【ITニュース解説】A Serverless Todo App on AWS with Terraform and GitHub Actions
2025年09月21日に「Dev.to」が公開したITニュース「A Serverless Todo App on AWS with Terraform and GitHub Actions」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AWSサーバーレス環境で、本番運用レベルのTodoアプリを構築する事例を紹介。Terraformでインフラをコード化し、GitHub ActionsでCI/CDを自動化する。スケーラブルで費用対効果の高いシステムを構築し、予測不能なトラフィックにも対応。システムエンジニアを目指す初心者が、IaCやCI/CDといったDevOpsの具体的な実践方法を学ぶのに最適な内容だ。
ITニュース解説
このニュース記事は、ごくシンプルなTodoアプリケーションを題材に、現代のシステム開発で極めて重要な「DevOps」の考え方と実践を学ぶためのプロジェクトについて解説している。単に機能するアプリを作るだけでなく、本番環境で実際に運用できるレベルの堅牢さ、効率性、安全性、そしてコスト効率を追求した点がこのプロジェクトの最大の特徴だ。
このプロジェクトで採用された主要なアプローチは「サーバーレス」という技術である。なぜサーバーレスが選ばれたかというと、特にスタートアップやサイドプロジェクトのように、ユーザー数やアクセス量が予測できないアプリケーションに最適な特性を持つからだ。サーバーレスでは、アプリケーションが必要な時にだけ起動し、使わない時には停止するため、処理能力を自動的に増減させることができる。これにより、急なアクセス増にも対応できる一方で、全く使われていない期間はほとんど費用がかからないという大きなメリットがある。また、システムの基盤となる部分がクラウドプロバイダーによって管理されるため、システムが常に利用できる高い可用性が最初から提供される。
アプリケーションの全体像は、ウェブアプリケーションで一般的な三層構造を採用しているが、これらすべてをサーバーレス技術で構築している。まず、ユーザーが直接操作する「フロントエンド」は、Reactという技術で作られたウェブアプリをAWSのS3というストレージサービスに保存し、CloudFrontという高速なコンテンツ配信ネットワークを通じて世界中のユーザーに素早く届ける仕組みだ。CloudFrontはセキュリティも考慮されており、ユーザーがS3に直接アクセスするのを防ぎ、ウェブサイトを安全に保つ役割も担う。
次に、アプリケーションの心臓部となる「バックエンド」では、ユーザーからのリクエストを受け付けるAPI Gatewayが窓口となり、そのリクエストの内容に応じてLambdaというサーバーレスのコンピューティングサービスが特定の処理を実行する。例えば、Todoリストの項目を追加する、読み込む、更新する、削除するといった操作(CRUD操作と呼ばれる)ごとに、それぞれ対応するLambda関数が動く仕組みだ。これらのLambda関数には、AWSのIAMという機能を使って、必要最小限の権限のみを与え、セキュリティリスクを低減している。
そして、Todoのデータ自体を保存する「データベース」には、DynamoDBというAWSのフルマネージドなNoSQLデータベースが使われている。DynamoDBは、アクセス量に応じて自動的にスケールし、使った分だけ課金されるため、コスト効率が良い。Todoの各項目にはユニークなIDが付与され、それを基にデータの管理が行われる。
このプロジェクトのもう一つの重要な柱が「Infrastructure as Code(IaC)」、具体的にはTerraformというツールを使ってインフラを構築している点だ。通常、クラウドサービスのサーバーやデータベースなどの設定は、AWSの管理画面をマウスでクリックして行うこともできるが、IaCではこれらの設定をコードとして記述する。これにより、インフラの構成が文書化され、変更履歴を管理でき、さらには同じ環境を何度でも正確に、自動で構築できるようになる。このプロジェクトでは、フロントエンド、バックエンド、データベースの各コンポーネントをTerraformのモジュールとして独立させ、例えば開発環境、テスト環境、本番環境といった複数の環境を、設定ファイルを少し変更するだけで簡単に展開できるように工夫している。これは、実際の企業開発において非常に役立つプラクティスだ。
そして、DevOpsの肝とも言えるのが「CI/CDパイプライン」の自動化だ。このプロジェクトではGitHub Actionsというツールを使って、アプリケーションのコードが変更されるたびに、自動的にテスト、ビルド、デプロイといった一連の作業が行われるように設定されている。具体的には、フロントエンドのパイプラインでは、ReactアプリがビルドされてS3にアップロードされ、CloudFrontのキャッシュが更新される。バックエンドのパイプラインでは、Lambda関数がパッケージ化されてAWSにデプロイされる。さらに、インフラのパイプラインでは、Terraformのコードが実行され、定義されたインフラに変更がないかを確認し、必要であれば自動で更新される。ただし、本番環境へのデプロイに関しては、誤操作や予期せぬトラブルを防ぐため、人間による最終的な承認が必要となるように設定されており、これは実際の運用現場のリアリティを反映している。
システムの運用において欠かせないのが「モニタリングとセキュリティ」だ。このプロジェクトでも基本的ながら重要な対策が講じられている。AWSのCloudWatchを使って、システムのエラー発生状況や処理の遅延時間を監視し、異常があればすぐにアラートを出す仕組みを構築している。また、Terraformのドリフト検知機能によって、手動でAWSコンソールからインフラ設定が変更されていないかを確認し、コードと実際の環境のずれを防ぐ。各Lambda関数には最小限の権限しか与えず、CloudFrontによってHTTPS通信が強制され、S3バケットへの直接アクセスが隠蔽されるなど、セキュリティも基本的ながら徹底されている。
サーバーレスアーキテクチャを採用したことで、コスト面でも大きなメリットがある。Lambdaは実際にコードが実行された時間に対してのみ課金され、DynamoDBもアクセス量に応じて自動でスケーリングするため、無駄なリソースの確保が不要だ。CloudFrontのキャッシュ機能は、バックエンドへのリクエスト数を減らすことでコスト削減にも貢献する。結果として、このTodoアプリは使われていないアイドル期間にはほとんど費用がかからない設計となっている。
このプロジェクトを通じて得られた教訓もいくつか紹介されている。Terraformのモジュールはコードの再利用性を高め、効率的な開発に役立つこと。インフラ、バックエンド、フロントエンドのデプロイパイプラインを独立させることで、それぞれの開発チームが独立して作業を進められること。サーバーレスアプリケーションのデバッグは、従来のアプリケーションに比べて少し複雑で、ログの活用が非常に重要であること。そして、Lambdaには「コールドスタート」という、しばらく使われていない関数が初めて呼び出されたときに起動に時間がかかる現象があるが、適切な設計やキャッシュ利用でその影響を軽減できることなどだ。
最終的に、このプロジェクトは一見するとシンプルなTodoアプリに過ぎないが、その裏側には、Infrastructure as Code、自動化されたCI/CD、安全でスケーラブルかつコスト効率の良い設計、そしてモニタリングやドリフト検知といった、現代のシステム開発における本番レベルのDevOps実践が凝縮されている。システムエンジニアを目指す者にとって、これらの技術と概念を実践的に学ぶための優れたケーススタディとなるだろう。