わされず、質の高い情報を得るための重要なステップだ。システムは効率的に情報を集めることができるが、その情報の質を評価し、信頼できるものだけを選別するプロセスは、OSINTの成否を分けるカギとなる。
この記事の著者は、このようなOSINTツールを、GitHub Actionsのような無料で利用できるサービスを使って開発していると述べている。GitHub Actionsは、ソフトウェア開発の自動化ワークフローを無料で実行できるクラウドサービスで、サーバーを用意したり、高額なAPIを利用したりすることなく、これらの情報収集・分析パイプラインを構築・運用できることを示唆している。これは、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、限られたリソースの中でもアイデア次第で強力なツールを開発できるという、大きな可能性を示していると言えるだろう。
まとめると、このニュース記事は、Telegramの公開情報を活用したOSINTにおいて、ログイン不要なウェブプレビューを基盤とし、スクレイピング技術によって効率的に情報を収集する手法を提示している。収集した情報の中から、購読者数と閲覧数の比率から水増しを見抜いたり、投稿IDを追跡して過去の情報をサンプリングしたり、最も重要な「差分」を検知してアラートを出すことで、本当に価値のある情報を見つけ出すことに重点を置いている。さらに、情報源の言語に注意を払い、多言語の情報を収集することの重要性や、ノイズの多い環境から信頼性の高い情報を選別するためのチェックリストの活用法も示している。これらすべてが、無料で利用できるツールやサービスを使って実現可能であるという事実は、システム開発における創造性と効率性の重要性を改めて教えてくれる内容だ。