【ITニュース解説】Getting Started with Google BigQuery: A Beginner’s Guide
2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「Getting Started with Google BigQuery: A Beginner’s Guide」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Google BigQueryは、大量データを扱うためのクラウドデータウェアハウスだ。サーバー管理の手間なく、SQLを使って簡単にデータの保存、分析、リアルタイム処理ができる。初心者でも大規模データ分析に集中でき、自動クエリ実行やBIツール連携で効率的なデータ活用を実現する。
ITニュース解説
現代社会では、ビジネス活動を通じて日々膨大な量のデータが生み出されている。これらのデータを効率的に保存し、必要に応じて素早く検索・分析することは、企業が意思決定を行い、競争力を維持するために極めて重要である。ここで登場するのが、Google BigQueryというサービスだ。BigQueryは、Google Cloudが提供するサーバーレスで非常にスケーラブルなデータウェアハウスであり、データアナリストやバックエンドエンジニアが大規模なデータセットを高速かつ容易に扱えるように設計されている。
BigQueryは、Google Cloudが提供するフルマネージドのデータウェアハウスサービスである。従来のデータベースとは異なり、サーバーの構築や管理、リソースの拡張、パフォーマンスの最適化といったインフラに関する複雑な作業について、利用者が心配する必要はない。BigQueryはこれらのインフラをすべてGoogleが管理するため、利用者はデータの分析そのものに集中できる。 BigQueryの主な特徴として、まず「サーバーレス」であることが挙げられる。これにより、ユーザーはサーバーの管理から完全に解放される。次に、「従量課金」という料金体系が採用されている点も重要である。これは、処理したデータ量に基づいて料金が発生するため、無駄なくコストを抑えられるメリットがある。また、BigQueryは「スケーラブル」であり、テラバイトからペタバイトという非常に大規模なデータまで柔軟に対応できる。データの増加に合わせて自動的に拡張されるため、将来的なデータ量の変化にも対応しやすい。さらに、「リアルタイム分析」が可能であり、データを継続的に取り込みながら、ほぼ瞬時にクエリを実行し、最新の情報を分析できる。BigQueryは、分析に特化した「超強力なSQLエンジン」と考えることができる。
もしSQLの知識があるならば、BigQueryは非常に使いやすく感じられるだろう。BigQueryは標準的なSQL構文を使用しており、これに加えて、分析や大規模データ処理のために最適化されたいくつかの追加関数が提供されている。例えば、ウェブサイトの訪問数が多いページを検索するような一般的なSQLクエリも、BigQueryでそのまま実行できる。
1SELECT page_url, COUNT(*) as visits 2FROM `project.dataset.web_logs` 3GROUP BY page_url 4ORDER BY visits DESC 5LIMIT 5;
この例のように、基本的なクエリは馴染みのある形だ。しかし、BigQueryはこれにとどまらず、配列や構造体のような複雑なデータ型、高度な分析を可能にするウィンドウ関数、さらには機械学習モデルを直接SQLクエリ内で利用できるBigQuery MLといった強力な機能も提供している。
BigQueryにデータを投入する方法はいくつかある。 一つ目は、CSV、JSON、Parquetといったファイル形式のデータを手動でアップロードする方法だ。Google Cloud ConsoleのBigQuery画面から、簡単にテーブルを作成し、ファイルをアップロードできる。 二つ目は「ストリーミング挿入」である。これは、BigQuery APIやクライアントライブラリを使用して、イベントデータをリアルタイムでBigQueryに送信する方法だ。ログデータ、センサーデータ、IoTデバイスからのテレメトリーデータなど、即時分析が必要なデータに適している。 三つ目は、Google Cloud Storage(GCS)からの「バッチロード」である。一度GCSに生データを保存し、その後BigQueryのテーブルにインポートする方法だ。
1bq load --source_format=CSV mydataset.mytable gs://mybucket/data.csv
このようなコマンドを使って、GCSに保存されたCSVファイルをBigQueryにロードできる。 四つ目は、他のツールとの「連携」である。Google Cloud DataflowやDataprocのようなデータ処理サービス、あるいはFivetranやAirbyteのようなサードパーティのETL(Extract, Transform, Load)プラットフォームを利用して、データを自動的にBigQueryに送り込むことも可能だ。
BigQueryは、繰り返し実行したいクエリを自動化する機能も提供している。例えば、毎日ウェブトラフィックの要約レポートを作成したい場合、追加のコードを書くことなく、この機能を活用できる。BigQuery Consoleで「スケジュールクエリ」を設定し、実行したいSQLクエリを記述する。
1SELECT 2 'clw_controller_shipment_sub_group' AS service, 3 _creation_timestamp AS last_created_at 4FROM 5 `clw_controller_shipment_sub_group` 6WHERE 7 TIMESTAMP_TRUNC(_creation_timestamp, DAY) = TIMESTAMP_TRUNC(CURRENT_TIMESTAMP(), DAY) 8ORDER BY 9 _creation_timestamp DESC 10LIMIT 1
このように、日次の最新データを確認するクエリを設定し、実行頻度(日次、時間ごと、カスタムのcron式など)を指定すれば、BigQueryが自動的にクエリを実行し、結果を保存してくれる。この機能は、ダッシュボードの更新、定型レポートの生成、他のシステムへのデータ供給など、様々な用途で非常に役立つ。
BigQueryから分析結果や保存されているデータを取り出す方法も複数用意されている。 最も手軽なのは、BigQuery Consoleのユーザーインターフェースを利用する方法だ。クエリを実行し、その結果をCSVやJSON形式でダウンロードできる。 コマンドラインツール「bq CLI」を使用することも可能だ。
1bq query --use_legacy_sql=false 'SELECT COUNT(*) FROM `project.dataset.table`'
このようなコマンドで、ターミナルから直接クエリを実行し、結果を取得できる。 さらに、Python、Node.js、Java、Goといった様々なプログラミング言語向けの「クライアントライブラリ」が提供されており、アプリケーション内でBigQueryに接続し、プログラム的にデータを操作できる。Pythonでの例としては、BigQueryクライアントを初期化し、クエリを実行して、結果をループ処理で取得するといった流れになる。
1from google.cloud import bigquery 2 3client = bigquery.Client() 4query = "SELECT name, age FROM `project.dataset.people` LIMIT 10" 5results = client.query(query) 6 7for row in results: 8 print(row.name, row.age)
このコードは、指定したテーブルから名前と年齢を取得し、それらを出力する。 また、Looker Studio、Tableau、Power BIなどのビジネスインテリジェンス(BI)ツールもBigQueryに直接接続でき、データの可視化やより高度な分析に活用できる。
BigQueryは、特定の状況で特にその真価を発揮する。 具体的には、ギガバイトからペタバイト規模の「大規模なデータセットを分析する必要がある」場合、BigQueryは強力な選択肢となる。また、「インフラ管理なしでスケーラブルなクエリを実行したい」企業や開発者にとっても理想的である。リアルタイムで更新される「ダッシュボードやレポートを作成する」場合にも適している。さらに、「新しいクエリ言語を学ぶよりもSQLを使って分析したい」と考えるユーザーには、馴染み深く、すぐに活用できる。 一方で、BigQueryが適していないケースも存在する。例えば、銀行アプリケーションのような「トランザクション処理」が必要なシステムには向かない。BigQueryはデータウェアハウスであり、頻繁に個々のデータを更新・削除するような「低遅延な行ごとの更新」(OLTP: オンライントランザクション処理)には最適化されていない。BigQueryは主に、大量のデータを一度に分析するOLAP(オンライン分析処理)に特化している。
Google BigQueryは、データウェアハウスの運用管理に関する複雑さを取り除き、ユーザーがデータの洞察を得ることに集中できる環境を提供する。SQLに似た構文、多様なデータ取り込みオプション、クエリの自動化機能、そして他のツールとの容易な連携性により、データ主導型のチームにとって非常に価値のあるツールとなる。もしSQLの基本を知っていれば、BigQueryを使えば数分でビッグデータの分析を始めることが可能だ。そして、将来データがどれだけ増大しても、BigQueryは利用者が特別な作業をしなくても、自動的にスケーリングして対応する。