【ITニュース解説】How to Connect to Your VPN on macOS Using Tunnelblick and a Certificate
2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「How to Connect to Your VPN on macOS Using Tunnelblick and a Certificate」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
macOSでVPNに接続する手順を解説。無料アプリ「Tunnelblick」に、設定ファイル(.ovpn)と証明書(.p12)を登録する。証明書は直接読み込むか、コマンドで秘密鍵などを抽出し、設定ファイルに正しく記述することで、安全な接続が確立できる。(119文字)
ITニュース解説
macOSでVPN(Virtual Private Network)を利用し、安全な通信環境を構築する方法について解説する。VPNは、インターネット上に仮想的な専用回線を作り出し、通信内容を暗号化することで、第三者によるデータの盗聴や改ざんを防ぐ技術である。特に、企業ネットワークへのリモートアクセスや、公衆無線LANを安全に利用する際に不可欠な仕組みと言える。ここでは、macOS用のオープンソースVPNクライアントソフトウェアである「Tunnelblick」と、接続認証に用いられる「証明書」を使ってVPN接続を確立する具体的な手順を説明する。
まず、VPN接続を行うための準備として、いくつかのツールとファイルが必要になる。一つ目は、macOS上でOpenVPNプロトコルを利用したVPN接続を管理するためのアプリケーション「Tunnelblick」である。公式サイトから安定版をダウンロードし、通常のアプリケーションと同様にインストールする。二つ目は、VPNサーバーへの接続設定が記述された「.ovpn」という拡張子を持つ設定ファイルだ。このファイルには、接続先のサーバーアドレスや通信ポート、使用する暗号化方式などの情報が含まれており、いわばVPN接続の「設計図」の役割を果たす。三つ目は、「.p12」という拡張子を持つ証明書ファイルである。これはPKCS#12形式のファイルで、利用者本人であることを証明するための「クライアント証明書」と、通信を暗号化するための「秘密鍵」がセットで格納されている。これら設定ファイルと証明書ファイルは、通常、VPNサービスの提供元や所属する組織のIT管理者から提供される。
準備が整ったら、次に証明書の取り扱いを行う。最も簡単な方法は、提供された.p12ファイルを直接macOSにインポートすることだ。ファイルをダブルクリックすると、証明書をどこに保存するか尋ねられるため、「ログイン」キーチェーンを選択する。キーチェーンは、パスワードや証明書などを安全に保管するためのmacOSの機能である。インポート時に証明書のパスワード入力を求められるので、提供されたパスワードを正しく入力する。この方法でTunnelblickが証明書を正常に認識できれば、設定はスムーズに進む。
しかし、場合によってはTunnelblickが.p12ファイル内の秘密鍵を正しく読み込めないことがある。その場合は、より確実な方法として、.p12ファイルから証明書と秘密鍵をそれぞれ個別のファイルとして取り出す作業が必要になる。この作業には、macOSに標準で搭載されている「ターミナル」と「OpenSSL」というコマンドラインツールを使用する。まず、ターミナルを開き、.p12ファイルが保存されているフォルダへ移動する。その後、OpenSSLコマンドを用いて、.p12ファイルから「秘密鍵」「クライアント証明書」「CA証明書」の三つの要素を、それぞれ「.pem」という拡張子の付いたプレーンテキスト形式のファイルとして抽出する。CA証明書は、接続先のVPNサーバーが正当なものであることを検証するために使われる、認証局が発行した証明書である。この分割作業により、Tunnelblickは各ファイルを確実に認識できるようになる。
証明書の準備が完了したら、次に.ovpn設定ファイルを編集する。テキストエディタで.ovpnファイルを開き、先ほど分割して作成した各.pemファイルのパスを正しく指定する記述を追加、または修正する。これにより、TunnelblickはVPN接続時にどの証明書と鍵を使用すればよいかを正確に把握できる。さらに、近年のOpenVPNの仕様変更に対応するため、使用する暗号化アルゴリズムを明示的に指定する必要がある。具体的には、「data-ciphers」といった項目を設定ファイルに追記し、サーバーとクライアント間で互換性のある暗号化方式で通信できるよう設定する。この設定が不足していると、暗号化方式の合意形成に失敗し、接続エラーの原因となる。
すべての設定が完了した.ovpnファイルをTunnelblickに読み込ませる。ファイルをダブルクリックするか、Tunnelblickのウィンドウにドラッグアンドドロップすることで、新しいVPN設定として登録できる。登録が完了すると、macOSのメニューバーにあるTunnelblickのアイコンから、設定したVPN接続を選択して「接続」を実行できる。接続プロセス中は、認証処理やIPアドレスの取得などが行われ、正常に完了するとステータスが「接続済み」と表示される。もし接続がうまくいかない場合は、証明書のパスワードが正しいか、.ovpnファイル内のファイルパス指定に誤りがないか、暗号化方式の設定は適切かといった点を確認する必要がある。これらの手順を正しく踏むことで、macOS上で証明書を用いた安全なVPN接続を確立し、セキュアなネットワーク通信を実現できる。