【ITニュース解説】Unity developers can now tap into system screen reader tools on macOS and Windows

Unityがゲーム開発エンジンをアップデートし、macOSとWindowsで標準搭載されているスクリーンリーダーに対応した。この機能は、Unity 2023.3.0a5 alpha版から利用可能となり、視覚障碍を持つプレイヤーのためにゲームをアクセシブルにするプロセスを、開発者にとってより手軽なものにする。

スクリーンリーダーとは、画面上のメニューや情報を音声で読み上げるソフトウェアのことで、視覚障碍を持つプレイヤーが、ゲームやソフトウェアを補助なしで操作することを可能にする。従来、スクリーンリーダー機能はゲームごとにカスタムで開発されることが多く、開発者にとってはリソース集約的な作業となっていた。

アクセシビリティコンサルタントであるスティーブ・セイヤー氏は、Blueskyで「ゼロからそのようなものを構築するには、開発の初期段階で、それを適切に作成するための時間とリソースを割り当てることを決定する必要がある」と述べている。「エンジンに組み込まれているということは、面倒な作業が肩代わりされ、時間とリソースのコストが大幅に低くなる可能性がある」と指摘している。

Unityは以前、Unity 6.0のリリースでAndroidとiOSに組み込まれたスクリーンリーダー用のAPIを提供していたが、Windows NarratorまたはmacOS VoiceOverのサポートはまだ追加されていなかった。今回の新しいalpha版、そして最終的なUnity 2023.3のリリースにより、Unityでゲームを開発する開発者は、エンジンの主要なプラットフォームすべてでネイティブのスクリーンリーダーにアクセスできるようになる。Unityがゲームエンジンとして非常に人気があることを考えると、これは将来のゲームのアクセシビリティを大幅に向上させる可能性がある。

このアップデートの意義を理解するには、まずゲーム開発におけるアクセシビリティの重要性を理解する必要がある。アクセシビリティとは、年齢、身体能力、状況などに関わらず、誰もが製品やサービスを利用できるようにすることを意味する。ゲームにおいては、視覚障碍、聴覚障碍、運動障碍などを持つプレイヤーが、他のプレイヤーと同様にゲームを楽しめるようにすることが重要となる。

視覚障碍を持つプレイヤーにとって、スクリーンリーダーはゲームをプレイするための重要なツールとなる。スクリーンリーダーは、画面上のテキストやボタン、メニューなどを音声で読み上げることで、視覚情報に頼らずにゲームを操作することを可能にする。しかし、従来のゲーム開発では、スクリーンリーダーに対応させるためには、ゲームごとに専用のコードを記述する必要があった。これは、開発者にとって大きな負担となり、アクセシビリティ対応が遅れる原因となっていた。

今回のUnityのアップデートは、この状況を大きく改善する可能性を秘めている。UnityがmacOSとWindowsの標準スクリーンリーダーに対応したことで、開発者は追加のコードを記述することなく、ゲームをスクリーンリーダーに対応させることができるようになる。これにより、開発者はアクセシビリティ対応にかかる時間とコストを削減し、より多くのゲームをアクセシブルにすることが可能になる。

具体的に、システムエンジニアを目指す読者にとって、今回のニュースはどのような意味を持つだろうか。まず、ゲーム開発におけるアクセシビリティの重要性を再認識するきっかけとなるだろう。また、Unityのようなゲームエンジンが、アクセシビリティ機能を標準搭載することで、開発者の負担を軽減し、より多くのゲームをアクセシブルにすることができることを学ぶことができる。

さらに、今回のニュースは、システムエンジニアがアクセシビリティを考慮したソフトウェア開発を行うためのヒントを与えてくれる。例えば、UI要素に適切なラベルを付与すること、キーボード操作に対応させること、色覚障碍を持つプレイヤーにも配慮した配色にすることなど、様々な方法でアクセシビリティを向上させることができる。

Unityの今回のアップデートは、ゲーム業界におけるアクセシビリティ向上のための大きな一歩となるだろう。そして、システムエンジニアを目指す読者にとっても、アクセシビリティを意識したソフトウェア開発の重要性を学ぶ良い機会となるだろう。